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認知症ケアに関する疑問

「何度も同じことを言う」から抜け出す! 
―認知症のある利用者への介護職の対応

 認知症のある利用者から「トイレに連れていってください」ともう10回は言われた…など、「同じことを何度も言う」症状はありませんか。
 利用者からの訴えとはいえ、何度も何度も同じことを言われるのは仕事をしながらだと個人的にしんどくなってきますよね。こんなとき、みなさんはどうしますか。

 言ったことを忘れていると思い込み、訴えに対して真摯に対応しなかったり、無視してしまったり…なんてケースもあるのではないでしょうか。

 そこで、何度も訴えている利用者に対してどのような対応をするとよいかご紹介します。


言ったことを忘れていると思い込んでいませんか?

 利用者に対して、「認知症だから言ったことを忘れているだけなのだ」と思い込んで、はぐらかすなど場当たり的な対応をしていませんか? たしかに、認知症のある利用者のなかには、言ったことを記憶しづらい人もいます。しかし、多くの場合、同じことを何度も言うのは「忘れているから」ではないのです。

言ったことには必ず理由がある!
 認知症だからと思い込んで、理由を考えずに対応するのは不適切です。利用者が言ったことには理由があります。言葉どおりにとらえずに、その背景にはどんな理由があるのか考えることが必要です。

 例えば利用者からのトイレの訴えに対して、介護職は言葉どおりに「排便」「排尿」をしたいととらえてしまいます。しかし、実際は残尿感がありトイレに行きたいと訴えていたり、下着やパッドなどがうまくはけておらず、ずれていて陰部に不快があることを訴えていたりする可能性があります。

 理由に目を向けていないと、利用者からの訴えが何度も続いてしまったときに、声に耳を傾けなくなり無視をするようなことにもつながります。

何度も繰り返し訴えているときの対応方法

 何度も繰り返し訴えている言動がみられたときにはどうすればよいでしょうか。ポイントは、「何度も訴えていることの理由に目を向ける」ことです。
 不快や不安があると「本当にこれでよいのか」と安心を求めて、確認したくなります。その思いが現れているのかもしれません。その場だけの対応にしないで、不快を感じていることがあるのか、訴えをとおして何か別のことを伝えたいのか、ふだんから目を向けていくことが大切です。
 具体的には、「トイレに連れていってください」というような何度も排泄の訴えがあった場合には、下記のように対応してみます。

① 不快に感じている部分を探る
 まずは、認知症があるから「トイレに行ったことを覚えていない」「尿意などの感覚がなくなっている」などと思い込んでかかわらないようにします。そして、陰部に何かしらの違和感や不快があるのではないかと探ることが大切です。

② 排泄後のかかわりの見直しをする
 排泄だけの支援で終わらせず、排泄後のかかわりの見直しも大切です。ズボンやパッドのはき心地はどうか、座位姿勢で苦痛はないか、お尻に痛みを感じていないかなども考えて丁寧にかかわります。

③ 原因が解消するまでかかわる
 認知症により記憶しづらくなっている利用者に対して、「さっき行った」と伝えていればよいと思うかもしれません。しかし、そうした介護職の対応は印象に残っており、利用者は「行っていない、なんでうそをつく」と不満をつのらせてしまいます。
 「なぜ何度も訴えているのか?」と疑問にもち、その原因が解消するまでかかわる必要があります。

言葉だけに注目するのではなく、利用者の生活に目を向ける

 目の前の状況や、利用者の言葉だけに注目するのではなく、利用者の生活に目を向けることが大切です。そのことで、早期発見や早期対応につながり、他職種と連携がスムーズにいき、利用者の不快の原因を解消できることもあります。訴えている言葉の裏にある思いを見過ごすことなく、しっかりとすくい上げて対応していくようにしましょう。

本文監修:山出貴宏

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このページの内容は山出貴宏『ステップアップ介護 よくある場面から学ぶ認知症ケア』からテーマを選定し、Web掲載に見合う形に編集したうえで転載しております。より詳しい内容は本書籍をご覧ください。

著者:山出貴宏
本のサイズ:A5判、186頁
定価:1800円(税別)


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