メニュー(閉じる)
閉じる

ここから本文です

認知行動療法を知らないなんて、何てもったいないんだ!


 2014年12月に刊行した『対人援助職に効く ストレスマネジメント―ちょっとしたコツでココロを軽くする10のヒント―』の姉妹編にあたる書籍として、『対人援助職に効く 認知行動療法ワークショップ―専門職としての力量を高める3つのチカラ―』を刊行しました。

 前書は、タイトルにあるとおり、対人援助職の“ストレスマネジメント”に焦点をあて、ストレスとの上手な付き合い方を、認知行動療法(Cognitive Behavioral Therapy:CBT)の考え方や技法を踏まえて、わかりやすく解説しています。
 幸い、好評な動きをみせてくれ、「疲れ切っている相談職に効く特効薬!」「本を読むのが苦手な自分でもサクサク読めてしまう、小気味よい本です!」等の声が寄せられています。

 認知行動療法は、世界で一番活用されている心理援助アプローチです。端的にいうと、認知(考え方)や行動に焦点をあてて、それらの変容を通して問題解決を図る手法なので、例えば、利用者にとって“望ましくない行動を減らす”“望ましい行動を増やす”といった課題に効果的にアプローチできる、対人援助の現場になじみやすい技法なのです。
 「ストレスマネジメント」に限らず、対人援助職の力量向上にも大きな効果を発揮できる心理技法であるため、切り口を変えたテーマも面白い書籍になるのではないか――。
 そこで、対人援助職の方々に話を聞いたり、著者の竹田先生とどのような形が考えられるか、情報収集と作戦会議を重ねました。そして対人援助職の方々が実践において悩み対応に苦慮しがちな、(1)相手の状況を理解し援助方針をたてるためにどのように情報を収集すればよいかわからないという「アセスメントの問題」、(2)相手の抱える問題が複雑すぎてどこから手をつけてよいかわからないという「目標設定の問題」、(3)相手の問題を解決するために何をすればよいかわからないという「支援の進め方の問題」について、具体的な項目を立てて、読者の支援者としての力量が高まる内容をめざしました。

 「第1部」では、対人援助職の支援の力量を高める方法として、なぜ認知行動療法が効くのかをわかりやすく解説しています。「第2部」は“実践編”として、実践における活用法とその効果を、具体的な対人援助場面の事例を交えて、読者(=対人援助職)が実践に取り入れるイメージをもてるよう技法を解説しています。
 「第2部」は節ごとに「CBTワークショップ」(演習)を収載(全16個)、各章末には「認知行動療法こぼれ話」(コラム)を収載しています(全8個)。(1)読んで楽しく知識が身につき、(2)実践に活かせる内容であり、(3)自らの習得度が図れる内容を意識して、竹田先生とアイデアを出し合い、そのような形としています。



 「相手の拒否が強くて、うまくかかわれない」「相手の意欲が低くて、支援がうまくまわらない」「相手の怒りが強くて、冷静に対応できない」「相手の抱える問題が複雑で、どこから手をつけてよいかわからない」「そもそも、どうやって支援を進めていけばよいかわからない」等々……。
 対人援助の現場では、こうした事柄に遭遇することが多いと思います。いろいろな実務書をみて、“理想的な対応方法が書かれているようだけれど、実践には活用できないなぁ”と感じたことがある方は、是非、「認知行動療法」を試していただきたいと思います。すでに認知行動療法を知っている方は、自身の専門職としての力量向上への効果を適宜確認しながら、他の方々に教えることも考えながら読み進めていただければと思います。

 専門的な内容でありながら、随所に内容の理解を促すイラストや図版も収載することで、堅苦しくなく、気軽に読めて、読み終える頃には、以下の対人援助の実践に応用できる力が身についていることでしょう(もちろん、何度も読み返していただきたいですが)。

  • 相手の問題がなぜ起こっているかを読み解く力(アセスメントをする力)
  • 相手の問題を解決するために何をすればよいかを考える力(支援方針を立てる力)
  • 相手の問題を解決するための手立てを効果的に実践できる力(援助技術を行使する力)

 『対人援助職に効く 認知行動療法ワークショップ―専門職としての力量を高める3つのチカラ―』、是非、お手にとって活用してみてください。そして、まだ読んでいないという方は、姉妹編の既刊書『対人援助職に効く ストレスマネジメント―ちょっとしたコツでココロを軽くする10のヒント―』もご覧いただけたらと思います。

(第1編集部編集第1課  米澤 昇)