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これまでにない「世間の福祉論」!


 「福祉ネットワーク」「認知症フォーラム」などのキャスターでおなじみの、元NHKアナウンサー町永俊雄さんがおくる、読む人がほっこりして、少し涙するような珠玉のエッセイ集!

「あのな、人生にもアイドリングストップが必要なんだよ」
「あなた、燃費悪いですものね」
ある夫婦の会話。

 と、帯では紹介されていますが、町永さん家の会話です。

 あの天下国家のNHKで、真面目な福祉キャスターとして長年活躍されてきた町永俊雄さんが、ここまで書いちゃって大丈夫? 奥さんに怒られない? というか、町永さんってどんだけ恐妻家? 会ってみたい! といろいろな意味で興味津々になるほど、暮らしのあれこれを面白おかしく、テンポよく、ときにはホロリとさせながら綴った初のエッセイ集です。

 ライトタッチのエッセイでありながら、そこはさすがにNHK。読み終わると、福祉について真面目に考えてしまいます。そうか、福祉って行政が作った制度のことでもなく、国がお金をくれることでもなく、病気や障害を持った人の特別な話でもなく、日常の中で、私たち自身が作っていくことなんだと気づかされます。

 仕事のできる自分を思い描き、効率の良さや経済的利潤を追求していろいろなムダな物を省いてきたけれど、そればっかりじゃ息がつまってしまします。失敗にクスッと笑ったり、あちこち回り道して新しい物を発見したり、喧嘩したり、優しさに涙したり、飲みすぎたり……。一見うまく立ち回っているつもりでも、実はムダと思われる時間や物事こそが、日常の駆動力になっているのです。ワニの腕立て伏せもムダなことではないのです。

 本書には特別なことは書かれていません。当たり前の日常、夫婦のなにげない会話、身近な人のちょっとした優しさ、そういう物にこそ福祉が宿っており、そこに目を向け、かみしめることで、福祉が常に私たちに寄り添っていることや、私たち自身が福祉を生み出していることを伝えます。いうなれば、暮らしの中の福祉を絶妙に探り当て、未来の扉につなげる、これまでにない「世間の福祉論」です。

●プロフィール
町永俊雄(まちながとしお)
元NHKアナウンサー、福祉ジャーナリスト
1971年NHK入局。「おはようジャーナル」「ETV特集」「NHKスペシャル」などのキャスターとして、経済、暮らし、教育、福祉などの情報番組を担当。2004年から「福祉ネットワーク」キャスターとして、うつ、認知症、医療など、現代の福祉をテーマとして伝える。現在は福祉ジャーナリスト、フリーキャスターとして、高齢者や共生社会のあり方をめぐり、番組や執筆の他、各地でシンポジウムや講演活動をしている。

(中央法規出版 第1編集部 寺田真理子)

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