メニュー(閉じる)
閉じる

ここから本文です

今月のおはよう21

おはよう21

介護専門職の総合情報誌『おはよう21』最新号の内容をご紹介します。

「『よかれと思って…』 が逆効果 現場でよく見る認知症の人への“不適切なケア”」

『おはよう21』2022年11月号から、特集(「よかれと思って…」 が逆効果 現場でよく見る認知症の人への“不適切なケア”)の内容を一部ご紹介いたします。

利用者とかかわる際に、「よかれと思って」行ったにもかかわらず、かえって利用者の心身の状態が悪化してしまったことはありませんか?
その要因としては、認知症の人の思いや置かれている状況を十分に把握できていなかったことなどが考えられます。
現場でありがちな〝不適切〞な認知症ケアを、さまざまな場面ごとに考えます。


2 場面別にみる 認知症の人への〝不適切なケア〞

よかれと思って行ったものの、それが逆効果になってしまうことがあります。
場面別にそんなケースを挙げ、望ましい対応のあり方を考えます。

3 排泄

不適切なケア❷
トイレの認識ができない人に対して、立位保持や下衣の着脱を二人介助で行う

 トイレで排泄する、あるいはトイレという認識自体が難しい利用者に対して、最初から拒否されたり、手間がかかることを想定して、二人介助と決めていませんか(身体機能により二人対応する場合とは分けて考えます)。
 利用者が言語を理解できない状態の場合、二人がかりで無言でトイレまで誘導し、立位保持や下衣の着脱を二人で行う。これが排泄介助を効率的に行うためだとしたら、本人にとってはとても恐ろしい行為となります。
 このような利用者に、トイレに行くことを理解してもらうためには、非言語的なコミュニケーションのスキルが大切になります。
 挨拶から始まり、視線・態度・笑顔などによって、職員を認識してもらうことが重要です。これを省略すると、かなりの割合で「どこに連れて行かれるのか」という不安から、介護拒否にもつながります。
 トイレに行くという認識ができ、その合意が得られれば、身体能力に問題のない人は、自分自身でトイレ内の動作を行うことができます。二人がかりで無理にトイレ内で介入することは、BPSDにつながるだけでなく、皮膚の剥離や転倒の可能性もあり、とても危険です。

不適切なケア❸
トイレ内の動作が危険なので、うまくできないことも考えて全介助にする

 なるべく手際よく排泄ケアを行いたい、早く終わせるほうが利用者にとっても望ましい。そう考えて、トイレ内の動作を全介助するという現場もあるでしょう。
 しかし、介護職の思い通りにしようとすると、それが認知症の人に伝わり、
「この人は信頼できない」ととらえられることもあります。それはケアの拒否につながります。それで私たちは、ますます認知症の人に「一人では何もできない人」というレッテルを貼るという悪循環が生じるのです。
 認知症の人は中核症状により、トイレ内での一連の動作をすべて自分で行うのは難しいかもしれません。しかし、すべてできなくなるわけではありません。その利用者は排泄に関する動作の何ができて、何ができないかを見極めることが必要です。
 実行機能に障害がある場合は、「ズボンを下ろしてください」「便座に座ってください」といったように、一つひとつの動作を区切って声かけすることで、動作が可能になります。注意障害がある人は集中することが難しいので、利用者の前に位置して、なるべくゆっくりはっきりとした口調で声をかけていくと、その動作に集中することができます。こうした工夫をしたうえで、できない動作のみ職員が支援を行います。

不適切なケア❹
排泄の失敗をした利用者に今後は間違えないように教育していく

 排泄に失敗したときに、一番ショックを受けるのは本人です。「そんなはずはない」「何かの間違いでは」と考えているかもしれません。
 このような心理状態のときに、「できるようになってください」「もう大丈夫ですよね」などの言葉をかけたり、態度で示したりすれば、ケアに対して拒否的になるのは容易に想像できると思います。
 利用者の多くは、ケアを受けることに対して「申し訳ない」と思っています。言葉に限らず、態度にも慎重になる必要があります。失敗に対して無言で乱暴に対応してしまえば、利用者からの信頼はなくなります。
 そこで、排泄に失敗しないような支援が必要です。具体的には、本人の排泄の状態を把握するということです。排泄パターンは個別性が高いものです。排泄を我慢していることで心理状態が悪化し、BPSDにつながることもあります。「そわそわしている」「眉間にしわを寄せている」「怒りっぽくなる」など、その方が排泄したいときに現れる行動などを押さえ、その行動がみられたらトイレに誘導することが重要です。

望ましい排泄ケア

●トイレを間違えないような環境整備
●適切なコミュニケーションで、これから行うことを理解してもらう
●一連の動きのうち、できない部分のみをサポートする
●排泄パターンを把握する

執筆
坂本孝輔
地域密着型通所介護 二本木交茶店 店長
1、2-❺❻❽
椎名淳一
介護老人保健施設ケアセンター習志野 主任
2-❶❸❹
中島 健 
株式会社コスモ 専務取締役
2-❷❼

以上は、『おはよう21』2022年11月号の特集の内容です。このほかにも本誌では、下記のトピックを取り上げ解説しております。ぜひお手に取ってご覧ください。


特集

「よかれと思って…」 が逆効果 現場でよく見る認知症の人への“不適切なケア”

1 認知症の人とのかかわりで大切な4つのポイント
2 場面別にみる 認知症の人への“不適切なケア”
❶会話・コミュニケーション
❷食事
❸排泄
❹入浴
❺移動・誘導・歩行
❻レクリエーション・アクティビティ
❼役割の発揮
❽環境整備

『おはよう21 2022年11月号』
  • 本書のお買い求めは、中央法規オンラインショップが便利です。
    年間購読(増刊号2冊含む計14冊)のお客様は、1冊あたりの割引に加えまして毎月の送料をサービスさせていただきます!
    さらに、年間購読の方限定の動画配信サービスもご利用いただけます!
  • 電子版も好評発売中!
    販売サイトはAmazon富士山マガジンサービスから順次拡大予定!
  • けあサポでは今後、中央法規出版発行の月刊誌『おはよう21』『ケアマネジャー』について、最新号のお知らせや、介護現場の皆様に役立つ記事の公開をしてまいります。