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和田行男の婆さんとともに

和田 行男 (和田 行男)

「大逆転の痴呆ケア」でお馴染みの和田行男(大起エンゼルヘルプ)がけあサポに登場!
全国の人々と接する中で感じたこと、和田さんならではの語り口でお伝えします。

プロフィール和田 行男 (わだ ゆきお)

高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。
特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は株式会社大起エンゼルヘルプ地域密着・地域包括事業部 入居・通所事業部部長。介護福祉士。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。

バナナの皮の試食会


 バナナの皮を食べてしまった、小規模多機能型居宅介護事業所を利用するトメさん(仮名)。
 それを見た職員は「あれま~皮を食ってまった」と困惑顔。
 ところが別の職員が「バナナの皮、おいしいよ」と“ひとこと”こぼしたもんですから、即試食会の開催となりました。

 バナナの皮を食べたことがあるのはひとりだけ。バナナの皮を素揚げにして食べると、食べたことのない職員も含めて、みんな一様に「意外! おいしい!」

 実はバナナの皮は栄養満点! 幸福感やストレス解消に働く脳内の神経伝達物質セラトニンの生成を促し、目を紫外線から守る抗酸化物質のルテインが豊富。

 トメさん、認知症で「おかしなことをする人扱い」されるところでしたが、栄養満点のバナナの皮を捨てている職員さんのほうがよっぽど「おかしなひと」ってことでした。

 しかもトメさんは認知症。脳内の神経伝達物質の生成を促すバナナの皮を食べるのは極めて理にかなっているじゃないですか。
 まぁ、本人がそのことを知っているかどうかは知る由もありませんが…。

 おいしいよと言った職員も、そのことを知っていたわけではないのですが、子どものころによく母親が作ってくれていたようで、その体験がトメさんを救いました。

 また、職員たちに新たな知恵を授けてくれましたが、バナナの皮を食ったトメさんのおかげ。ありがたいことです。

 認知症でおかしなことをする人にされている人はウン万人といることでしょうが、おかしな人にしている大半は「知ろうともしない素人」によるもの。

 どこの介護事業所の職員集団も「介護で飯食っているプロ」であることに違いはありませんが、プロ=プロフェッショナルとは限りません。

 バナナの皮を食べてしまった利用者のことを「おかしなことをした」なんて素人のように騒ぐ前に、バナナの皮について調べ、バナナの皮を食ってみる支援者でありたいものです。
 さらに、バナナの皮の「おいしい食べ方」を研究して身につけようとするプロフェッショナルな支援者でありたいものです。

 うちの事業所でも、体験のある職員がいなかったらこうはならず「おかしなことをしたとめさん」でとどまっていたかもしれません。

 自分たちに体験があるかどうかではなく、何に対しても調べるなど行動を起こして検証することの大切さをここから学ばねばです。

 トメさんの言動の理由(わけ)を突き詰めようともしないまま「おかしなことをするトメさん」とレッテルはってプロの介護職だと名乗っているほうが、よほどおかしな人だと自覚せねばです。

 [後記]
 (株)波の女ホームページ「和田行男の波の女とともに」に同様の記事を掲載していますことを御承知おきください。

写真

 高齢社会よりもよっぽど深刻な少子化社会の現実を改めて突き付けられた、ある現役小学校1年生の教室の光景です。
 ホント深刻で“日本の危機”を感じます。
 ちなみに全校生徒数10人台の小学校でしたが元気いっぱい。それだけに、社会を動かしている大人が問われるなと思わされました。