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精神保健福祉士におすすめの本・映画

精神保健福祉士国家試験の受験を終えた方に向けて、これから仕事で役立つ本など、毎回テーマを決めて紹介していきます。


第2回 自らの世界を広げてくれる本と映画

今回は、これから精神保健福祉士として働くときの物の見方やとらえ方、考え方といった自分自身の視野・視界(=世界)を広げてくれる本と映画をご紹介します。

キーワードは「当事者」です。ぜひ、登場者の立場になった気持ちで読んで(観て)みてください。きっと発見があるはずです。

『その後の不自由』

女性の依存症について、薬物依存やアルコール依存の当事者だったダルク女性ハウス代表の上岡陽江さんと、精神科ソーシャルワーカーを経て、被害体験をもつ女性の福祉的支援を行う施設を立ち上げた大嶋栄子さんが書いた本です。単に依存症についてまとめられたものではなく、当事者の視点と援助者の視点の両方が実感も伴って綴られています。依存症にまつわる女性特有の問題についてもふれられています。

この本を読むと、当事者は(援助者に)何を求めているのかが静かに伝わってきます。精神保健福祉士の仕事に就いた後、自分のあり方を問い直す機会にもなってくれるでしょう。

『ワンダー 君は太陽』

生まれつき人とは違う顔の少年・オギーの物語です。幼いころからずっと家で勉強をしてきたオギーは、10歳になって初めて学校に行くことになります。最初は周囲になじめずにいるのですが、一緒に過ごしていく中でオギー自身も同級生たちも少しずつ変化していきます。

この物語はオギーの周りにいる人の視点からも描かれていて、主人公のオギーだけでなく、姉や友人にもそれぞれ悩みや葛藤、喜びがあることが感じられます。登場人物一人ひとりの気持ちに寄り添うと、それぞれが「当事者」としてみえてくる作品です。

ワンダー 君は太陽

監督:スティーブン・チョボスキー/原作:R.J.パラシオ

『わたしと統合失調症』

原因不明とされる統合失調症の発症に至るまでの「経過」に光を当てた珍しい切り口の本です。全編を26人の当事者の語りで紹介しています。各人の後半部は、発症後にそのことをどう受けとめ、どのように再び歩み出していったかを綴ったリカバリーストーリーです。この本を読むと、「当事者」といっても一人ひとりはまったく違っていて、疾患名や症状でレッテル貼りすることの見当違いに気づかせてくれます。

いろんな方が登場するので、ぜひご一読ください。文字どおり、皆さんの世界を広げてくれる本です。

次回は、3月11日公開予定。たくさんの精神保健福祉士を現場に送り出してきた養成校教員がおすすめする本、映画が登場します。