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山口晃弘の超幸齢社会の最幸介護術

山口 晃弘(やまぐち あきひろ)

超高齢社会を実り多き「幸齢社会」にするために、
介護職がすべきこととは?
元気がとりえの介護職・山口晃弘が紡ぐ最幸介護術。

プロフィール山口 晃弘 (やまぐち あきひろ)

介護福祉士、介護支援専門員。1971年、東京都生まれ。高校卒業後、設計士、身体障害者施設職員を経て、特別養護老人ホームに入職し、介護職・生活相談員を務め、その後グループホームの管理者となる。
現在、社会福祉法人敬心福祉会 千歳敬心苑の施設長。著書に『最強の介護職、最幸の介護術』(ワニブックス、2014年)がある。

著書

『最強の介護職、最幸の介護術』
『最強の介護職、最幸の介護術』

「別れの曲」

 特養が「終の棲家」といわれるようになって久しいです。
 私が勤務する施設は80人の方がお住まいになっていますが、昨年度も一年間で17人の方がご逝去されました。そのほとんどの方が、施設で最期をお看取りさせていただきました。
 介護の仕事に就いて20年以上が経ちました。これまで一体、何人の方をお見送りしたのかな…。
 勤めたばかりの頃、ユキノさんという目の不自由な102歳の女性ご入居者が、私のことをとてもかわいがってくれました。いつも「山口さ~ん、山口さ~ん」と呼んでいました。
「山口さんは、と~ってもいい人だから、あたしいい人(女性)を紹介したいの」
「え~! いくつの人?」
「あたしより年上だったから、いまいくつになってるのかしら」
「……」
 そんなことを本気で言ってるユキノさんが、私も大好きでした。
 ユキノさんが最期を迎える頃、往診に来た医師が「今日だろうね」と言った日も、「山口さ~ん」とずっと呼んでくれていたそうです。私は公休だったのですが、看護主任が「山口さんは今日休みだから、会いたければ明日まで頑張りなさい」と言うと、ユキノさん「はい」と答えていたそうです。
 翌日、私が出勤してから、ユキノさんは旅立ちました。

 私は、ショパンの「別れの曲」を聴くと、いつも思い出す人がいます。
 女性のご入居者のキミさん。リウマチが進み、寝たきりになったキミさんは、生涯独身の女性でした。
 あるとき、キミさんに「結婚したいと思った人はいなかったの?」と聞いたことがあります。
 「いましたよ。素敵な人でした。ハンサムで優しくて…。結婚の約束もしていました。でもね、特攻で死んでしまいました。泣きましたよ…。ずっと泣いていました。今でも泣いています(笑)。それから、親が心配してお見合いの話なんかもありましたけど、彼のことが忘れられなくて、結婚はできませんでした」と懐かしむように答えてくれました。
 私が「いまでもその人のことが好き?」と聞くと、「好きですね。大好きです」と笑って答えてくれました。
 キミさんが亡くなったとき、(やっと逢えるね…)と思いました。
 なぜかそれ以来、別れの曲を聴くたびに、キミさんのことを想います。
 今、向こうで幸せだといいな…。

新刊のお知らせ(編集部より)

このたび、山口晃弘氏の著書が発行されました!
テーマは、介護現場の「リーダーシップ」と「人材育成」です。

現場の職員から「一緒に働きたい!」と思われる人気者リーダーになるために、役立つ知識、使えるツール、心揺さぶられるエピソードが満載の一冊です。ぜひ、ご一読ください!

介護リーダー必読!
元気な職場をつくる、みんなを笑顔にする リーダーシップの極意
定価 本体2,000円(税別)
A5判、218ページ
ISBN978-4-8058-8278-8