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再録・誌上ケース検討会

このコーナーは、月刊誌「ケアマネジャー」(中央法規出版)の創刊号(1999年7月発刊)から第132号(2011年3月号)まで連載された「誌上ケース検討会」の記事を再録するものです。
同記事は、3人のスーパーバイザー(奥川幸子氏、野中猛氏、高橋学氏)が全国各地で行った公開事例検討会の内容を掲載したもので、対人援助職としてのさまざまな学びを得られる連載として好評を博しました。
記事の掲載から年月は経っていますが、今日の視点で読んでも現場実践者の参考になるところは多いと考え、公開することと致しました。


第22回 長期にわたって両親を介護している家族への支援
(2000年11月号(2000年10月刊行)掲載)

スーパーバイザー

奥川 幸子
(プロフィールは下記)

事例提出者

Dさん(在宅介護支援センター・ソーシャルワーカー)

事例の概要

援助開始時:平成10年3月

名前 山田ハツ(仮名) 女性 77歳

病名 左大腿骨頸部骨折。術後、パーキンソン病、脳梗塞後遺症(66歳で発症)による軽度の左半身不随

家族の状況

  • ・夫(吉三・仮名) 81歳。気管支喘息のため寝たり起きたりの生活
  • ・長女 主介護者
  • ・長女の夫 船員
  • ・他の娘たち 他県在住で年1~2回の訪問
  • ・孫 勤めのかたわら家事を手伝う。介護にも協力的

日常生活動作・身体状態

  • ・移動:屋内―杖歩行 屋外―シルバーカー(庭のみ)、外出は介助なしには困難
  • ・食事:準備されたものを自立摂取(時間がかかる)、食欲あり
  • ・排泄:ポータブルトイレ使用
  • ・着脱:一部介助
  • ・入浴:一部介助
  • ・その他:骨折の後遺症のため床からの起立困難、難聴(補聴器使用)。障害老人の日常生活自立度判定基準:ランクA2。痴呆性老人の日常生活自立度判定基準:ランクⅠ

経済状態・・・問題なし

生活歴
 S県にて出生。長女のため、婿養子を迎える。夫は若い頃は船員をし、後には家業の農業に従事する。結婚後、4人の子どもをもうける。現在、長女家族と同居。66歳の頃、脳梗塞を発症し、軽度の左半身不随となり、自宅にて療養生活を送る。74歳頃より心不全、パーキンソン病を発病したりと入退院を繰り返すようになる。

プロフィール

奥川 幸子(おくがわ さちこ)

対人援助職トレーナー。1972年東京学芸大学聾教育科卒業。東京都養育院附属病院(現・東京都健康長寿医療センター)で24年間、医療ソーシャルワーカーとして勤務。また、金沢大学医療技術短期大学部、立教大学、日本社会事業大学専門職大学院などで教鞭もとる。1997年より、さまざまな対人援助職に対するスーパーヴィジョン(個人とグループ対象)と研修会の講師(講義と演習)を中心に活動した。主な著書(および共編著)に『未知との遭遇~癒しとしての面接』(三輪書店)、『ビデオ・面接への招待』『スーパービジョンへの招待』『身体知と言語』(以上、中央法規出版)などがある。 2018年9月逝去。