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ほじょ犬って、なあに?

橋爪 智子 (はしづめ ともこ)

身体障がい者の生活を支える、「盲導犬」「介助犬」「聴導犬」。そんな補助犬たちにまつわる話を紹介するコーナーです。

プロフィール橋爪 智子 (はしづめ ともこ)

NPO法人日本補助犬情報センター専務理事 兼 事務局長。
OL時代にAAT(Animal Assisted Therapy:動物介在療法)に関心を持ち、ボランティアをしながら国内外で勉強を始める。1998年、米国DELTA協会(現・米国Pet Partners協会)の「Pet Partners® program」修了。2002年より現職。身体障害者補助犬法には、法律の準備段階からかかわっている。

著書

『よくわかる 補助犬同伴受け入れマニュアル』共著(中央法規出版)

『よくわかる 補助犬同伴受け入れマニュアル』共著
(中央法規出版)

第300回【「私だけではもったいない」】

 「私だけではもったいない」・・・これは、前回のブログで紹介した盲導犬ユーザーセアまりさんが、毎日新聞の取材を受け、記事となったタイトルです。

 「私だけではもったいない」シャルル・ボネ症候群の「幻視」を絵に 東京で展覧会(毎日新聞2020年11月12日)

 とってもまりさんらしいな~と感じた、素敵な記事でした。「病気への理解を広め、誰にも言えなくて悩んでいる人を勇気づけたい」という想いが込められた展覧会は、とても幻想的で、まさにアート空間。「私の世界は幻想的できれい」と表現された作品の数々は、立体的な工夫が施され、上から絶妙な光が当てられることで、さらに輝いていました。

 実際に会場に行き、本当に驚きました! 作品のすばらしさに感激しました!

まりさんがかすかに景色がぼんやり見えていた時期の作品。
様々な模様が立体的に交差して見える様子がわかります。

 まりさんの視覚にある『シャルル・ボネ症候群』の症状として現れる幾何学模様や、人の顔、動物など…まだまだ知られておらず、ドクターすらも知識がなく、精神疾患による幻覚と間違えられることがあるそうです。また、周囲からの理解を得られないだろうとの思い込みから、誰にもこの症状を話すことができず、ずっと苦しんでいる人も実は沢山いらっしゃるとか…。なんとも、これも社会が生み出している生き辛さの一つだな~と感じました。

 だからこそ、まりさんの今回のカミングアウトは、とてもとても、勇気が必要でした。しかし、そんな苦労も苦悩も全て、とってもステキなアート♪♪♪に変えてしまったまりさん、本当にステキ過ぎます‼️

 連日、同じ症状に苦しんでいた方々が会場に足を運んで来られました。私がお手伝いで滞在していた数時間の間にも、何人もの方が、まりさんに会いたくて来場されました。遠方からわざわざ、新幹線でいらした方もおられたとか・・・

 私の滞在中に、とってもステキな新婚カップルが来場されました。お二人とも視覚に障害がおありなのですが、とっても活動的で温かい思いやりがあり、感性豊かなご夫婦。なんと、この二人、お互いにシャルル・ボネの症状がありながら、話せずにいたのだそうです。それが、今回の個展の案内情報を、たまたま読む機会があり、「実は…」とカミングアウトできたそうです。お互いに♪なんです。会場ではその話で大盛り上がり! 誰一人、その症状を否定する人はおらず、逆にその模様やキャラクターを面白がり、心からステキだと思う空気の中で「お二人の世界が、一気に色付き広がりましたね♪」と祝福ムード・・・こちらまで、とても幸せな気持ちになれた感動的な時間でした。

 お二人とも、終始「来て良かったね~♪」とお話しされていたのが、印象的でした♪ 今後も、まりさんとのつながりから、素敵なコミュニティが広がっていきそうで楽しみです♪

会場では動画にて実際にまりさんが
描かれている様子が放映されていました。
アクリル板にマーカーやマニキュアで書くと、
乾いた後に触って確認することが できるということで、
針の穴くらい残っているわずかな視野も使いないがら、
サポーターの目も借りながらの制作活動です!

 その他にも、自分の視覚の症状が悪化し、何をする気にもなれず、だれにも相談できず、生きる気力もなくし、防ぎこんでおられた高齢の男性が、自分と同じ症状のセアまりさんの個展情報を知り、勇気を出してガイドさんと来場されました。まりさんから教えてもらった、視覚障害に対する支援機器やサポート情報は、彼の諦めかけていた人生を180度変えるほどの衝撃でした! 大好きだった読書も、映画も、旅行も、すべて失った!と思っておられたのですが、そうではなかったのです。正しい情報さえ手に入れられれば、今までと同じように楽しみ、心豊かに生きることができる♪ そんな人生の過ごし方を、まりさんは美しい笑顔で、丁寧に教えておられました。

 以下、まりさんからのメッセージです。

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 私はセアまり(浅野麻里)です。
 この度、東京:池袋にて個展を開催することとなりましたので、お知らせさせていただきます。
 この発表をしたと同時に問い合わせが入り始めました。
 一人で悩んでいる方が多いのです。この展覧会で何か解決できればと思います。

 【見えない私が見る世界を描きました】
 私は網膜色素変性症を発症して以来、日々視力の低下や視野狭窄が進行し、現在はほとんど見えない中で盲導犬をパートナーとして生活をしています。20年ほど前からは、実際には存在しないと分かっている幻覚が視界に現れる症状(シャルル・ボネ症候群)が出はじめ、10年前のある日、それがさらに劇的に変化しました。

 それは、現実世界の前に、色鮮やかでまぶしい透き通った幾何学模様やクルクル回る傘のようなもの、流れるように動く花々、立ちはだかる建物、海外のコミック雑誌から抜けだしてきたような人々の顔などが、大小様々なサイズで何層にも現れ、変化し、消えていくものでした。
 その世界は、朝起きてから深い眠りに落ちるまで、10年間休まず私の目の前で常に動き続けています。

 日常生活には支障をきたすものでしかない幻視ですが、この言葉では表しきれない美しく不思議な世界を皆さんに伝えたい…そんな思いが、私の感性を共有してくれる仲間たちのサポートを得て、「景絵」という作品になりました。そして今回、シャルル・ボネ症候群の現象に興味を持った医療関係者やメディアの方たちの勧めで、展覧会を開催するはこびとなりました。

 現れては消えていく様々なものをすべて表現することできませんが、見えない私がどんな世界を見ているのか、ほんの一部でも感じていただけたらと思います。
 景絵(ひかりえ)とは、私、セアまりが描いた作品に名付けたオリジナルなジャンルです。

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まりさんの前向きな素敵な笑顔に、いつも元気をもらいます!
50歳で失明する前に、最後に海に潜っておこう!とダイビングをしたことをきっかけに、海の美しさが忘れられず、今ではフリーダイビングの選手としても活躍中!
会場では写真展も同時開催されていました♪

 まりさんの足元で、リラックスして待機していた盲導犬ベーチェルの存在・・・彼女もまた、まりさんの人生に、華やかな彩を添えてくれている存在だな~と、改めて思えた幸せな時間となりました。

 #シャルル・ボネ #視覚障害

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<TOKYO応援宣言 人も犬もハッピー!補助犬を知ってほしい!>
https://www.youtube.com/watch?time_continue=1&v=QWBC_9jWAi4&feature=emb_title

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【障害者支援】全国の補助犬ユーザーと補助犬たちが安心して活躍できる社会を目指して!
(こちらの、Syncableの特設サイトからクレジットカードでの寄付が行えます♪)



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#補助犬 #ほじょ犬 #盲導犬 #介助犬 #聴導犬 #がんばれ補助犬 #当たり前 #補助犬同伴拒否0

 是非、皆さんの様々なお声を、お寄せください。当会では、一緒に社会を更に更にステキに変えて行って下さるサポーターの皆さんを募集しております。お気軽にご連絡ください♪

ご寄付のお願い「日本補助犬情報センター」より

 当会のビジョンは、全国民が正しく補助犬法を理解することで、すべての人が安心して活躍できる社会を実現することです。補助犬ユーザーの社会参加推進活動、普及活動、最新情報収集、資料等作成配布、講演会・イベント等、当会の活動はすべて無償で行われております。
 皆様のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

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