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山口晃弘の超幸齢社会の最幸介護術

山口 晃弘(やまぐち あきひろ)

超高齢社会を実り多き「幸齢社会」にするために、
介護職がすべきこととは?
元気がとりえの介護職・山口晃弘が紡ぐ最幸介護術。

プロフィール山口 晃弘 (やまぐち あきひろ)

介護福祉士、介護支援専門員。1971年、東京都生まれ。高校卒業後、設計士、身体障害者施設職員を経て、特別養護老人ホームに入職し、介護職・生活相談員を務め、その後グループホームの管理者となる。
現在、社会福祉法人敬心福祉会 千歳敬心苑の施設長。著書に『最強の介護職、最幸の介護術』(ワニブックス、2014年)がある。

著書

『最強の介護職、最幸の介護術』
『最強の介護職、最幸の介護術』

「仲間」

 介護はチームワーク。
 できれば同じ仲間とずっと一緒に働きたいものです。
 しかし、それぞれの事情があって、退職していく人がいるのはやむを得ません。

 男性職員S君が、職場を退職することになりました。
 明るくて、お調子者で、重たい空気が苦手ですぐにおちゃらける。10年以上勤めているのに、貫禄がないから、新人職員にもすぐに親しげな口をきかれる。利用者さんに対してもふざけてばかりいるから、女性職員からは「ちゃんとして!」なんて怒られてばかり。
 私は、こんなS君が退職することが寂しくてたまりません。

 私が入職した4年前。突然現れた落下傘の上司に、みんなも緊張しているなかで、気さくに声をかけてくれる彼にどれだけ救われたかしれません。
 誰の目にもお調子者に見える彼ですが、本当はとっても繊細な男です。

 重たい空気が苦手で…と、すぐにおちゃらけて見せるのも、明るい雰囲気のなかでみんなに仕事をさせたいという彼の配慮です。
 10年以上勤務しているのに、「貫禄なく」見せるのも、入職したばかりの緊張した人が早く職場になじめるようにという彼の優しさです。
 利用者さんに対してふざけてばかりいるのも、職員が忙しかったり、余裕がなくなって雰囲気がギスギスしてしまわないように、利用者さんにいつも笑っていただけるようにする彼の心の大きさなのです。
 常に人を見て、常に空気を読んで仕事する。
 繊細な人間にしかできないことです。

 先日、職場に最後の挨拶に来ました。最後までみんなにいじられ、みんなを笑わせて、まるで明日も来るかのように帰って行きました。

 働く場所は変わりますが、仲間はどこにいても仲間です。
 S君がS君らしく、ますます活躍してくれることを願っています。

 10年間、本当にお疲れさまでした。

 心でつながる仲間、友だちこそ、人生における財産です。