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和田行男の婆さんとともに

和田 行男 (和田 行男)

「大逆転の痴呆ケア」でお馴染みの和田行男(大起エンゼルヘルプ)がけあサポに登場!
全国の人々と接する中で感じたこと、和田さんならではの語り口でお伝えします。

プロフィール和田 行男 (わだ ゆきお)

高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。
特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は株式会社大起エンゼルヘルプ地域密着・地域包括事業部 入居・通所事業部部長。介護福祉士。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。

コロナで止まっていても応援体制は抜かりなく

 海外から来てくれる技能実習生たちが渡航できず、母国に足止めされて、もう二年近く経ちました。

 僕の所属法人でも技能実習生の受け入れに取り組んでおり、一期生に続き二期生の面接も終えて入国を待つばかりでしたが、完全に止まってしまいました。ここにきて、実習生の中には、待ちきれずに技能実習で日本に来ることを諦めた方もいます。

 技能実習生として送り出すために多額の借金をしている方々の生々しい話を聞いてきただけに、その返済も含めてキツくなっているのではないか、酷いことになってやしないかあれこれ考えると、ウイルス相手に手の施しようがないのですが、苦しい限りです。

 介護技能実習一期生たちは、来年三年間の実習を終えるというのにいまだ二期生は入国もできず。たった一年のことですが、実習生の家族たちも含めて、それぞれの人生にとんでもない狂いを生じさせてしまったのではないでしょうか。

 同時に、実習希望者のみならず、実習生を心待ちにしていた日本側の介護事業所も目論見が大幅に狂い、人の確保で四苦八苦していることでしょうし、実習生と介護事業者を結ぶ「受け入れの組合」がバタバタ倒れたとか。

 そんな中、新たに設けられた「特定技能ビザ」により、介護以外の技能実習生で来日していた方々が特定技能ビザに移行して介護業界に入ってきてくれています。
 僕が関係する法人でも特定技能ビザでの就業者が出始めていますが、リンさん(仮名)もその一人です。
 リンさんは紡績工場での技能実習を終えたのち帰国せず、特定技能ビザに切り替えて介護業界へ入って来てくれた方です。

 介護技能実習の場合は、日本語能力検定で一定の水準に至っていないと入国できませんが、リンさんのように工場に実習生として入るとそのハードルがありませんから入ってきやすいのですが、実習先で同じ国から来た者同士の中で過ごすし、仕事の中で日本人と接することもなく、実習の中で日本語も必要ないとなると、自ら語学力を獲得しようとしない限り上達するわけもなく、日本語の水準にかなり個人差があるそうです。

 逆に、僕の関連法人に介護技能実習で入ってきた人たちは、そもそも日本語に触れる機会が多く日本語が上達しやすいことから介護業種を選んでいる人がほとんどですから、日本語の取得意欲の高さと環境がマッチしているので上達速度は早いでしょうし、結果として検定ランクも上がってきていますし、すでに「検定てっぺん」までいきついた実習生もいますからね。

 僕らも、別のビザで来日している日本語堪能な実習生の母国人による日本語の勉強機会(メチャ厳しい勉強会のようですが確実に積みあげてくれます)を特別に設けて応援体制をとっており、就業前から日本語は片言ながら話せたリンさんも、毎週勉強会に出て日本語能力を上げようと意欲的です。
 ただ難しいのは、「日本語が話せる=日本語が理解できる」とは違うので、仕事の中で丁寧に説明しないとズレが生じてきます。

 例えば、移動に際し「付き添い・見守り」が必要な利用者さんから離れてしまったリンさんですが、そのことを改めて伝えると「〇さん、だいじょうぶ。転んだことない」と返ってきたそうです。
 確かに転んだことのない〇さんですが、転ぶ可能性が高いため「付き添い・見守り支援でリスクヘッジする」のも僕らの仕事だということを伝えるのがなかなか難しく、「わかりました」と言いつつも、やっぱり離れてしまうようです。

 直接的に手を出して「してあげる=家政婦さん的な仕事」の習得は難しくないようですが、「見守る」「待つ」とか「本人ができるように」とか「互いに助け合ってできるように」といったことは、日本語の理解だけでわかることではないため難しいでしょうね。いや、日本人でも、教育を受け介護の資格を有した者でも難しいことですから、気長にやるしかないです。

 リンさんは8月からグループホームで就業し始め、11月より一人夜勤へ挑み始めました。通常より遅い時間までベテラン職員が「遅出勤務」を延長し、かつベテラン職員が通常の「日勤」より早く出勤する体制をとって「ひとりになる時間」を極力減らし、加えてリンさんが従事するフロアー以外のフロアーにベテラン職員を夜勤で配置して「イザ」の時に備えさせています。

 しかもリンさんのフロア責任者は「ライン」まで駆使する念の入れようで、何とか一人で夜間勤務に従事できるように応援しているのですが、そのベースはリンさん自身に仕事ができるようになろうとしている一生懸命の姿があればこそです。

 第五波感染状況が急速に鎮静化し、いよいよ外国人労働者入国環境が整ってきた=「さぁ再開だ!」と期待を抱けたのも瞬間で、オミクロン株の出現でぶっ飛びましたね。

 僕が生きている間に自由往来できるときが取り戻せるかどうかわかりませんが、日本で学びたい・働きたい外国の若者の願いが叶うように、一生懸命を応援できるように受け入れ態勢だけは整えておかねばです。

写真

 先日免許証の更新に行くと、僕の在住地の所轄免許センターは、そのものが建て替えで一新されていたのですが、「認知機能検査」の窓口が備えられ、時代の流れを感じました。
 僕にはまだ先ですが、年齢に関係なく希望者全員にこの検査を受けさせてもらえるようにすればいいのなって思いました。ならば僕も受けてみますがね。