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山口晃弘の超幸齢社会の最幸介護術

山口 晃弘(やまぐち あきひろ)

超高齢社会を実り多き「幸齢社会」にするために、
介護職がすべきこととは?
元気がとりえの介護職・山口晃弘が紡ぐ最幸介護術。

プロフィール山口 晃弘 (やまぐち あきひろ)

介護福祉士、介護支援専門員。1971年、東京都生まれ。高校卒業後、設計士、身体障害者施設職員を経て、特別養護老人ホームに入職し、介護職・生活相談員を務め、その後グループホームの管理者となる。
現在、社会福祉法人敬心福祉会 千歳敬心苑の施設長。著書に『最強の介護職、最幸の介護術』(ワニブックス、2014年)がある。

著書

『最強の介護職、最幸の介護術』
『最強の介護職、最幸の介護術』

何のため…、誰のため…

 職員の採用面接で、いちばん知りたいのは、その人の人柄です。
 以前は面接をしながら、その人の言うことをメモしていました。
 最近は、面接中にメモをすることはほとんどありません。
 面接の所要時間は長くても30分程。そんな短い時間のなかで、その人の人柄を見るわけですから、下を向いてメモを取る時間がもったいないのです。

 採用面接ですから、面接を受けに来る人も会社に良い印象を与えようとしてくれます。
 面接で質問されるであろうことを想定し、良い印象を与える答えを用意してくれています。
 だから私は、あえてイレギュラーな質問をします。質問された相手が「え?」という反応を示す質問。つまり想定、用意していなかった質問に対し、どのような回答、どのような表情、態度をするのか見たいのです。  

 人間は誰でも上手くいっている時や順風満帆な時は良いことを言います。
 だけど、大事なのは上手く行かない時や苦しい時に何を言うかです。
 特に介護、福祉の現場は忙しいですし、認知症の方は「事実」と異なることを言って、混乱していることも多い。そういった状況でも、心穏やかに、人に対して思いやりや尊厳をもって向き合うことができるのか…、それを問いたいのです。

 面接では、介護、福祉の仕事を選んだ動機として、「親が祖父母の介護をしていた時に何もできなかったから」という回答をよく聞きます。
 もちろん、疑うことはないのですが、この回答よく聞くなぁ…と思います。
 それを職業として考えるには、もう一歩踏み込んだ理由がないのか?その理由が聞きたい。
 「利用者さんの笑顔のため」それも素敵な理由ですが、介護、福祉といえど職業にするということは、とどのつまり自分の生活のため、自分が生きるためです。

 人のため…、それはもちろん美徳ですが、人のためと思っていると、上手くいかなかった時、人のせいにしてしまう気がします。
 人のためにしていることであっても、それが自分を成長させ、自分の喜びや達成感、そして収入を得て生計を立て自分のためになっているのです。  

 「してあげている」とおごることなく、一職業人、一社会人として感謝の気持ちをもって働いてほしいです。


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