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宗澤忠雄の福祉の世界に夢うつつ

宗澤 忠雄 (むねさわ ただお)

疲労が溜まりやすい福祉の現場。
皆さんは過度な疲労やストレスを溜めていませんか?
そんな日常のストレスを和らげる、チョットほっとする話を毎週お届けします。

プロフィール宗澤 忠雄 (むねさわ ただお)

大阪府生まれ。現在、埼玉大学教育学部にて教鞭をとる。
さいたま市障害者施策推進協議会会長等を務め、埼玉県内の市町村障害者計画・障害福祉計画の策定・管理等に取り組む。著書に、『医療福祉相談ガイド』(中央法規)、『成人期障害者の虐待または不適切な行為に関する実態調査報告』(やどかり出版)等。青年時代にキリスト教会のオルガン演奏者をつとめたこともある音楽通。特技は、料理。趣味は、ピアノ、写真、登山、バードウォッチング。

支援は日々の継続があってこそ

 千葉県の障害者支援施設では、職員と利用者の58人に新型コロナウイルスの集団感染が確認されました(3月28日現在)。

 その内の32人は職員であり、全員が医療機関に入院する一方で、利用者は障害の状態像によっては直ちに入院受け入れの難しい方もいるため、施設に医師と看護師を派遣して対応すると報じられています。

 厚労省は、「障害福祉サービス等事業所における新型コロナウイルス感染症への対応等について」を明らかにして対応努力をしてきましたし、現場の皆さんは、私の知る限り、弛まないぎりぎりの取り組みを続けています。

 衛生レベルの高い医療機関の中でさえ感染が起きているのですから、暮らしの場である障害者支援施設で完璧な感染防止対策をとることには、大きな困難があります。

 それでも、福祉・介護サービスの施設・事業所は、感染の発生によって「休業」してしまうと元も子もありません。感染リスクと闘いながら、支援を続けることが何よりも重要です。障害のある人たちにとっては、日々の支援は水や空気と同じように必要不可欠なものだからです。

 東日本大震災で福島第一原発の重大事故が発生した当時の出来事です(2013年4月5日ブログ参照)

 福島原発の事故発生からしばらくの間、屋内退避をしながらいつでも避難できるよう準備をしておくことを命じられた地域があります。福島第一原発から20~30キロ圏にあって、大量の放射性物質の放出に備えて指定された緊急時避難準備区域のことです。

 ここでは、いつでもすぐに避難できる態勢にあることを政府が住民に指示しましたから、学校や保育所の閉鎖はむろんのこと、介護・福祉サービスの提供はすべてストップしました。支援事業者は、介護・福祉サービスを実施してはならないとされました。

 日々の介護・福祉サービスは、高齢者や障害者にとって必要不可欠なものであるのに、それが実施されないとなると容易ならざる事態が出来します。障害のある人とご家族がずっと自宅内にこもり続けていると、意味のある活動が乏しいために、問題行動の拡大が心配されるのです。老老世帯に要介護状態のお年寄りがいる場合は、ホームヘルパーが来ないために食事・排泄から体位転換などへの対応ができなくなってしまいます。

 このようにして、屋内退避を強いられた家族の中では、障害のある人に落ち着いた日常を保つことが難しくなります。その窮状を少しでも軽減しようと、避難準備指示のさなかにもサービスの提供に踏み切った勇気ある障害者支援事業所もありました。

 福祉・介護サービスには、「命と暮らしをつなぐ」社会的責任があるのです。

 新型コロナウイルスの感染防止対策が強化された現在、「外出自粛」が強く要請されています。学校再開についても「検討し直す」声が聞こえるようになりました。

 ここでもし、福祉・介護サービスを提供する施設・事業所の休業があちらこちらで発生した場合、障害のある人とその家族は、命と暮らしそのものの危機にさらされることになります。

 爆発的な感染拡大を防止するためには、場合によっては、都市封鎖や外出禁止が求められることもあるでしょう。しかし、このような感染防止の取り組みの中にあっても、すべての人たちが命と暮らしをつなぎ、障害のあるなしにかかわらず共存・共生することのできる営みと仕組みを組み込んで発展させるべきです。

 新年度は、第6期障害者計画・障害福祉計画の策定年度に当たります。長期戦になるであろう新型コロナウイルス対策を踏まえた計画の中身づくりで、全国の自治体の計画策定の真価が問われることになるでしょう。

カナヘビ君、まだ眠い?

 カナヘビは陽を浴びて少しでも温まろうと切り株の上でじっとしています。私が近寄ってもすぐには動けないようで、失礼ながらシャッターを切らしてもらいました。自然の一部としての命の姿に、慕わしさを感じたからです。

 それに対して…。

 オリンピック・パラリンピックの延期が決まりました。延期をめぐる選手の第一声の多くは、多くの人の命と健康を守る観点から歓迎する主旨が語られましたが、残念ながら、自分の都合と気持ちを前面に出す品のない発言もありました。

 人間性の根っこで公共性の欠如しているアスリートがいます。オリンピックの選手選考で枠に入るよりも、あるマラソン大会の優勝賞金1億円が欲しいと発言した選手や、北京オリンピック金メダルの柔道家がセクハラで実刑判決を受けた例もあります。

 スポーツを通じて「勇気と感動を押し売り」することはやめて欲しい。「感動ストーリー」には暑苦しさを覚え、しばしば辟易してしまいます。