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受験対策講座

保育士・筆記試験の合格率は20%前後で難関といえます。この狭き門を突破するためには、ポイントを押さえた効率のいい学習が不可欠です。このコーナーでは、近年の各科目の出題傾向や今後の対策について、その秘訣をガイドします。
※毎週火曜日更新!

2023年4月試験に向けた講座がスタートしました!

第34回 令和4年・4月試験「保育実習理論・造形」について

喜多﨑薫(きたざき かおる)
総合学園ヒューマンアカデミーチャイルドケアカレッジ東京校非常勤講師、あさか保育人材養成学校講師

「保育実習理論・造形」の近年の出題傾向

(1)発達年齢と造形表現の特徴

 例年必ず出題されていましたが、令和3年の前期および令和4年前期で出題されませんでした。またこの2回に関しては、造形の出題数が1問減っています。この間の令和3年・後期試験については問題数が1問増え、<問題8>では、子どもの成長に伴って「なぐりがき表現」から「頭足人」へと変化し特徴的な様相を示していること。その様相を「発達段階」と言い、日本国内での発達段階の一般的な区分が、美術教育者である「ローエンフェルド」の研究に基づいていることなどが問われました。
 これまで、「発達年齢と造形表現の特徴について」の出題内容は子ども達の描く絵画の特徴から、発達段階の名称や表現の名称に結びつけるものがほとんどでしたが、令和元年・前期試験<問題8>や、令和元年・後期試験<問題8>でも「ピアジェ」や「リュケ」など、「発達段階」に関する研究者や教育者の知識が問われるようになり、近年の傾向としてはより細かい知識を求められるようになっています。

(2)色彩の知識

 令和4年・前期試験<問題8>では、スポットライトなどの色光の三原色による加法混色、絵の具などの色料による減法混色、織物など異なる色が並んで混ざって見える並置混色の知識が問われています。
 色彩の知識は造形表現の現場だけでなく、イベントや日常的な保育の現場でも目にしたり使用することが多く、視覚的な刺激の中でも特に与えるイメージが強いため、色彩の知識は重要なポイントとなります。
近年の出題を見ても、令和3年・後期試験<問題9>では色相環と混色などの知識、令和3年・後期試験<問題9>では色彩の三属性や混色、色相環に関わる色の特徴などの知識が問われています。

(3)表現技法

 例年モダンテクニックから名称と技法を結びつける問題や、用いる材料の準備や制作手順など、幅広い知識が出題されています。
 令和3年・後期試験<問題10>では、絵本画家であるレオ・レオーニが絵本制作で用いた表現技法について問われました。モダンテクニックの画材や技法の特徴だけでなく、保育の現場で目にする身近な絵本がどのように制作されているかという応用的な知識が求められました。

(4)表現活動の材料

 令和4年・前期試験<問題10>の「粘土の種類と原料、特徴について」、令和3年・後期試験<問題10>の「陶芸の制作工程について」、令和2年・後期試験<問題11>の「泥団子の作り方」、平成30年・後期試験<問題11>の「土粘土の特徴について」など、「粘土や土」に関する問題が一番多く出題されています。
その他には、紙、パスや絵の具やマーカーなどの描く画材についても比較的多く出題されており、日常的な表現活動で使用する材料の知識が幅広く求められています。

(5)形態と構成の理解

 令和4年・前期試験<問題12>の「あかべこ」、令和3年・後期試験<問題12>の「竹とんぼ」、平成31年・前期試験<問題12>の「コマ」のように、「動きの仕組み」についての出題と、令和3年・前期試験<問題12>、令和元年・後期試験<問題12>のように紙を折ったり切ったりした時の「形の変化」についての出題が多く見られます。
色彩画材表現技法などの知識と異なり、構造や仕組み、形の見え方や過程による変化など、造形表現における応用的な造形感覚が求められています。

今後の試験に向けた受験対策、勉強の進め方など

基本的な学習の仕方

 造形の分野では、5つの項目についての基礎知識がもっとも重要です。
「発達年齢と造形表現の特徴」が出題されないこともありますが、知識でカバーできる部分なので押さえておきましょう。近年の特徴として問題文の事例がより複雑になってきました。特に保育士どうしが会話しているような事例では、前後のやりとりに注意して読み解くことが必要です。
 問題文の事例のように実際の現場では、基本的な知識だけでは解決できない、わからないことが多くあります。その時に大切なのが知識に基づいた複合的な応用力です、ひとつのジャンルにこだわらず、広く「表現」について考えられる柔軟性をもちましょう。

覚えるだけでなく体験する

 テキストを読み深めたり、問題集を解くことはもちろん重要ですが、実際に絵の具を使って混色してみると、実感として理解できます。絵の具が難しければ、色鉛筆でも構いません。またモダンテクニックも実際に表現してみると、手順の重要さや注意点が理解できますので、小さくてもよいのでできるだけやってみることをおすすめします。

造形感覚を養う

 例年出題される立体造形の応用問題は、「構造や仕組み」「制作の前と後の変化」が大きな特徴ですが、試験問題では図はあっても、実際にその場で動かしたり、切ったりできるわけではないので、どうしても「頭の中で想像する力」が必要になります。
 知らないこと、体験したことがないことはなかなか想像しづらいので、一度やってみましょうと言いたいところですが、出題される領域があまりに幅が広いので現実的には難しいです。
 ここで助けになるのが「ものを見る力」。日常生活で目にする物、触ったり、動かすものを、少しゆっくり観察してみましょう。牛乳パックやアイスクリームのカップ、ヨーグルトの容器など、リサイクルのために広げたら、どんな形になっているでしょうか。ドアのレバーを下げたらどうして開くのでしょうか。こうしたちょっとした観察での「へえ〜こんな形なんだ」「こうなっているんじゃないか?」という経験や想像が「造形感覚」を養います。