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介護技術に関する疑問

編集担当者が語る! 介護技術の「正解」の見つけ方

 介護職が現場での「つまずきどころ」について、改善点とその根拠を学びながら、確実に身につけたい知識と技術を磨くことができる新シリーズ、「ステップアップ介護」。
 今回は、その書籍を担当した編集者が、編集をしていくなかで感じたことを語ります。介護技術の「正解」って何だろう? どのように見つけたらいいんだろう? そんなことを一緒に考えてみませんか。

今回、執筆した人

*『介護技術』編集担当者S
*入社20年、女性
*好きなテーマ:認知症カフェ、回想法
*最近あったうれしかったこと:80歳の父とのトレッキング

よくある? 介護技術の学び方

 みなさんは、『介護技術』をどのように学んでいますか。
 「職場の先輩の技術を真似して…」「研修会に参加して…」「本やDVDを見て…」など、さまざまな方法で学んでいると思います。
 そして、先輩がやっている通りに、研修の講師と同じように、または書籍やDVDにのっている通りに、実践する努力を重ねていることと思います。

 では、たとえば、職場の先輩のやり方と、研修で教わった方法が異なっていたらどうしますか。または、同じ職場の先輩で、同じ利用者に対する方法が異なっていたらどちらの方法を選択しますか。

 また、先輩や講師と同じようにやっているのに、利用者が辛そうだなと感じたり、自分の身体に負担がかかっているなと感じたりしたときは、どうしますか。

介護技術には共通の「正解」はない!

 あたり前ですが、利用者の動作は一人ひとり異なる特徴があるため、「介護技術」には、モノを作ったり、楽器を演奏したり、パソコンを操作したりする「技術」のような、共通の「正解」は存在しません。

 目の前の高齢者に対して、どのような方法で介助するのがよいか、毎回、考えて実践するのが「正解」ということになります。
 同じ利用者さんでも、日によって、体調によって、時間帯によって、身体の調子や意欲、負担感などは変わるものです。したがって、「毎回」どのような方法が適しているのか、考えながら行うことが大切なのです。

生活を支える技術としての「介護技術」がわかる!

 本書『よくある場面から学ぶ 介護技術』は、「体位変換・移動・移乗」「食事」「排泄」「入浴」「着替え」「睡眠」の各場面において、多くの介護現場でみられる「よくない場面」「判断に迷う場面」「困る場面」を取り上げて、その解決策を探っていきます。

 「解決策」では、すべての項目に共通して、目の前の高齢者の「生活の継続」を大切な視点としています。介護職は、利用者の生活環境の一部として、予後を予測しながら、介護を行います。
 予後を予測するとは、その人のこれまでの生活、既往歴、現在の状況などをふまえたうえで、そのかかわりによって、今後、その人の生活がどのように変化していくのかをしっかりと理解していくことです。

 例えば、よくある場面として、「おむつ交換は、1日何回すればよい?」と、悩んでいる場面を取り上げています(本書P148)。

 「5回です!」「8回です!」など、明快な回答(共通の「正解」)を期待してしまうかもしれませんが、ここで示される解決策は、「利用者の生活のリズムを意識して、一人ひとりに適した回数をチームで検討しましょう」となります。

 がっかりしてしまいましたか?
 でも、それで終わりではありませんので、安心してください。

 解説として、どこの現場でもつけている「排泄チェック表」の活用方法、使用するパッドを選ぶコツ、「夜中に目を覚ます回数を減らして、日中をおだやかに過ごすこと」を望んでいる利用者さんのおむつ交換の回数とタイミングの例など、「おむつ交換は、1日何回すればよいか」を考えるための十分な情報を提供しています。

 解説を読んでみると、担当している高齢者を思い浮かべながら、「Aさんは4回くらいかな?」「Bさんはもう少し頻回の交換が必要かな?」など、具体的な「正解」が見えてくると思います。

「やっぱり介護が好き」な著者からのエール

 この本の著者、長藤成眞さんは、介護職として老健、訪問介護、通所介護事業所に勤務した後、居宅介護支援事業所のケアマネジャーとして多くの利用者さんに出会ってきました。そのなかで、チームケアを進めるためには、医療知識が必要だと痛感し、看護師の資格を取り、医療型療養病床の看護師として、経験を積んでこられました。

 そしてつい最近、当初の目的通り、介護の現場に戻ってきました!
 本書は、「やっぱり自分のフィールドは介護なんだよね…」という著者からのエールが満載です。
 「介護職の方々には、利用者さん自身が望む生活とはどのようなものなのか…を常に考えて介護を行ってほしい」という熱い思いを込めて、そのために必要な知識を本書にまとめていただきました。

日々の介護に迷ったとき、ぜひ、手にとってほしい一冊

 そのほか、本書では、次のような場面を取り上げています。

*「声かけ」は単に声をかければよい?
*歩行動作の「見守り」って、具体的にどこを見たらいいの?
*「正しいポジショニング」って?
*報告が必要な「尿や便の異常」って?

 共通の「正解」がない介護技術だからこそ、この本を片手に、しっかりと目の前の利用者さんを見て、感じて、その利用者さんの、その時の「正解」を探してみてください!

もっと詳しく知りたい方はコチラ!

このページの内容は、長藤成眞『ステップアップ介護 よくある場面から学ぶ介護技術』からテーマを選定し、Web掲載に見合う形に編集したうえで転載しております。より詳しい内容は本書籍をご覧ください。

著者:長藤成眞
本のサイズ:A5判、238頁
定価:2,420円(税込)

ステップアップ介護 シリーズについて

 「ステップアップ介護」は、経験の浅い介護職が一人前になるまでに確実に身に付けておきたい知識と技術を、厳選して紹介する書籍シリーズです。『認知症ケア』『マナーと接遇』『疾患・症状への対応』など、知りたいテーマを7つ用意しました。全巻にわたって、新人介護職の「つぼみちゃん」と、先輩介護職の「はなこ先輩」が一緒にナビゲートしてくれます!

 このシリーズは以下のような特徴があります。

  • ●経験の浅い介護職が一人前になるまでに確実に身に付けておきたいこと
  • ●介護現場の「実践」に直結すること
  • ●すぐに知りたいこと

これらがパッと見てわかる!

 「良かれと思ってやってしまっている」そんな場面をたくさん取り上げ、それが「どうしてだめなのか」その根拠だけでなく、「どうすればよいのか」までをわかりやすくまとめました。
施設内の研修テキストや参考書としての使い勝手もよく、ユニットリーダーやフロアリーダーさんにもおすすめ。詳細は特設ページをご覧ください。

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