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石橋先生の受験対策講座

石橋 亮一(いしばし りょういち)

忙しい日々の中で効率よく勉強するにはどうしたら?とお悩みのあなたに、ぴったりのガイド役となるのがこのコーナーです。介護の現場にも詳しい石橋亮一先生が受験勉強のポイントを講義します。

プロフィール石橋 亮一(いしばし りょういち)

介護福祉士/社会福祉士/介護支援専門員
社会福祉法人同胞互助会にて特別養護老人ホーム、在宅介護支援センター、株式会社ベネッセコーポレーションにてホームヘルプサービス、居宅介護支援事業等に従事。その後、地域や学校、介護サービス事業者・施設の研修講師・アドバイザー、介護認定審査会委員、東京都第三者評価員、介護サービス情報の公表制度調査員、特別養護老人ホームの施設長等に携わる。介護福祉士や社会福祉士、介護支援専門員などの受験対策講座も数多く行っている。『福祉現場のための感染症対策入門』(中央法規出版)も執筆。

第7回 社会の理解(1)~社会の状況~

 こんにちは。
 前回は、「人間関係とコミュニケーション」について学びました。
 今回から、「人間と社会」領域のメインの科目といえる「社会の理解」を勉強しましょう。
 この科目では、最初に、介護福祉職が従事する介護サービスなど、生活上のさまざまなニーズ(課題〔問題〕)に応えて支援するサービスが、必要とされる背景にある、今日の日本の社会状況を理解します。

社会の状況 ~生活を支える家族と地域~

 育児や介護など、生活上のニーズには、まず、よりどころである家族が携わり、支えることになります。介護福祉士国家試験では、家族について出題されます。学問上、家族とは「夫婦を中核とし、親子、兄弟などの近親者を構成員とする血縁的小集団」と定められています。
 日本の社会は、核家族化が進んできました。核家族とは、「夫婦、夫婦と未婚の子ども、ひとり親と未婚の子どものいずれから成る」ものです(第24回に出題)。第33回では、2015(平成27)年以降の動向として、核家族の中で「ひとり親と未婚の子」の世帯が増加していると、出題されました。家族において核家族化が進むことで、例えば、家庭内で介護できる者が不在あるいは減少するなど、家族機能の弱体化がみられているわけです。なお、家族の機能において、介護が必要な構成員を家族で支える機能は、ケア機能であると、第31回に出題されました。
 地域に目を向けると、農村部を中心に過疎化が進み、共同体機能の維持が困難な「限界集落」も多く存在している状況です。限界集落とは、「高齢化率(65歳以上の人口比率)が50%を超えた人口構成である」ことを指します(第25回に出題)。
 一方、少子化といわれる中、都市部では人口が集中し、保育所の待機児童問題などが解消できていません。少子化対策、さらには労働力確保のために2007(平成19)年、「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」というものが制定されています。これらに関する事柄が、第24回に出題されました。また、第32回では、働く人々のニーズに応じた、多様な働き方を選択できる社会の実現を図る、「働き方改革」の考え方に関して出題されました。

統計(データ)で見る社会の状況

 試験には、統計(データ)から見た社会の状況が出題されることもあります。第26回では、少子高齢化という観点から出題されました。
 以下の事項にも、目を通してください。数字は、小数点まで覚える必要はありません。大体の傾向を知っておけばよいでしょう。

  • ○国民生活基礎調査によると、65歳以上の1人暮らしの高齢者(高齢者単身〔単独〕世帯)は、2019(令和元)年において、65歳以上の者がいる世帯の28.8%を占めている。高齢者夫婦のみの世帯と合わせて増加傾向にあり、高齢者が孤立しやすい状況にある。なお、65歳以上の「単独世帯」では、男性よりも女性が多い(第30回に出題。第28回では「介護の基本」で出題)。
  • ○今日の日本の高齢化率は、2020(令和2)年現在、28.7%(4人に1人以上が高齢者)で、今後も上昇し、2035(令和17)年には33.4%(約3人に1人が高齢者)、2060(令和42)年には39.9%に達すると予測されている。
  • ○高齢化が進む中、介護保険制度の要介護認定により、要支援者・要介護者と認定された人も増加しており、2014(平成26)年において、初めて600万人を超えた。
  • 合計特殊出生率(1人の女性が生涯に何人の子どもを産むか)は、1993(平成5)年に1.46となり、2005(平成17)年には過去最低の1.26まで低下したが、2008(平成20)年に1.37、2015(平成27)年には1.45まで回復。しかし、その後は低下し、2019(令和元)年は1.36となった。
  • ○「令和2年版障害者白書」によると、身体障害児・者は約436万人、知的障害児・者は約109万人、精神障害者は約419万人とされている。障害者においても、高齢化、重度化が進んでおり、在宅の身体障害者のうち、65歳以上の割合は7割を超えている(第34回に出題)。

 第28回では、「人口推計」によると、2011(平成23)年以降、毎年10月1日現在の総人口は、減少してきていることが出題されました。第34回では、2015(平成27)年以降の日本の社会福祉を取り巻く環境に関して、高齢世代を支える現役世代(生産年齢人口)も、減少傾向にあることが出題されました。
 ところで、介護福祉士という名称にも含まれている「福祉」とは、介護が必要になるなど、たとえ日常生活や社会生活の中で困ったことが発生しても、何とか「幸せ」を感じて暮らしていけるように支援していこうという理念(方針)を指します。
 また、ソーシャルインクルージョン(社会的包摂)といい、社会的な孤立や排除の問題に取り組み、「つながり」を再構築し、すべての人を社会の一員として包み込み、共に生き、支え合っていこうという、近年、福祉分野などで唱えられている理念が、第24回に出題されました(第26回、30回では「障害の理解」で出題)。この理念に基づき、すべての住民が支え合い、自分らしく活躍できる地域コミュニティの創出といった地域共生社会の実現(我が事・丸ごとの地域づくり:第34回に出題)に向けて、地域包括ケアシステムの構築が推進されています。地域包括ケアシステムは、重度な要介護状態となっても、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、自助・互助・共助・公助から成る、住まい・医療・介護・予防・生活支援が、ニーズに応じて一体的に提供されるものです(第30回、32回に出題)。
 そのようなシステムの一翼を担うためにも、今回の受験を通して、いろいろと学んでいきましょう。


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