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現場のソーシャルワーカーからのメッセージ

第2回 町役場で働く

北海道釧路町役場まちづくり推進課 竹田 匡

町役場での社会福祉士の視点を活かした仕事

 私は、平成31年4月から北海道釧路町役場まちづくり推進課特命事業担当として、令和4年度から始まる「第6次釧路町総合計画」の策定と、ふるさと納税の推進を担当しています。
 それ以前は、直営の地域包括支援センターの社会福祉士として、平成18年4月の制度創設のときから13年間勤務してきましたが、それまでの経験とは全く異なる分野で働いています。
 まず、新しい総合計画の策定では、新たにSDGsの視点を入れることになりました。SDGsの要点は、経済・社会・環境のバランスを配慮した持続可能な社会をつくることにあります。総合計画は、各施策を展開することによって、SDGsの17の目標の達成に資する内容となっています。
 このように、持続可能なまちづくりを進めることは、世界とのつながりを意識したり、世界を変える行動をしたりすることを意味します。
 次に、ふるさと納税は、税額控除とお礼品の過度な競争に着目されがちですが、町内のさまざまな分野の企業や団体等と協働しながら、町外にいる町を応援してくれる全国各地のファンとのつながりを構築、強化することによって、町を元気にする取り組みです。例えば、就労支援事業所の製作品をお礼品として提供するなどの取り組みも進めています。
 また、結果として、ふるさと納税で集まった寄附金は、子育て分野をはじめ、福祉や環境、防災などのさまざまな分野のまちづくりを進める貴重な財源となります。
 私は、社会福祉士としての知識や経験を活かし、まちづくりの業務をしています。業務を通して全国や世界とのつながりと、社会を変える起点になり得ることを実感しています。

新人社会福祉士さんに期待すること

 社会福祉士の働く分野は、児童福祉から高齢者福祉までクライエント単位で細分化されています。
 各分野において、社会福祉士の役割は、個別支援が中心であり、日々の個別支援なくしてはクライエントの生活を支えることはできません。一方で、社会福祉士の実践は、個別支援に留まることなく、組織・団体、地域、社会への働きかけも含めた、ソーシャルワーク実践の展開が求められています。
 これから社会福祉士として実践される皆さまには、時代の潮流を踏まえ、人権の擁護、多様性の尊重、社会正義の実現などソーシャルワークの価値・倫理を体現する取り組みを期待しています。

今、読んでおくとよい書籍

 日本社会福祉士会編集「社会を動かすマクロソーシャルワークの理論と実践 あたらしい一歩を踏み出すために」(中央法規出版)をおすすめします。本書は、ミクロレベルからマクロレベルまで連続体であるソーシャルワークを前提にマクロソーシャルワークの射程を明らかにしたものです。
 まだ現場に出ていない方にとっても、わかりやすくマクロソーシャルワークを学ぶことができます。メゾレベルからマクロレベルへの実践を意識して読んでいただくと、大変参考になることと思います。

社会を動かすマクロソーシャルワークの理論と実践