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和田行男の婆さんとともに

和田 行男 (和田 行男)

「大逆転の痴呆ケア」でお馴染みの和田行男(大起エンゼルヘルプ)がけあサポに登場!
全国の人々と接する中で感じたこと、和田さんならではの語り口でお伝えします。

プロフィール和田 行男 (わだ ゆきお)

高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。
特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は株式会社大起エンゼルヘルプ地域密着・地域包括事業部 入居・通所事業部部長。介護福祉士。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。

二歳になった七人目の家族




 介護保険制度がスタートした頃からの友人からお手紙を受け取りました。

 友人は看護師ですが、新型コロナウイルスがクラスター化したあとの処置をめぐって疲れ果ててしまい退職したとありました。
 そこに行きつくまでにいろいろなことがあったのでしょうが、退職後も散歩中に涙が出るなど、かなり心を傷めているようです。

 今一番の救いのひとときは「犬の散歩」のようで、「和田さんはブログで犬のことを書いていましたが犬を飼っているのでしょうか?」とありましたので、ほんの少しでも気持ちを和らげてもらえるのではないかとの思いを込めて、「うちのこ」について書かせていただきます。

 うちのこと出会ったのはちょうど2年前で、連れ合いがホームセンターに行ったとき、ゲージの中に居たそうです。

 犬種は「トイ・プードル、メス」で、一度目見たときは「可愛いと思ったけどスルー」したようですが、次に行ったときにもまだ飼い主は見つからずにゲージ内に居て、しかも「価格が下がっていた」ようです。
 その時も「次に来たときに居たらご縁があると思って連れて帰るかどうするか考えよう」とはやる気持ちを押さえて帰ったようですが、その次に行ったときにも居て、さらに価格は下がっていたそうです。

 そのたびに上京中の僕に報告メールがくるのですが、僕的には「どうしても飼いたい懇願丸出しメール」に映り、「帰ったら一緒に行って、そのときにもまだ居たら考えよう」と返信していました。

 名古屋に戻りホームセンターに行くと、まだ居ました。
 つまり「価格を下げても・下げても飼い主が表れない売れ残り犬」ってことですが、価格は更にさらに下がっていましたね。

 犬でも猫でも、嫌いでなければ「抱っこする」と可愛くて連れて帰りたくなるのは無理からぬことですが、抱っこした子供たちからのおねだりはものすごく、「可愛いと思った・値段が下がった・うちに飼える条件はある・抵抗者はいない」の拍子が揃ったとなると手を打つしかなく、連れて帰ることにしました。

 名前は子どもたちが「せん」と決め、子供たちは「お世話もするから」と言っていましたが、それが長続きするはずもなく、結局名古屋にいるときは僕が面倒を見る羽目になり、散歩の件で親子が言い合いになるなど、良きにつけ悪しきにつけ親子の関係強化につながってはいますし、家族内の話題も増えましたね。

 グングン大きくなりましたが「トイの名前にそぐわないだろう、君は」と、その大きさに「?」を感じはじめたある日、散歩中に「これぞトイ・プードル」に出会い、うちのこの大きさがとても気になりだし調べてみました。

 調べてみると、僕がプードルで知っていたのは「トイ」と「スタンダード」だけで、なんとそれ以外に「ミディアム」「ミニチュア」「タイニー」「ティーカップ」と大きさで種別されていてびっくりしましたし、どう見てもうちの子は「トイ」の大きさではなく、だまされた感たっぷりの気になりました。

 「だから安かったのかなぁ…」

 しかも、その後気になりだしたのは鼻の長さ(マズル)で、短いのがプードルの可愛さの象徴だと僕は思っていましたが、写真のように、うちの子は他のトイ・プードルと比較してみても長いと思うようになり、それも気になりだしました。

 「この子にはダックスフンドの血が入っているのでは? だから価格を下げまくったのかも…」

 これまた、だまされた感を抱いてしまいましたが、まぁどうでもいいと思えばどうでもいいこと。
 しかもプードルは犬種の中では長いほうで、だからなのかマズルが短いほうが人気なんだそうですが、トイにしては図体が大きかった分、マズルが長かった分、安価に連れて帰れて一緒に暮らせるようになったと思えば「ホコホコ」です。

 今は新型コロナウイルス感染症拡大の影響もあってペット人気が高まり、犬も猫も価格が高騰しているようで、今ペットショップを覗くととても手が出ない価格状況になりましたから、あの時の出会いに感謝です。

 小学校三年生の時に家出をして、寂しさを解消するために捨て犬を拾って資材置き場の片隅で一緒に寝ていましたが、その犬がタクシーにひかれて死んでしまいました。
その子は足が短くダックスフンドの雑種だったのではないかと思いますが、色は違えど顔つきはうちの子によく似ていましたから、つい思い出してしまいます。

 時間になれば「わんわん」と食事と散歩をせがみ、喜ぶかと思って1時間くらい散歩に付き合わせると「もういい。早く帰らせて」という目つきで僕を疎まし気に見つめ、ゲージから出すと行くとこ行くとこついてくるし、僕が横になっているとべっとりくっついてきて舐めてくる「うっとうしいこ」ですが、我が家七人目の家族であり、末永く一緒に暮らしていければと思っています。

 犬に似たのか、僕の頭髪もプードル並みに“ふかふか”になってきました。似るんですかねェ。