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和田行男の婆さんとともに

和田 行男 (和田 行男)

「大逆転の痴呆ケア」でお馴染みの和田行男(大起エンゼルヘルプ)がけあサポに登場!
全国の人々と接する中で感じたこと、和田さんならではの語り口でお伝えします。

プロフィール和田 行男 (わだ ゆきお)

高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。
特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は株式会社大起エンゼルヘルプ地域密着・地域包括事業部 入居・通所事業部部長。介護福祉士。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。

ミヤコジマ

 自分のことを自分で続けられるように
 福祉用具の中には、この目的に沿って作られ・用意されているものがたくさんあります。

 自助具といわれるものはそれに当たるでしょうし「オムツや尿取りパッドが良くなったから安心して外出できるようになった」という声も聞きます。

 先日、沖縄県宮古島に行ってきました。
 高校生への講話を依頼されたからですが、現地の介護事業者のお話によると、この島では、外出支援自助具へのニードがないそうで、シニアカーでさえ需要がないそうです。確かに、短い滞在でしたが、それを使って移動している人を見かけませんでしたね。

 今から四十年以上前になる1980年代、障害をもった方々の旅の運動にかかわり始めたころ、障害をもった方が外出しない理由のひとつに「自分の姿を世間にさらけ出したくない」というのがあると聞きましたが、この島も同じ理由だそうです。ただ「ステキだな」と思ったのは、車いすに乗せてもらって町に繰り出すのはイヤだから、意地でも歩こうとするんだそうです。

 哀しい話も聞きました。
 80歳代に入って島に戻りデイサービスに通い出した時、「食べさせてもらった」ととてもありがたがってくれたそうですが、かつて島では子供ができても食べさせることができず子供を売っていたようで、その方も売られた方だったそうです。哀しい時代ですね。

 宮古島は、数年前から観光バブルのようで沖縄本島よりも有効求人倍率はかなり高く、ホテルが建つと一気に上がるそうです。来春卒業生の中にもホテルに就職する人がいましたね。

 卒業生10人中一人しか島に残らないそうですが、大人たちは島を一度は出ることを勧めているようです。ただし、精神的にくたびれて戻ってくる者もそれなりにいるようで、世界に誇る色とりどりの海の色・空の色に囲まれた島の子にとって、どこに行っても環境が違い過ぎ「環境不適応」を起こすのは無理もない話だと思えました。

 言葉に関する面白いエピソードもたくさん聞き、泡盛を呑みながら一生懸命メモしたのですが、自分のメモの日本語が読めない!

 沖縄本島のみならず、宮古島界隈でも地域によって・島によって方言が違うそうで、ズレが起きることもあるようですし、高齢者が話すと意味がわからないことが結構あるようです。言葉って「文化(自然を取り込んで人が産み出したもの)」そのものだと思うのですが、とっても面白いですね。

写真

 ヤシガニ
 沖縄に何度も来させていただき、ヤシガニが歩いているところは見たことがありますが、ヤシガニを食べたのは初めてです。
 ヤシガニと言えばディズニー映画「モアナと伝説の海」に出てくるタマトアで、子供たちは怖がるほど迫力あるのですが、何とそれを食べちゃいました。
 カニみそは絶品で、みそをつけて身を食べるとたまらんかったですね。