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医療的ケア児の保育 実践から学ぶ共に育ちあう園づくり

内容紹介

  • ●医療的ケア児(0~19歳)は全国に2万人以上いると推計されています。2021年に「医療的ケア児支援法」ができ、保育現場でも医療的ケア児の受入れを進める気運も高まっていますが、一方で、責任の重さや、「医療」のイメージが先行し、「できない」「わからない」「こわい」と感じている園も多いと思います。
  • ●本書は、そうしたイメージを払拭し、「大丈夫」「できる」という見通しを持っていただくための本です。医療的ケアが必要な子どもも、笑ったり泣いたりして、周りの子どもたちと切磋琢磨して成長していく「子ども」です。すでに取り組んでいる6つの園では、医療的ケアの必要な子どもも、周りの子どもも、職員や保護者達も、互いに刺激を受けて、楽しく過ごし、頑張ったり、癒され合ったりしている素敵な日常があります。そんなあたたかな様子を、豊富な写真やエピソードで紹介します。
  • ●積極的に取り組んでいる自治体として、青森県の例を紹介します。医療的ケア児の家族や園を支える自治体の役割もとても重要です。
  • ●医療的ケア児を育てている2名の保護者が、実情や思いを伝えます。園が保護者に寄り添い、役割を考えていくための参考になります。

編集者から読者へのメッセージ

  • ●「医療的ケア児」というだけで、保育園等に入れないとしたら。近所に居場所もなく、友達もおらず、親子で家に閉じこもるしかない…どんなに息詰まる毎日でしょうか。「社会」への最初の入り口で拒否されることが、どんなに辛いことであるか、想像に難くありません。どんな子どもでも、子ども集団のなかで刺激し合って育つ環境が保障されてほしいと思います。
  • ●「周囲の子と同じことができないのに、どのように保育すればいいの? 他の子どもたちにどのように説明すればいいの?」という疑問をもつ人もいると思います。本書で紹介する園では、そうした大人の杞憂を超えて、子どもたちが「世の中にはいろいろな人がいるんだ」ということを自然に学び、互いの違いや多様性を受け入れて、互いを大切に思いながら育つという貴重な時間を過ごしています。
  • ●それは、保育者も同じようです。集団・一斉保育のあり方や価値観ががらりと変わり、障害の有無にかかわらず、一人ひとりの子どもの状態や興味関心に寄り添って保育をすることにつながっています。医療的ケア児を受け入れることは、特定の子どもへの保育提供ではなく、園全体をやさしく包み込むような保育実践につながっているようです。

主な目次

1章 医療的ケア児をめぐる現状と制度
2章 医療的ケア児と共に育つ保育の実践例
 ①うーたん保育園(神奈川県茅ケ崎市)
 ②幼保連携型認定こども園風の丘(千葉県松戸市)
 ③児童発達支援事業所 あきやまケアルーム(東京都三鷹市)
 ④みやくるる(沖縄県宮古市)
3章  みんなで一緒は当たり前-青森県の取り組みから学ぶ
 ①県健康福祉部・障害福祉課・こどもみらい課、小児在宅支援センター、医療的ケア児等圏域アドバイザ―
 ②新宮団地こども園(青森県五所川原市)
 ③にじいろ保育園(青森県青森市)
4章 医療的ケアの必要な子どもと生きる-保護者の思い
 ①宮副和歩さん
 ②加藤さん(仮名)
5章 これから広がる社会-医療的ケア児も含めてインクルーシブ保育を中核とした地域社会の変革に向けて

著者情報

  • ・市川奈緒子
    渋谷区子ども発達相談センター チーフアドバイザー。元・白梅学園大学子ども学部・大学院子ども学研究科教授。専門は、障害児保育、特別支援教育など。児童発達支援事業所や保育所、小中学校等での相談業務に従事。
  • ・仲本美央
    白梅学園大学子ども学部子ども学科・同大学院子ども学研究科教授。専門は、保育学、幼児学。子どもの言葉、絵本を読みあう活動などの他に、インクルーシブ保育や医療的ケア児の保育等、保育現場の専門性についての研究。
  • ・田中真衣
    白梅学園大学子ども学部家族・地域支援学科准教授。子育て家族支援 SomLic代表。厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課障害児・発達障害者支援室の障害福祉専門官を経て現職。専門は、社会政策、子育て家族支援。