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梶川義人の虐待相談の現場から

梶川 義人 (かじかわ よしと)

様々な要素が絡み合って発生する福祉現場での「虐待」。
長年の経験から得られた梶川さんの現場の言葉をお届けします。

プロフィール梶川 義人 (かじかわ よしと)

日本虐待防止研究・研修センター代表、桜美林大学・淑徳大学短期大学部兼任講師。
対応困難事例、家族問題担当ソーシャルワーカーとして約20年間、特別養護老人ホームの業務アドバイザーを約10年間務める。2000年から日本高齢者虐待防止センターの活動に参加し、高齢者虐待に関する研究、実践、教育に取り組む。自治体の高齢者虐待防止に関する委員会委員や対応チームのスーパーバイザーを歴任。著書に、『高齢者虐待防止トレーニングブック-発見・援助から予防まで』(共著、中央法規出版)、『介護サービスの基礎知識』(共著、自由国民社)、『障害者虐待』(共著、中央法規出版)などがある。

雑談分析!?

 このブログ担当の編集者の方からメールを頂きました。私も書かせて頂いた雑誌「おはよう21」7月号の特集「あなたはやっていませんか?不適切なケア・グレーゾーンなケア」の販売状況がとても芳しいそうです。

 読者の方からの手紙も多く、思い当たることや気づきがあったとか、たくさんの事例や漫画といったかみ砕いた改善のポイントが書かれていて分かりやすかった、という感想が目立つそうです。

 成人学習の効果をあげる方法として、研修内容を、参加者が自らの経験とリンクさせ易いものにするというテクニックがあるのですが、おそらく、雑誌の内容が読者の経験にリンクしていたのではないでしょうか。

 しかし、多くの人々の体験を把握するのはそれほど容易ではありません。人の経験は個別性が高いうえに膨大な数にのぼるからです。そこで私は、仕事にまつわる雑談に注目してみました。というのも、雑談のなかでは本音が漏れやすいような気がするからです。

 研修の前後にする従事者の方々との雑談では、「これが従事者の本音なのだろう」と思わせる話が沢山聞けます。ときには、ここに書けないようなぶっちゃけトークも飛び出します。グループワークなどの演習ではまず出てこない話ですから、とても興味深いものです。

 それに、本音なのですから、虐待や不適切なケアなどを考えるヒントになることも多く、職員の雑談を沢山集めてビッグデータ化し、流行りのAIを使って分析してみたくなります。

 「ぶっちゃけ、職員たちは何に悩み何に励まされているのか」というわけですが、劣等感に飲み込まれたり、コントロールフリークに陥ったりすることを、効果的に防げる方法が見つかるかもしれません。

 また、どの職員とどの職員が雑談をすることが多いのかにも興味がわきます。よく雑談をする者同士は情緒集団であり、その有り様を把握できたなら何かと便利です。組織の役割集団と情緒集団が車の両輪のようにバランスが取れているか、わかるからです。

 たとえば、ある情緒集団の力が、組織の役割集団としての力を超えて働いている状態にいち早く気づけたら助かります。特定のメンバー同士の情緒的なつながりが、果たすべき役割に優先されているなら、「仲良しクラブ」であっても仕事をする集団ではなくなっているからです。

 しかも、役割集団より情緒集団が力を持つ組織では、観客や傍観者が続出します。つまり、職員は情緒集団に適応し「仲間を売るようなまねは出来ない」ため、不適切なケアなどは蔓延しやすく、虐待も発生しやすくなります。

 これらを雑談分析によって回避できるなら、本当に大助かりです。

「我が社の雑談ネットワーク図です!」
「お願いした役割分担表は?」