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山口晃弘の超幸齢社会の最幸介護術

山口 晃弘(やまぐち あきひろ)

超高齢社会を実り多き「幸齢社会」にするために、
介護職がすべきこととは?
元気がとりえの介護職・山口晃弘が紡ぐ最幸介護術。

プロフィール山口 晃弘 (やまぐち あきひろ)

介護福祉士、介護支援専門員。1971年、東京都生まれ。高校卒業後、設計士、身体障害者施設職員を経て、特別養護老人ホームに入職し、介護職・生活相談員を務め、その後グループホームの管理者となる。
現在、社会福祉法人敬心福祉会 千歳敬心苑の施設長。著書に『最強の介護職、最幸の介護術』(ワニブックス、2014年)がある。

著書

『最強の介護職、最幸の介護術』
『最強の介護職、最幸の介護術』

「だからそれでどうするんだ!」

 熊本県の高齢者介護施設で、また痛ましい事件が起きてしまいました。
 88歳の女性入居者に対し、腹を数回殴るなどの暴行を職員が加え、死亡させた疑いが持たれています。

 ネット上では、相変わらず様々な声が上がっています。
 許せないなどの怒りの声、一方で介護職員の待遇の悪さに同情する声も少なくありません。
 だから、それでどうするのでしょう?
 誰に向けた怒りでもありません。繰り返し起きるこのような事件に、憤りを感じずにはいられないのです。

 介護職員は、給料が高くなれば優しくなるのでしょうか。
 確かに、敷居が低い業界ではあります。様々なタイプの方が入職されてきます。
 中には、これまでの人生で屈折してしまったような人がいて、どのような指導にも改善しようとせず、利用者に寄り添うことが難しい職員もいます。

 でもね、それでもやるしかないのです。
 私はこれまでよく「心は心でしか救えない」と言ってきました。
 これは高齢者に限ったことではなく、すべての人に当てはまることではないかと思います。
 生い立ちや社会経験の中で、心が屈折してしまった人もいるでしょう。
 そういった人たちとも心で向き合っていくしかない。誰かが真剣に正面から向き合っていくしかないと思うのです。
 10人の人がいたら、9人の人はそれでも振り向いてくれないかもしれません。
 それでも1人の人の心が動いてくれたら、0よりはいい。
 地味で効率の悪いやり方かもしれません。だけど、私はこのやり方しか知りません。
 虐待事件が後を絶たないと、どんなに嘆いても、世の中を憂いても、それだけでは何も変わらないし、何もしていないのと一緒です。
 誰かが真剣に向き合っていかないと。
 最初からあきらめていたら、何も変わらないから。



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