メニュー(閉じる)
閉じる

ここから本文です

今月のおはよう21

おはよう21

介護専門職の総合情報誌『おはよう21』最新号の内容をご紹介します。

介助の“困った”を解決する 認知症の人を不安にさせない介護技術

『おはよう21』2024年1月号から、特集(介助の“困った”を解決する 認知症の人を不安にさせない介護技術)の内容を一部ご紹介いたします。

認知症の人に身体介護を行う際、「思うようにいかない」と困った経験はありませんか。

それを解決するためには、認知症の人の特性や心理を押さえることが大切です。
認知症の人への介護技術において、どのような点に配慮すればよいかを考えます。


認知症の人への介護技術はここがポイント

認知症の人の特性をふまえて、さまざまな場面別に押さえておきたいポイントをまとめます。

1 寝返り・起き上がり介助

利用者が手すりをつかんだまま放そうとしない(腰痛がある場合)

原因

不快な状態を避けようとしている

圧迫骨折の後遺症など、腰痛を抱えている利用者は多くいます。

寝返り・起き上がりでは、体幹をねじったり傾けたりする動きがあるため、脊椎などに負担がかかりやすくなります。
認知症を有する利用者は、痛みがあってもそれを訴えられないため、不快な状態を避けようとします。

その具体的な方法が、介助者が動かそうとする方向と逆方向に力を入れたり、視界に入った手すりをつかんだりする、といったことです。
介助者からみると、介助を拒否されているように思えるかもしれません。

既往歴・現病歴に「圧迫骨折」と記載があっても、それが腰痛を引き起こすということがわかっていないと、介助に抵抗する理由が痛みであることに気づきにくいと思います。

対応

体幹をねじらないようにする

圧迫骨折など腰痛のある場合は、できるだけ体幹のねじれや傾きがないように介助することが必要です()。

肩と腰に触れて行う介助は、寝返りの際にねじれを起こしやすくなります。
また、起き上がりの際は、起き上がる前にベッドの端へ下肢を下ろすことが多いと思います。
しかし、それによって体幹が傾き、痛みが出現します。

寝返りであれば、肩と膝に触れて、なるべく体幹がねじれないように注意しながら、ゆっくり向きを変えて寝返り介助を行います。

起き上がりであれば、起き上がる直前まで下肢をベッドの端まで下ろさず、頭を上げるのと下肢を下ろすのを、なるべく同時に、ゆっくりと行います。
それによって、痛みが生じにくくなります。

それでも不安が強い場合は、視界に手すりが見えると、つかまりたくなるので、手すりを先に外しておくのも一つの方法です。

利用者が手すりをつかんだまま放そうとしない(バランスが悪い場合)

原因

不安や恐怖感が強い

背もたれがない状態では手すりをつかまないと座位を保てない、もしくは何とか座位を保っている(油断すると座位が保てなくなる)利用者は、座位を保持するためのバランスが低下しています。

原因疾患にかかわらず、座位のバランスが悪い利用者は少なくありません。
現病歴や既往歴だけを見てもわからず、廃用症候群によるものなど原因はさまざまです。
そして、このような状態の利用者は、側臥位のときも同様に、姿勢を保てません。

バランスが悪い利用者は、動かされる、あるいは不安定な状態にされることに恐怖感を抱くため、手すりが視界に入ったらすぐにつかみ、強く握りしめてしまいます。

介助者にとっては、理由がわからないので、介助を拒否されているように感じます。

他には、全身が緊張してマットレスや背もたれに身体を強く押しつける場合もあります。
そのときは、ベッドから起こすときに、身体が突っ張って後方にひっくり返りそうになることがあります。

対応

手すりが視界に入らないようにし、安心感を与えるように身体を支える

バランスの悪さが原因で怖がって、手すりなどを握り込んでしまう場合は、まず手すりが視界に入らないようにします。
外せる手すりであれば外す、もしくは、利用者の視界に手すりが入らないように、介助者が立ちます。

そして、介助者につかまってもらうようにすると、介助がしやすくなります。
また、急に身体を動かされると恐怖感が生じるので、ゆっくり介助することを意識します。

介助の基本は、やさしく触れることですが、利用者がしっかり支えられていないと感じると、不安が強くなります。
利用者をつかまないように気をつけながら、安心感を与えるように、しっかり支えましょう。

ベッド上で身体が突っ張っていて、起こそうとしたときに後方へ倒れそうになる場合は、一度しっかり完全側臥位(90度側臥位)にします。
その状態でベッドから下肢を下ろし、電動ベッドのギャッチアップ機能を使って、20度ほど起こしてから行うと、人力だけの介助より安定するので、後方への突っ張りが減らせます()。

続きは本誌でご覧いただけます。

執筆
田中義行(株式会社大起エンゼルヘルプ 介護事業部 部長補佐)

以上は、『おはよう21』2024年1月号の特集の内容の一部です。このほかにも本誌では、下記のトピックを取り上げ解説しております。ぜひお手に取ってご覧ください。


特集

介助の“困った”を解決する 認知症の人を不安にさせない介護技術

  • 1 現場でよくある 対応に困るケアの場面
  • 2 認知症ケアで押さえるべき5つの視点
  • 3 認知症の人への介護技術はここがポイント
『おはよう21 2024年1月号』
  • 本書のお買い求めは、中央法規オンラインショップが便利です。
    年間購読(増刊号2冊含む計14冊)のお客様は、1冊あたりの割引に加えまして毎月の送料をサービスさせていただきます!
    さらに、年間購読の方限定の動画配信サービスもご利用いただけます!
  • 電子版も好評発売中!
    販売サイトはAmazon富士山マガジンサービスから順次拡大予定!