福祉の現場で思いをカタチに
~私が起業した理由 ・トライした理由 ~
志をもってチャレンジを続ける方々を、毎月全4回にわたって紹介します!
【毎週木曜日更新】
第9回③ 原田朋子 任意団体 虹色畑クラブ代表
参加者さんの声を聞きつつ、みんなで一緒に
よりよいカタチの「活動をつくっている最中」
任意団体 虹色畑クラブ代表 社会福祉士
原田 朋子(はらだ ともこ)
1970年生まれ
発達障害、不登校、ニートの人や生きづらさを抱えている人達の気力体力の回復を目的とする農業体験活動を行っている。2016年から2018年4月まで成人発達障害と歩む会「シャイニング」代表。2018年4月より、虹色畑クラブを立ち上げる。横浜・藤田農園とパートナーシップを結び、農作業を通して発達障害など生きづらさを抱える人たちが社会復帰や自立への一歩を踏み出せるようになることを目指す。
ひきこもりの若者支援機関よこはま北部ユースプラザ非常勤
- 虹色畑クラブ ブログ
https://ameblo.jp/niji-iro-hatakeclub/ - 成人発達障害と歩む会「シャイニング」 HP
http://ayumukai1120.web.fc2.com/
取材・文:毛利マスミ
前回は、ご自身の抱えてきた生きづらさについてお聞きしました。
今回は、活動の立ち上げまでの道のりについてお聞きします。
──虹色畑クラブの立ち上げまでの経緯を教えてください。
農業体験イベントの後、ボランティアとして週1回、藤田農園に通うようになりました。そこで世間話のついでにボランティア仲間さんに、私が成人発達障害と歩む会「シャイニング」の活動をしていることや、「いつか畑を使った支援ができたらいいなぁと、思っているんですよ」などと話していたところ、そのことを藤田さんに伝えてくださった人がいて、「いいよ。うちの畑でやってみたら」と、お声をかけていただいたのです。
こうして藤田農園さんのご厚意で、成人発達障害と歩む会「シャイニング」の課外活動として、「シャイニング畑クラブ」は藤田農園さんの事業の一つとして共同して2016年にスタートしました。私が「シャイニング」の代表に就任したのもその頃のことです。
園芸療法士でもある白井敦子さんと共に張り切って活動を始めましたが、最初の1年間は藤田農園さんも様子見という感じでしたね。30坪程度の畑でしたが、「本当に畑をやれるの? 大変だよ」と。
それでも週2回の作業日を決めると、東京下町から1時間以上時間をかけて通ってきてくれる当事者さんもいて、1年が経った頃には、発達障害ではない統合失調症の方なども来てくださるようになりました。
そして畑での活動を続けるうちに、発達障害に限らず、精神障害の人や引きこもりや生きづらさを感じている人、またそのご家族の参加が増え始めました。しかしそれは、成人発達障害と共に歩むことを目的とする「シャイニング」の方針と異なることもあり、また、私自身が「仕事」と、「畑の活動を含むシャイニングの活動運営」の両立が、体力的にも能力的にも限界がきてしまったことから、「シャイニング」の代表を退任。農業体験を軸とした新しい支援の形として、独立した活動にすることとしました。
──農作業を通じての支援活動は、最初から順風満帆だったのでしょうか
こうして、➀農作業を通じて気力体力が回復し、社会復帰や自立への一歩を踏み出せるようになること。②農家さんの手伝いを通して、人に感謝される体験、野菜を育て、収穫する体験を通して、成功体験を積み重ねること。➂地域の人達や支援してくれる人達と共に作業することで、相互理解と交流を図る。という目的を掲げて、2018年4月に、現在の「虹色畑クラブ」がスタートしました。
新しいスタートを機に、藤田農園さんもこれまでのがんばりを認めてくださり、これまでの30坪にプラス100坪の畑を新たに使わせてくださることになりました。
「虹色畑クラブ」の名前は、虹のような「美しい彩りと希望のある人生」を共に歩みたいという願いを込めてと名づけました。虹の色の帯を「スペクトル」と言いますが、自閉症スペクトラムやその他の発達障害、精神障害についても、その人の個性の彩りと捉えて、診断名で境界をつけて区別することなく、お互いに調和しあうことをイメージしています。
しかし、新しいスタートに際しては困難なこともありました。シャイニング畑クラブから組織名や活動日数と形態が変わり、発達障害以外の当事者さんが参加するようになり、他の福祉事業所の農業体験を受託するという変化が起き始めたことで、これまで熱心に通ってくれていた当事者さんが激しく動揺し、それが怒りとなって来なくなってしまったのです。とても悲しく残念で、申し訳なく思いました。
自閉症スペクトラムの方は変化を苦手とする人が多いです。例えば、予定の急な変更にも当事者さんは混乱します。この程度の説明でわかるだろうでは、不十分なことも多く、また、私自身の特性もあり、配慮が行き届かないこともたくさんあります。参加する方の特性も十人十色で、個々に合わせる必要がありますが、全員に合わせることや要望を聞くことも難しい。では、どこで折り合いをつけるのがいいのか、今はまだ、参加者さんの声を聞きつつ、一緒によりよいカタチの「活動をつくっている最中」というところです。
──ありがとうございました。
次回は、活動の実際や資金面のこと、やりがいなどについてお聞きします。
設置した雨水タンク。
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