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和田行男の婆さんとともに

和田 行男 (和田 行男)

「大逆転の痴呆ケア」でお馴染みの和田行男(大起エンゼルヘルプ)がけあサポに登場!
全国の人々と接する中で感じたこと、和田さんならではの語り口でお伝えします。

プロフィール和田 行男 (わだ ゆきお)

高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。
特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は株式会社大起エンゼルヘルプ地域密着・地域包括事業部 入居・通所事業部部長。介護福祉士。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。

後継

 介護事業を運営する僕らにとって最大の関心ごとである2024年度介護報酬改定論議が、いよいよ各論に入ってきました。国民から見て複雑でわかりにくくなっている介護保険制度をわかりやすいものにしてもらいたいものです。
 介護保険創設時からみて加算が大幅に増えていますし(通所介護5⇒31 老健8⇒71 グループホーム1⇒31など)、処遇改善関連加算も3種類。

 契約事項を説明する僕らからみても「わかりにくいなぁ」と思うのですから、市民から「ちんぷんかんぷん」と思われてもしょうがないでしょうね。
 そういうことも議論になっているようですから、是非とも実現してもらいたいものです。

 さて、話は変わりますが、僕は法人トップの仕事は「次のトップを見出すことにある」と思っていますが、次のトップが見出せないまま時が経ち、事業を売却・廃業せざるを得ない方々がたくさんいるようです。いわゆる後継者不足ですね。先日、他業種の方とお話をしたときも、この話題になりました。

 ひと昔前は、先代経営者の子どもが後を継ぐことが一般的だったのでしょうが、少子化や多様化などで、子どもが継ぐということが普通ではなくなってきているのでしょう。
 調べると、中小企業では65%にあたる18万社が後継者不足の状況に陥っているという数字がでてきますから、かなりこの国は深刻です。

 経営者がバリバリ仕事をしているときにこそ「後継」を描いていないと、最悪廃業に陥ってしまいますが、その「描き」って結構難しいんでしょうね。

 介護事業に限らず僕の周りには、後継者が描けず売却や廃業に至った方がいますし、逆に子どもから「継ぐよ」と言ってもらって肩をなでおろした方もいますし、バリバリ仕事をしているのに早々に後継指名している方もいます。

 そう考えると、僕は「僕のものの見方・考え方・実践」の後継者を見出さないといけないということになるのですが、そもそも「僕のものの見方・考え方・実践に後継が要るのかどうか」という自問にぶち当たりもします。

 というのも、僕の根っこにあるのは「僕のものの見方・考え方・実践」ではなく、国民に等しくある基本的人権を、認知症や要介護状態になったからといって諦めさせないようにするにはどうしたら良いかであり、一般的な日本人が生きる姿から遠ざけないようにするためにはどうしたら良いかなので「僕の」じゃないからです。

 もちろん、細かいところにいけばいろいろあるでしょうが、大きくはこの軸が大事なことであり、僕はいつも、そこに立ち戻ってバランスで考えているだけです。

 ちなみにバランスというのは、そうはいっても別の法律の枠の中や介護保険制度の枠の中で考えざるを得ないとか、そうはいっても家族の意向があるとか、そうはいっても支援者の能力の範疇で考えるしかないとかといったことです。
 そこの折り合いの付け方が「僕の」だとしたら、そこに後継が描けるかどうかだけでしょうか。

 その意味では、僕の後継は一番時間を共にし、一番語り合ってきた僕のボスかな…ということは、僕は所属法人で仕事ができていない証でもありますね。

写真

 何に見えますか。
 ある町に到着した時に見えた雲ですが、夢中でシャッターを切りました。このあと雷が鳴り始め大雨に。もちろん僕が町を去るころに天気は回復しましたがね。(嵐男健在)
 この時の僕には、この雲が「悪魔」に見えました。悪魔が追いかけてきているように見えたってことは、僕にやましい心があるってことでしょうかね。何もないけどなぁ。その後の紀伊水道での地震と関係あるのかなぁ。写真以上に不気味な雲でしたよ。

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物は者次第