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宗澤忠雄の福祉の世界に夢うつつ

宗澤 忠雄 (むねさわ ただお)

疲労が溜まりやすい福祉の現場。
皆さんは過度な疲労やストレスを溜めていませんか?
そんな日常のストレスを和らげる、チョットほっとする話を毎週お届けします。

プロフィール宗澤 忠雄 (むねさわ ただお)

大阪府生まれ。現在、埼玉大学教育学部にて教鞭をとる。
さいたま市障害者施策推進協議会会長等を務め、埼玉県内の市町村障害者計画・障害福祉計画の策定・管理等に取り組む。著書に、『医療福祉相談ガイド』(中央法規)、『成人期障害者の虐待または不適切な行為に関する実態調査報告』(やどかり出版)等。青年時代にキリスト教会のオルガン演奏者をつとめたこともある音楽通。特技は、料理。趣味は、ピアノ、写真、登山、バードウォッチング。

少子高齢化と高校野球

 終戦記念日のこと。朝日新聞朝刊に掲載された「青森山田地元っ子躍動」という記事に目が留まりました。甲子園出場校が「地元っ子」中心のチームとなると、「新聞記事」にまでなってしまう出来事であることが分かります。

 この記事によると、「青森大会で6年連続優勝するなど県内で圧倒的な強さを誇った」この高校は、「グラウンドは関西弁」というメンバーの状況だったと言います。「不祥事をきっかけに方針を変え、今年のチームは先発メンバーが全員、青森出身」だと伝えています。

 この学校で発生したかつての不祥事とは、1年生の部員が寮で上級生から暴力を受けて死亡した事案です。この当時の監督も県外から来ていた人だと言います。

 監督と中心選手がわざわざ県外から集まっているのは、それぞれの人によっての動機や目的の差異はあるでしょうが、「強豪校をつくること」「そのメンバーとして活躍すること」「勝つこと」等を基軸に課題認識の共有化が進められていたからでしょう。

 以前、甲子園で高校野球の試合が繰り広げられている時節、東北のある県へ娘と旅で訪れました。茶店のようなところに入ったところ、たまたまごく近くの高校がその県の甲子園出場校だったのを思い出し、お店を切り盛りしているご夫婦に「〇〇高校が甲子園に出ていますね」と話を向けてみたのです。

 すると、ご夫婦からは、まことにそっけない言葉が返ってきました。「あの高校のレギュラーメンバーは、全部、他県から来た子たちだから…」と。「別に地元から甲子園に出場している実態があるわけではないし、同じ高校に通う地元の子たちが甲子園まで応援に行くのも、ノルマか義理のようなもので、近所の子なんか『甲子園にまで出場しなきゃいいのに』とぼやいているんですよ」。

 この20年間、少子化に伴う高等学校の統廃合は全国で進みました。埼玉県立高校でみても、20校を超える高校が廃止されました。さらに少子化の一段と進行した地方県の高校は、人口集中地域である首都圏・中京圏・関西圏などの選手層の厚いところから高校生を引っ張ってこないと、勝つことのできるチームを編成しづらい状況にあるのでしょう。

 このような事態に通じる原型のようなものは、私の高校時代にもありました。それは、大阪府内の強豪校の監督が、中学生の野球の大会に足を運んで有望な選手を見つけると、自校にスカウトしようとしたことです。しかし、いくら野球を中心に考えて高校に進学するとしても、親元を離れなければならないような他県の高校は、当時、関係者の選択肢の中にはなかったでしょう。

 今や時代は変わりました。大都市部ではレギュラーに入れないとすれば、地方でレギュラー選手として活躍し、大学に野球の世界で進学するか、プロ野球のスカウトの目に留まればと考える高校生は、「球児」としてのスタンダードでしょう。地方大会の1回戦や2回戦は、報道陣もスカウトの目もほとんどないと見限って、内野ゴロだと1塁まで走ろうとしない選手さえ珍しいとは言えないそうです。

 いずれにせよ、このような見せかけだけの「地域対抗戦」で高校野球の全国大会を続けるというのはいかがなものでしょうか。高校野球の教育目標が何であるかにもよりますが、少なくとも、勝つことを至上命題とするものではないはずです。スポーツマンシップにふさわしい平等性から考えれば、高校生の人口をイーヴンにした地域割りをして代表校の数を決めることにしてもいいはずです。

 東京都の人口は全国の都道府県の中で最も多く、最も少ない鳥取県の人口の約24倍にも達します。本来ならば高校生の人口で比較すべきですが、ひとまず都道府県別の人口で出場機会の均等化を考慮すると、鳥取県の代表校を一つ出すことに対して、東京から24校もの甲子園出場校があっていいのです。

 つまり、現在の甲子園大会の実態は、一票に大きな格差を放置したまま「違憲状態」にある選挙制度と変わらない。1票の格差問題は、選挙区設定と議員定数の地域間格差を是正する国民平等の課題です。

 ところが、都道府県単位の代表校が出場する形を続けている高校野球は、問題の本質的な是正はとても難しい。選手層の厚い都市部から地方の高校に選手を連れてくることによって、何とか成り立っているのです。このようなシステムは、国体でも一部にあると聞きますが、いずれ破たんするでしょう。もし、高校野球全国大会のシステムとしては維持できたとしても、教育のシステムとしてはすでにとっくに破綻しています。

 ここのところ、少子高齢化に伴う様々な問題があちこちで騒がれるようになりました。保育所不足、子ども保険、求人難、CCRC…。どれもこれも、事態の核心部分にまでアプローチできないまま、当面の策のやりくりに汲々としている感が否めない。高校野球も同様ではないのでしょうか。

仕込蔵-うすくち龍野醤油資料館

 仕事のついでに兵庫県の龍野を訪れました。太地喜和子さんがマドンナ役の映画『男はつらいよ』の舞台にもなった、とても落ち着いた佇まいの街です。市中を揖保川が流れ、播州産の上質な小麦と大豆に赤穂の塩を活かしたうすくち醤油の里です。

戦時中の「当面の策」を示す資料

 醤油の資料館としてはわが国で初めてのところで、ヒガシマル醤油の元醤油蔵が資料館として使われています。その中に、戦時中の「当面の策」の申し合わせを示すものもありました。

龍野城入口

 2年前まで、埼玉大学正門前でレストランを切り盛りしていた夫妻が龍野に移り住み、龍野城の入口にほど近いところにランチ主体のお店「さばと」を構えるようになりました。

さばと外観

 龍野の民家を改造したお店で、外観は龍野の街並みにふさわしい民家でありながら、手作りでリフォームした中はなかなかおしゃれなお店に仕上がっていました。気軽で、とても美味しいお店です。

さばと店内

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