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梶川義人の虐待相談の現場から

梶川 義人 (かじかわ よしと)

様々な要素が絡み合って発生する福祉現場での「虐待」。
長年の経験から得られた梶川さんの現場の言葉をお届けします。

プロフィール梶川 義人 (かじかわ よしと)

日本虐待防止研究・研修センター代表、昭和女子大学・淑徳大学短期大学部兼任講師。
対応困難事例、家族問題担当ソーシャルワーカーとして約20年間、特別養護老人ホームの業務アドバイザーを約10年間務める。2000年から日本高齢者虐待防止センターの活動に参加し、高齢者虐待に関する研究、実践、教育に取り組む。自治体の高齢者虐待防止に関する委員会委員や対応チームのスーパーバイザーを歴任。著書に、『高齢者虐待防止トレーニングブック-発見・援助から予防まで』(共著、中央法規出版)、『介護サービスの基礎知識』(共著、自由国民社)、『障害者虐待』(共著、中央法規出版)などがある。

ホワイ ジャパニーズ ピーポー!!!

 2015年12月3日付読売新聞の夕刊によると、在留資格を得て日本で3ヶ月以上暮らしている外国人の数が、217万人を超えているそうです。とくにベトナムやネパールの人が増え、難民認定の偽装申請問題も多発しているため、出入国を管理する法務省は、不法残留の増加を警戒しているといいます。

 私は、在留外国人の話を聞くといつも、恩師のことを思い出します。今から30年以上前の当時、日本語に難のある留学生の指導は面倒なので敬遠する先生の多いなか、私の恩師だけは留学生の面倒をとても良くみていたからです。

 そのおかけで私たち門下生は、たどたどしい日本語もキュートな美人の手料理を、ご馳走になることができました。今思い出しても頬が緩みますが、本題は美人の手料理ではなく、在留外国人への支援は今どうなっているのか、ということです。

 まず浮かぶのは多文化ソーシャルワークです。日本人との結婚による定住や、移住労働者として家族とともに長期滞在するなど、生活者としての外国人の支援をする新しい対人援助として、10年ほど前から耳にするようになりました。

 在留外国人も、私たち日本人と同じく、就労、結婚、 出産、 子育て、教育といったライフステージを歩み、さまざまな問題に直面します。日本人と同じものもあれば、外国人ならではのものもあります。

 たとえば、低賃金、長時間労働など仕事上のトラブル、文化や価値観や習慣の違いから発生する夫婦関係の問題、日本語に関し親は苦手で子どもは得意になりやすく、親子でもコミュニケーションが取りにくい、といったことです。これらの問題に加え、親子で力が逆転しやすく、イジメの対象になるなど学校にも馴染みにくく、子どもは非行に走りやすいという指摘もあります。

 いずれにせよ、日本人家族より多く問題を抱えやすいと言えそうです。実際、虐待問題の当事者となる例も少なくはありません。ですから、在留外国人への支援は、「家族の健康化」をキーワードに、児童や配偶者や障害者や高齢者の虐待の問題と深くつながっていて、虐待の発生や悪化や再発の防止の観点からも、多文化ソーシャルワークの発展に期待します。

 不法滞在者を「北風的」に規制するのは当然だとしても、非行や虐待はときに事件化するのですから、在留外国人への「太陽的」な支援は、後に犯罪となる芽を摘む活動であり、疎かにすると後世に禍根を残すと思います。

 この意味では、観光で来日した外国人に「日本に来て良かった」と言って貰える努力のみならず、それと同じ、あるいはそれ以上に「日本に住んで良かった」と言って貰える努力が必要なのではないでしょうか。

「外国人でも一般人ならドン引きなのに
芸能人ならイチコロね」