メニュー(閉じる)
閉じる

ここから本文です

ケアプランに活かす! 病気と薬の知識

【ケアプラン記入例】すぐ使える!骨粗鬆症の利用者のケアプランの書き方&文例【ケアプラン点検者監修】

【監修】

阿部充宏(合同会社介護の未来代表)

社会福祉法人に25年勤務し法人事業部長や特別養護老人ホームの施設長を経て、2015年に合同会社介護の未来を興し、以降現職。2016年よりケアプラン点検事業を受託し、2022年度は15保険者(神奈川県・岩手県・福島県・山形県)で、年間約600人のケアプラン点検を実施。また、指定市町村受託事務法人として、5保険者から委託され、年間100事業所の運営指導を行っている。

 高齢者に多い骨粗鬆症のある人のケアプランの書き方・文例を解説します!

目次

1 骨粗鬆症ってどんな病気?

 骨粗鬆症とは、骨がもろくなり、骨折しやすくなる病気のことです。骨の内部がスカスカになり、骨量(骨全体に含まれるミネラルの量)も低下するため、骨が折れやすくなります。

 骨粗鬆症は、加齢に伴い発症します。特に女性は閉経後にエストロゲンという女性ホルモンの分泌が低下し、骨量も低下するため骨粗鬆症になりやすいです。また、カルシウムやビタミンDの摂取不足、運動不足、喫煙、過度な飲酒などは骨粗鬆症の危険因子です。

2 骨粗鬆症の治療は?

●食事療法 カルシウムを多く含んだ食事をとります。
●運動療法 歩行など重力に抗する運動をします。プールでの運動は浮力があるため、適しません。
●薬物療法 骨粗鬆症でよく使われる薬には、主に骨吸収の抑制(ビスフォスフォネート製剤、SERM製剤など)、骨形成の促進(抗スクレロスチン抗体、活性型ビタミンD3製剤)などの作用があります。

3 骨粗鬆症の利用者のケアプランの書き方のポイント

ポイント 骨折やフレイルを「予防する」視点が大切

 骨粗鬆症により、骨折等すると歩行困難や寝たきりになるリスクが高まり、自立した生活を阻害する可能性が高まります。そのため、利用者自身の「〇〇したい」「〇〇なりたい」「〇〇にはなりたくない」という動機づけをサポートし、そして、モチベーションをケアマネジャーが引き出し、利用者自身が課題を自覚して、目標に取り組んでいけるようにしていきます。

ポイント 目標はできるだけ具体的にする

 目標を具体的にすることで、利用者およびケアチームは目標の達成度合いを明確に評価することができ、利用者自身も進捗度合いを理解し、達成感を味わいやすくなります。特に、数値で表記できる部分は、数値化します。例えば、「自宅から150m先のコンビニまで歩けるようになる」「1日600gのカルシウムをとる」などのようにします。

4 骨粗鬆症の利用者のケアプランの文例

4-1 利用者及び家族の生活に対する意向を踏まえた課題分析の結果

  • ・(本人)家事(掃除)を一人でできるようになりたい。
  • ・(長男)遠方に住んでいるのでなかなか会えませんが、体重が減っていることを心配しています。体重を標準体重まで戻し、母が好きな料理をできるようになってほしい。
  • ・(今後の方向性)カルシウムやたんぱく質が豊富な食事を摂り、体重を標準体重に戻していきましょう。そのうえで、自宅で料理(切る・焼く・盛りつける等)ができることを目指していきます。
  • ・(本人)孫の家まで、転ぶ不安を減らし、歩いて行けるようになりたい。
  • ・(次女)息子(孫)は、父親に懐いているので、以前のように一緒に散歩をしたり、駄菓子屋さんに行ったりできるようになってほしい。
  • ・(今後の方向性)お孫さんの家に行ったり、お孫さんと一緒に散歩をしたりできるよう、特に歩行に関するリハビリテーションを継続していきましょう。

4-2 総合的な援助の方針

  • ・2023年8月に右足首にヒビが入ってから、思うように歩くことが難しい状況です。支援チームは、本人が杖の使用を忘れることがありますので、歩行時の確認を徹底します。また、歩行時に身体が傾き過ぎないよう注意します。
  • ・2023年3月より、食事の量が減り、体重が46kg(BMI18)となっています。支援チームは、まず、3食を食べること、そして、食事量の確認をし、体重の推移をサポートします。
  • ・2023年6月に〇〇スーパーマーケットで転倒し、骨折されました。リハビリテーションを経て、自宅に戻りましたが、歩行に不安のある状況です。支援チームは、歩行時の姿勢(前のめりにならない)や歩幅(狭くならない)を確認し、必要な声かけをします。

4-3 生活全般の解決すべき課題

  • ・歩行に不安がありますが、歩行訓練を続けることで、孫の家まで歩いていくことを継続したい。
  • ・食欲が減退しているため、体重の減少や栄養不足がみられる状況です(2023年2月現在体重40㎏)
  • ・足首の骨折後、疲れやすくなっているが、一人で買い物に行けるようになりたい。
  • ・偏食があり、必要な栄養が摂れていないが、食材や調理を工夫して、カルシウムやたんぱく質を必要量摂れるようにしたい。
  • ・自宅内でふらつくことがありますが、ふらつくことなく移動できるようになりたい。

4-4 長期目標・短期目標

  • ・(長期目標)体重が55キロになっていること。
    (短期目標)体重が52キロになっていること(令和6年7月30日現在49キロ)。
  • ・(長期目標)1日800gのカルシウムを摂取することを継続できていること。
    (短期目標)1日800gのカルシウムを摂取できること。
  • ・(長期目標)自宅から約400m先のスーパーまで歩き、買い物をして荷物を持って帰って来られること。
    (短期目標)自宅から約400m先のスーパーまで歩いて行けること。
  • ・(長期目標)1日約20分散歩できていること。
    (短期目標) 1日約10分散歩で来ていること。
  • ・(長期目標)1日3食+間食(カルシウムを補う)を摂ることができていること。
    (短期目標) 配食サービスを活用し、1日3食摂ることができていること。

5 ケアプラン作成におすすめの書籍

 もっとケアプランの書き方・文例を知りたい人は以下の書籍を参考にするのもおすすめです。文例・事例が豊富に掲載してあり、ケアプラン作成に悩んだときにヒントとなる情報が満載です。

ケアプランパーフェクトガイド

購入はコチラ

改訂 文例・事例でわかる 居宅ケアプランの書き方

令和3年の記載要領改正に対応した書き方を解説!

購入はコチラ

文例・事例でわかる 施設ケアプランの書き方

施設ケアプランに特化した書き方のヒントが満載!

購入はコチラ

この記事を監修した人

阿部充宏氏(合同会社介護の未来代表)

社会福祉法人に25年勤務し法人事業部長や特別養護老人ホームの施設長を経て、2015年に合同会社介護の未来を興し、以降現職。2016年よりケアプラン点検事業を受託し、2022年度は11保険者(神奈川県・岩手県・福島県・山形県)で、年間約500人のケアプラン点検を実施。また、指定市町村受託事務法人として、5保険者から委託され、年間100事業所の運営指導を行っている。

介護の未来ホームページ:https://kaigonomirai.net/
阿部のつぶやき毎日更新中!