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梶川義人の虐待相談の現場から

梶川 義人 (かじかわ よしと)

様々な要素が絡み合って発生する福祉現場での「虐待」。
長年の経験から得られた梶川さんの現場の言葉をお届けします。

プロフィール梶川 義人 (かじかわ よしと)

日本虐待防止研究・研修センター代表、桜美林大学・淑徳大学短期大学部兼任講師。
対応困難事例、家族問題担当ソーシャルワーカーとして約20年間、特別養護老人ホームの業務アドバイザーを約10年間務める。2000年から日本高齢者虐待防止センターの活動に参加し、高齢者虐待に関する研究、実践、教育に取り組む。自治体の高齢者虐待防止に関する委員会委員や対応チームのスーパーバイザーを歴任。著書に、『高齢者虐待防止トレーニングブック-発見・援助から予防まで』(共著、中央法規出版)、『介護サービスの基礎知識』(共著、自由国民社)、『障害者虐待』(共著、中央法規出版)などがある。

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 アマゾンの創業者ジェフ・ベゾス氏が最高経営責任者を退任すると発表されました。アマゾンと言えば世界最大の電子商取引サイトを運営する会社であり、ベゾス氏は自宅のガレージで会社を立ち上げて一代で今の規模にまで育てあげたのですから、「本当に凄い!」の一言です。

 そんな氏の成功について、私ごときがコメントするのはおこがましいのですが、成功の鍵は、情報通信技術を駆使した購買支援のオーダーメイド・システムを構築したことにあるように思います。個々のお客の購買をオーダーメイドで支援すると、お客は増えて事業の規模は拡大します。すると、さらにきめ細やかな購買支援を行えますからお客はさらに増える、という循環が生じます。

 そして、この循環は、社会問題の解決を考えるための良いヒントになります。たとえば、新型コロナ対策なら、千葉県船橋市と金沢大学による、下水の検査結果から、県単位よりもかなり狭い範囲での、感染拡大や感染傾向を予測する試みに注目してみます。より狭い範囲の予測ができるなら、下水の検査を全国展開し、対策を地域に合わせてオーダーメイドする道が一気に開かれます。


 虐待防止の取り組みでも同様に、調査研究の規模を人身安全関連事案全体に拡大すれば、対策の進化を大幅にスピードアップできます。事例対応をする人々への研修にしても、参加者の研修ニーズをよりきめ細かく把握できますから、より実効性のある研修を行えるというものです。

 しかし今のところは、大規模な分野横断的な調査研究は行なわれていない、否、予算不足などで「できない」ため、研修ニーズを分かつ大きな要素である職種と経験年数を、ざっくりと大雑把に配慮するくらいが関の山です。

 また、研修ニーズをつぶさに明らかにできるなら、タイトなスケジュールの合間を縫うようにして研修せざるを得ない多忙な現場でも、研修をオンデマンド型にして効率化できます。研修全体を小分け(単元分け)にしておき、個々の参加者が自分の研修ニーズや都合に合わせて学べるようにできるからです。

 前回お示しした研修内容をさらに細分化し、法の定義なら法の定義だけ、調査なら調査だけ、事前評価なら事前評価だけなど、それぞれ15分程度の単元にまとめておくイメージです。あとは、あらかじめ職種と経験年数で3分類程度に分け、それぞれにお勧めの単元を組み合わせて提供するもよし、自由に選んで貰ってもよしです。

 むろん、研修に参加の結果もデータとして蓄積して、研修の負担は小さく効果は大きくするための知見を得ることも欠かせませんが、ここまでくると、「あなたへのおすすめがあります」と、「あなた」の最近チェックした商品の履歴から関連する商品やサービスを見繕う、アマゾンのサイトを思い出すのは、気のせいでしょうか。

「その研修参加します!」
「勝手に返事しないでヨ」