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受験対策講座

保育士・筆記試験の合格率は20%前後で難関といえます。この狭き門を突破するためには、ポイントを押さえた効率のいい学習が不可欠です。このコーナーでは、近年の各科目の出題傾向や今後の対策について、その秘訣をガイドします。
※毎週火曜日更新!

2024年4月試験に向けた講座がスタートしました!

第47回 令和5年後期・保育士試験「教育原理」の内容や難易度は? 傾向と対策のポイント

綾 牧子(あや まきこ)
学研アカデミー保育士養成コース専任講師、文教大学非常勤講師

近年の出題傾向

① 憲法・教育基本法・学校教育法など

法令に関する問題は毎回必ず出題されます。
令和5年後期試験では「日本国憲法」第26条の条文の語句が問われました(問1)。憲法第26条は「教育を受ける権利、義務教育の無償」が規定されています。条文を確認しておきましょう。

第二十六条 すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。
② すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。

② 幼稚園教育要領、幼保連携型認定こども園教育・保育要領、保育所保育指針

特に幼稚園教育要領からの出題が多く見られます。
令和5年後期試験では、幼稚園教育要領の「第1章 総則 第1 幼稚園の基本」の語句が問われました(問2)。

幼児期における教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであり、幼稚園教育は、学校教育法第22条に規定する目的を達成するため、幼児期の特性を踏まえ、環境を通して行うものであることを基本とする。

また、幼保連携型認定こども園教育・保育要領「第1章 総則 第2 教育及び保育の内容並びに子育ての支援等に関する全体的な計画等」の内容について出題されました(問3)。
幼稚園教育要領の同様の部分を理解していることで対応できる問題です。

③ 西洋教育史・日本教育史において重要な人物・教育思想・理論/諸外国の教育・保育実践

教育史の中で重要な「人名」「有名な著書」「理論」の結びつきを問う問題が毎回出題されます。
令和5年後期試験では、江戸時代初期の儒学者である中江藤樹について、説明文から人名を問う問題がありました(問7)。

また、デューイの継承者であるキルパトリックによって提唱されたプロジェクト・メソッドの内容について問われました(問4)。
プロジェクト・メソッドは、受動的な知識学習ではなく、生徒自身の自発的な活動として展開されることに力点が置かれており、目的設定→計画立案→実践・遂行→反省・評価という4段階の学習過程が設定されています。「社会的環境の中で展開される全精神を打ち込んだ目的ある活動」と定義されています。

諸外国の教育・保育実践については、近年の特徴的な教育・保育実践に関する出題が多いです。
令和5年後期試験では「学びの物語Learning Stories」が実践されている国名ニュージーランドが問われました(問5)。
「名称」「実践を提唱した人名と国名」をセットで確認しておきましょう。

④ 日本教育史

日本教育史の中では、特に明治初期の教育制度の変遷に関連した出題が見られます。
令和5年後期試験では、日本の明治初期の学校教育制度に関する出題がありました(問6)。1872(明治5)年の学制に代わる教育に関する基本法令は1879(明治29)年に公布された教育令です。

⑤ 日本の教育行政/教育を取り巻く諸問題

特に、中央教育審議会答申からの出題がほぼ毎回見られます。
令和5年後期試験では「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現~」の内容について問われました(問10)。「第Ⅰ部 総論 1.急激に変化する時代の中で育むべき資質・能力」の文章から出題されており、答申のキーワードである個別最適な学び協働的な学びの意味を確認しておく必要があります。

また、教育を取り巻く諸問題に関して、教育・保育関係のトピック的な問題が毎回見られます。
令和5年後期試験では「新・放課後子ども総合プラン」について出題されました(問9)。全ての児童が放課後を安全・安心に過ごし、多様な体験・活動を行うことができるよう、文部科学省と厚生労働省が連携して推進している事業です。

⑥ 子どもの権利

これまで「児童憲章」「児童権利宣言」「児童の権利に関する条約」に関する出題が見られます。
今後は、2023(令和5)年4月に「こども基本法」が施行されたこともあり、子どもの権利について幅広い視点から理解しておく必要があります。
令和5年後期試験では、ジェンダー・バイアスを助長する恐れのある教育実践に関する出題がありました(問8)。

今後の受験対策、勉強の進め方

① 憲法・教育基本法・学校教育法など

教育基本法は、全条文(第1~17条)に目を通しておきましょう。特に第11条(幼児期の教育)第10条(家庭教育)は幼児教育に関連の深い条文です。
学校教育法は、特に第3章 幼稚園(第22~28条)に目を通しておきましょう。その他、小学校に関する条文も出題されることがあるので要確認です。
その他、児童福祉法等の法令も出題されることがあります。特に法改正があった場合は出題される可能性が高くなります。

② 幼稚園教育要領、幼保連携型認定こども園教育・保育要領、保育所保育指針

幼稚園教育要領「第1章 総則」は必ず出題されるものと考えておきましょう。また、「健康・人間関係・環境・言葉・表現」の5領域に関する記述や「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」は、幼保連携型認定こども園教育・保育要領、保育所保育指針にも同様に記載されている部分です。内容をしっかり確認しておくことが重要です。

また、幼保連携型認定こども園教育・保育要領については、幼稚園教育要領と同様の内容となっている「幼稚園的機能」に関連する部分を押さえておきましょう。同時に「幼保連携型認定こども園として特に配慮すべき事項」についても確認しておきましょう。

③ 西洋教育史・日本教育史において重要な人物・教育思想・理論/諸外国の教育・保育実践

「人名・国名」「有名な著書」「理論」を結び付けて理解しておくことで、どのような問題形式でも対応できます。その人物の社会背景を踏まえ、どのような教育・保育の考え方を持ち、どのような実践を目指したのかを確認しておくと理解が深まります。
紛らわしい人名・著書・理論などは表を作って整理すると覚えやすいです。

④ 日本教育史

特に日本の学校教育制度の始まりである明治初期から大正時代、そして戦前から戦後までの教育制度おおまかな流れについて、テキストで確認しておくと良いでしょう。時代によって教育観に違いがあることがわかると理解が深まります。過去問で理解を定着させましょう。

⑤ 日本の教育行政/教育を取り巻く諸問題

中央教育審議会答申がほぼ毎回出題されています。文部科学省のウェブサイトで閲覧できるので、新しい教育の動向幼稚園教育要領等の改訂に関わる答申は概要を確認しておきましょう。
また、幼稚園教育要領と小学校学習指導要領との関連性を意識しながら読むと理解の度合いが深まります。テキストでポイントを確認し、過去問で理解を定着させると良いです。

教育を取り巻く諸問題については、日頃から教育・保育関連の時事問題に関心を持っておくことが大切です。

⑥ 子どもの権利

特に「児童憲章」「児童権利宣言」「児童の権利に関する条約」「こども基本法」などの本文に目を通し、「子どもの権利」が意味している内容を理解しておきましょう。
また、男女共同参画関連の内容いじめ・児童虐待といった具体的な問題から「子どもの権利」を捉えることも大切です。

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