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和田行男の婆さんとともに

和田 行男 (和田 行男)

「大逆転の痴呆ケア」でお馴染みの和田行男(大起エンゼルヘルプ)がけあサポに登場!
全国の人々と接する中で感じたこと、和田さんならではの語り口でお伝えします。

プロフィール和田 行男 (わだ ゆきお)

高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。
特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は株式会社大起エンゼルヘルプ地域密着・地域包括事業部 入居・通所事業部部長。介護福祉士。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。

泣きじゃくる僕


 今朝、こんな夢で目が醒めました。
 ここは大分県の山の中のロッジ。ちびっこ連れで仕事がてら「オトコ旅」に出て6日目の朝のことです。

 ブログでもアップさせてもらっていますが、8月25日、仙台でトーク&ミュージックライブをやらせています。
 仙台では、北海道の「カッパーズ」というバンドのメンバーとして演らせていただきますが、仙台トークライブ三年目にして実現した、僕にとっては人生の一大イベントです。

 札幌の介護専門学校で知り合った音楽大好き三人組が組んで演っていたバンドが、卒業とともに解散となり、それぞれが介護現場で仕事をしていました。

 数年前に奈良の仲間たちが、地元の有名なライブハウスを借り切ってトーク&ミュージックライブをやらせてくれたことをきっかけに、グループホームの管理者におさまっていたそのバンドのメンバーの一人、荒川さんが「北海道でもやろう!バンドはある」ということになり、苫小牧の有名なライブハウスを借り切って北海道でも始まったのが、カッパーズ誕生のきっかけです。

 初年度の打ち上げで主催者だった釜谷さんが「来年はわたし、ベースギターをやりたい!練習するから」と言い出したため「次年度もやる」ことになり、味を占めたらやめられなくなるのが「スポットライト」ですから「また次年度も」と続けることになり、カッパーズとして熟成されてきました。

※荒川さん、釜谷さんなどカッパーズのメンバーは下記「仙台ライブ」を参照してください。

 昨年グループホーム協議会の企画でカッパーズが招かれたのですが、その打ち上げで「次は仙台へ行くぞ!」と号令をかけると、仙台の仲間も「招致!」とみんな盛り上がったのですが、メンバーの一人が病気になり、今年の春の苫小牧トークライブではステージに上がれませんでした。

 でも「仙台で完全復活!」を胸に刻んで自分を奮い立たせ、他のメンバーもそれを心待ちにして挑むステージが、今度の「仙台トーク&ミュージックライブ」なんです。

 だから僕的にもカッパーズ的にも一大イベントなんですが、こともあろうに今朝見た夢に出てきたのは、その大事なステージで演る楽曲の歌詞をまったく思い出せず、ステージ上で立ちつくし・泣きじゃくる自分の姿だったんです。

 いつか僕にもそういう日がくるかもしれない。
 いつもそう思って生きてはいますが、こともあろうに、このステージでくるとは…。

 きっとそんな夢を見たのは、突拍子もない話ではなくて、何十回も楽曲を聞いて一生けん命憶えようとしているのに憶えきれない自分を感じているからで、知らない歌でも一度か二度聞けばメロディーが残り、歌詞を覚えようとしなくても口ずさめた若い頃とは違うってことに苛立っているからかもしれません。
 また、義歯の影響で舌の動きや口の動きに“ぎくしゃく感”があり、言葉をくっきりと出せなくなってもいますから余計なんでしょう。

 認知症という状態で人は、今まさに通過しようとしているのか・すでに通過したのか個々人の違いはあるにせよ、この「苛立ち」はある・あったはずで、できなくなっていく自分の姿に涙する僕の夢を見た僕は、婆さん支援をする・考える介護の専門職としては健全なのかなとも思えました。

 8月25日仙台のステージで立ちつくし・泣きじゃくるかもしれない僕の姿を見に来ていただけたら幸いです。

追伸

 夏の雨上がりの道路は、熱せられた道路の影響で湯気が立ち込め幻想的な状況になりますが、ちびっこ2号はその光景を見て真面目な顔で「道路の下にスープがある」と。

写真

 中国山地の山中を走る鉄道路線のひとつ芸備線と木次線。それを結ぶ駅が「備後落合」というところです。


 木次線は1日3本、芸備線もご覧のとおり。
 備後落合駅前には何もなく・人気もなく、まさに鉄道の結び目駅ですが、時刻表を見てわかるように1日のなかで14時台だけは、この駅がにぎわいます。
 まず芸備線新見方面から備後落合に列車が到着しますが、この列車は折り返し新見行14時37分発(冒頭写真 鏡左の列車)となります。
 次に芸備線三次方面から備後落合に列車が到着しますが、この列車は折り返し三次行14時38分発(冒頭写真 鏡右の列車)となります。
 その2列車が駅で待機している間に、木次線の列車が宍道方面から到着し、それは折り返し宍道行14時44分発(冒頭写真 ど真ん中オレンジの列車)となるため、山の中の閑静な駅がこの時ばかりは3本の列車でにぎわうのです。それが冒頭の写真です。

 ここ数年の鉄道ブームのなか、夏休みに入ったので「撮り鉄」「乗り鉄」のマニアたちで列車にたくさんの人が乗り、この秘境の駅も瞬間は嵐のようにたくさんの人でにぎわいましたが、すぐに蝉の鳴き声響くだけの静寂に。


 これはちびっこ1号が撮影した芸備線三次行列車です。

お知らせ
トークライブ in 仙台2016
日時:2016年8月25日(木)14時30分~20時
場所:darwinライブハウス(仙台市青葉区一番街3-9-13)
※詳細は以下のファイルをご覧ください。

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