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山口晃弘の超幸齢社会の最幸介護術

山口 晃弘(やまぐち あきひろ)

超高齢社会を実り多き「幸齢社会」にするために、
介護職がすべきこととは?
元気がとりえの介護職・山口晃弘が紡ぐ最幸介護術。

プロフィール山口 晃弘 (やまぐち あきひろ)

介護福祉士、介護支援専門員。1971年、東京都生まれ。高校卒業後、設計士、身体障害者施設職員を経て、特別養護老人ホームに入職し、介護職・生活相談員を務め、その後グループホームの管理者となる。
現在、社会福祉法人敬心福祉会 千歳敬心苑の施設長。著書に『最強の介護職、最幸の介護術』(ワニブックス、2014年)がある。

著書

『最強の介護職、最幸の介護術』
『最強の介護職、最幸の介護術』

「人の介護を笑うな」

 介護サービスというのは、さまざまな人が利用します。認知症のあるご利用者で、周辺症状がみられ、精神的にかなり混乱していたり、暴力的になったり、ずっと歩き続けたり…、という人もいます。

 もう10年以上も前になりますが、私が特養の生活相談員だった頃、認知症でかなり混乱している方に入居していただくと、現場の職員から「あんな大変な人はみられません」「ほかの利用者に迷惑がかかります」「どうやったら落ち着くんですか?」なんて責められることもありました。
 その都度、「君たちのようなプロの介護職でさえ、大変だと思う人を、介護については素人のご家族が頑張って家で介護してきたんだよ。そのご家族がいよいよ介護できない事情があって、大切な家族を悩みながら施設に預けたんじゃないか。それに私たちは交代勤務で終わりがある。ご家族には終わりがないんだよ。何とか、みてあげられないものかな」。そんな話をしながら、頑張ってもらっていました。
 その結果、職員たちは、そのご利用者にとって、施設を安心できる場所にしていくんですよね。さすがプロフェッショナルだと感心させられます。

 いまも施設には、自宅から入居され、環境の大きな変化に戸惑い、起きている時間はほぼ歩き続けているご利用者がいらっしゃいます。横着な人は、「この人は何という認知症ですか? どうやったら落ち着きますか?」と答えを知りたがります。たしかに認知症の種類や症状によって有効な薬や対処方法はあるかもしれません。しかし、長年介護をしている諸先輩方は、一緒に歩く、否定しない、やさしく接する、といった決してシステマチックとは言い難い介護をしています。
 介護職になって23年になるT主任は、「〇〇さん(職員)が一緒に歩くと、うれしそうにされているんですよ」「やっぱり環境が変わって不安なんですよね。やさしく寄り添って話していると、表情がいいんです」と、私のところに来て活き活きと報告してくれます。23年、介護の仕事を続けているT主任でさえ、一緒に歩く、やさしく寄り添うということからはじめる。ご利用者を知る努力からはじめるのです。

 これをサイエンスでないと笑う人がいるでしょうか。
 私はむしろ人の心に寄り添う彼らにプロとしてのプライドを感じます。
 しかも、コロナ禍において、誰しもが心にストレスを抱えているなか、ご利用者の変化を活き活きと話す彼らに、プロとしての凄みを感じます。

新刊のお知らせ(編集部より)

このたび、山口晃弘氏の著書が発行されることとなりました!
テーマは、介護現場の「リーダーシップ」と「人材育成」です。

現場の職員から「一緒に働きたい!」と思われる人気者リーダーになるために、役立つ知識、使えるツール、心揺さぶられるエピソードが満載の一冊です。ぜひ、ご一読ください!

介護リーダー必読!
元気な職場をつくる、みんなを笑顔にする リーダーシップの極意
定価 本体2,000円(税別)
A5判、218ページ
ISBN978-4-8058-8278-8