ケアプランに活かす! 病気と薬の知識
【パーキンソン病】薬の副作用は? 飲まないとどうなる? ケアマネが押さえたいポイントを徹底解説!【医師監修】
パーキンソン病でよく使われる薬について、副作用や認知症との関係、服用をやめるとどうなるかなど、ケアマネジャーが押さえておきたい留意点を詳しく解説します。
【監修】
苛原 実 先生
いらはら診療所院長、医学博士
1 パーキンソン病ってどんな病気?
パーキンソン病は、中脳黒質でつくられる神経伝達物質であるドーパミンの不足によって起こる病気です。
手足のふるえ、こわばり、動作が緩慢となる、転びやすいなどの症状を来たします。
2 パーキンソン病でよく使われる薬
パーキンソン病の薬は、不足しているドーパミンを補う薬が多く、作用機序(効くしくみ)によって分けられています。
ドーパミン補充薬
不足しているドーパミンを補充します。
マドパー、ドバストン、ドパール、メネシット、イーシー・ドパール、ネオドパゾール、デユオヂーパ、スタレボ
ドーパミン受容体作動薬
ドーパミン受容体を刺激し、ドーパミンの作用を補います。
パーロデル、ペルマックス、カバサール、ドミン、ビ・シフロール、ミラペックス、レキップ、ニュープロ、アポカイン
抗コリン薬
神経伝達物質のアセチルコリンの作用を減らし、ドーパミンとのバランスを保つことで、症状を改善します。
アキネトン、アーテン、トレミン、パーキン、ペントナ、トリモール
ドーパミン遊離促進薬
脳内でドーパミンの遊離を促進します。
シンメトレル
ほかにも、以下のような薬が使われます。
ドプス
ドーパミン代謝酵素阻害薬(主な商品名)
エフピー、アジレクト
L-ドーパ代謝酵素阻害薬(主な商品名)
コムタン
レボドパ賦活型(主な商品名)
トレリーフ
3 パーキンソン病の薬の副作用
さまざまな副作用
パーキンソン病の薬は、さまざまな副作用が起こります。
ドーパミン補充薬では、長期投与によるオン・オフ現象やウェアリング・オフ現象、またはジスキネジアという不随意運動の副作用があります。
薬の効果が効いている「オン」と、突然薬の効果が切れて身体が動かなくなる「オフ」とを繰り返す
【ウェアリング・オフ現象】
薬の効果の持続時間が短くなり、内服直後や時間が経ったときに効果が切れる
【ジスキネジア】
不随意運動といわれる運動障害の一種で、自分の意思に反して、身体や手足がくねくねと動いたり、震えたりする
オン・オフ現象やウェアリング・オフ現象が出ると、動作障害が著しくなります。
薬の服用時間によってオフの時間帯を予測することも可能です。入浴の時間帯などは配慮する必要があります。
ドーパミン受容体作動薬では、幻視などの精神症状が強く出やすいため、認知症の人には投与を控えます。
服用をやめるとどうなる?
また、ドーパミン受容体作動薬の服用を急にやめると、悪性症候群という重篤な副作用を起こすことがあります。
悪性症候群とは精神神経用薬の副作用で、高熱や意識障害などがみられ入院が必要な場合もあります。
4 パーキンソン病と認知症の関係
レビー小体型認知症
レビー小体型認知症患者の脳神経細胞の中に認められるレビー小体は、パーキンソン病の中脳黒質にもみられ、二つの疾患は関連が深いものです。
異常たんぱくが沈着する部位の違いにより病気が異なるのですが、レビー小体型認知症においても、進行するとほとんどの例でパーキンソン病を合併します。
抗精神病薬
パーキンソン症候群(パーキンソン病と同様の症状を呈す疾患の総称)は、抗精神病薬などの副作用でも起こることがあります。
認知症の行動・心理症状(BPSD)に対して抗精神病薬が処方されている場合などでは注意が必要です。
5 ケアマネジャーが押さえておきたいポイント
パーキンソン病の薬は副作用の確認や服薬管理が重要なため、在宅では薬剤師による居宅療養管理指導の導入を検討します。
パーキンソン病は薬剤がよく効き症状が改善します。疑われる場合は専門医の受診につなぐことが重要です。
専門医へは、振戦の有無や第一歩がなかなか踏み出せない足すくみ状態、小刻み歩行などの様子について、情報提供をしてください。お薬手帳もお忘れなく。
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本記事の内容は、苛原実『改訂 ケアマネ必携! 医療知識ハンドブック 高齢者の病気とくすり』の内容をもとに編集・作成しております。
改訂 ケアマネ必携! 医療知識ハンドブック 高齢者の病気とくすり
この記事を監修した人
苛原 実 先生
いらはら診療所院長、医学博士。1994年千葉県柏市でいらはら整形外科を開業。1997年千葉県松戸市に「いらはら診療所」を開設。入院を嫌がる骨折患者への往診をきっかけに、思いがけず在宅医療の世界へ。以降、県内で訪問看護、リハビリテーション、老人ホーム等の事業を展開しながら、訪問診療を続ける。
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