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今月のおはよう21

おはよう21

介護専門職の総合情報誌『おはよう21』最新号の内容をご紹介します。

『おはよう21』2022年6月号から、特集(いまさら聞けない食事・入浴・排泄ケア “なぜ、そうするの?”がわかるQ&A)の内容を一部ご紹介いたします。[特集記事から]

 現場で新人に介護技術を教えるとき、それを行う理由まで正しく説明できていますか?
本特集では、食事・入浴・排泄を中心に、ケアの目的を整理するとともに、なぜそのケアを行うのかという根拠を、Q&A形式でわかりやすく解説します。

入浴

目的

 入浴の一番の目的は、身体を清潔にすることです。汗や汚れを流すことでさっぱりできます。しかし、清潔の保持という目的を達成するだけならば、浴槽につからなくともシャワーだけでも十分です。日本人の多くは浴槽に入り、肩まで湯につかることを好みますが、それは多くの人にとって、身体清潔だけではなく、リラックスし疲れをとって「気持ちよくなる」ことが入浴の目的となっているからです。

Q なぜ入浴の前にお湯をかき混ぜるの?

A 浴槽の湯温を一定にするため

根拠

 入浴の前には、介護者が浴槽のお湯をかき混ぜるとともに、温度を確認する必要があります。浴槽内の場所によって湯温に差ができており、それを一定にするためです。

温度変化による水の性質

 水は、温度が高くなれば膨張し体積が増え、単位体積あたりの重さが軽くなります。たとえば、4度の水100㎖の重さはおよそ100gですが、90度では100㎖の重さが約96gとなります。つまり、冷たい水は比較的重くなるので浴槽の底のほうへ、軽くなった熱い水は浴槽の上のほうへと移動します。

やけどなどのリスクを防ぐ

 そうした水の性質から、適温だと思って入っても、湯につかると冷たさを感じるということがあります。それを防ぐために、浴槽に入る前に、底のほうからお湯をかき混ぜて、湯温が一定になるようにするのです。
 逆に上のほうに熱い水が集まっているときには、かきまぜて素手で温度を確認しないと、利用者はやけどなどの危険にさらされます。
 実際に、介護者が手袋を着用したまま湯温を確認したことで、正確な湯温がわからず、利用者が浴槽に入ってしまい、やけどを負うような事故が繰り返し起きています。
 「給湯器で温度設定をしているから大丈夫」と安心していても、機械は故障することがあります。また、水温計で測っても、よく混ぜていなければ底は冷たくなっていることも考えられます。

シャワーなども湯音の確認が必要

 シャワーを使用するときも同様に介護者が手で湯温を確認します。
 洗い桶にため湯を行う場合も同様です。介護者の手で確認した後、利用者にとって快適な湯温か健側の手で確認してもらってから、足先など末梢にかけ湯をします。生活習慣にもよりますが、体にかけ湯をする場合でも、洗い桶を使用するほうが温度変化がないため安全です。

Q なぜ適温は38〜41度なの?

A 42度以上は身体への負担が大きいため

根拠

 高齢者は基礎疾患などがあることも多いため、体の負担を減らすことが必要です。
 特に、浴槽に浸かるときの湯温については、42度以上の高温になると血圧や体温の変動が生じ、身体への負担が大きく、脳出血や脳梗塞、意識障害などにもつながります。
 知覚の低下により高温を好む人もいますが、40度前後が身体に負担がない湯温とされています。血圧の変動の面からは半身浴が望ましいのですが、肩にタオルなどをかけ、かけ湯をするなどして満足度を高める取り組みも必要です。

低めの湯温にするケース

 また、足浴などの部分浴も、血圧の変動が通常の入浴と比べて少ないため、安全な方法です。ただし、足の皮膚温は低く、41度では熱く感じたり、やけどのおそれもあるため、実施する際は、ぬるめの38度〜40度で設定するのがよいでしょう。
 ほかにも、心疾患や高血圧などの疾患がある場合は、40度以下に設定することでさらに身体への負担を減らすことができます。

Q なぜ入浴剤を入れるの?

A 皮膚の乾燥を防いだり、リラックス効果を得るため

根拠

 高齢者は皮膚が乾燥しやすく、かゆみなどがひどくなる傾向があるため、皮膚の乾燥を防ぐことが重要です。しかし、入浴の際に石鹸などで身体を強く洗うと、肌から水分が蒸発するのを防ぐ皮脂も一緒に流れてしまい、乾燥しやすい状態になることがあります。
 入浴剤は、肌の乾燥を守るケアの一つとして有効です。入浴剤には、乾燥を抑える効果が期待できる保湿成分が含まれているものもあり、それらはかゆみを軽減する効果があります。

気持ちよい入浴にも

 入浴には清潔面や健康面を向上させるだけではなく、湯の色や香りでリフレッシュしたり、リラックスしたりすることで、入浴そのものが生活を豊かにする目的もあります。入浴剤はその一助になるものです。
 また、季節に応じた入浴剤を使用することで、季節感を感じてもらう効果もあります。冬はゆず湯、初夏はしょうぶ湯など、どの香りが四季を感じられるかを把握しておきましょう。
 ただし、皮膚疾患のある人には、入浴剤が適していない場合もあるので、確認してから実施するようにしましょう。

執筆

髙山彰彦 一般社団法人幸せ介護創造ファクトリー代表理事

 以上は、『おはよう21』2022年6月号の特集の内容です。このほかにも下記のような内容を解説しております。ぜひお手に取ってご覧ください。

特集

いまさら聞けない食事・入浴・排泄ケア “なぜ、そうするの?”がわかるQ&A

  • 1 ケアの目的と根拠を意識しよう
  • 2  あなたは説明できますか? 食事・入浴・排泄ケアの目的と根拠
  • 3 根拠のある説明で新人を育てよう
『おはよう21 2022年6月号』
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