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高室成幸のケアマネさん、あっちこっちどっち?

高室 成幸 (たかむろ しげゆき)

全国津々浦々、研修・執筆・アドバイザー活動を神出鬼没(?)・縦横無尽に展開する高室成幸さん(ケアタウン総合研究所)。
研修での専門職との出会いや、そのなかでの懇親的な現場を届けます。

プロフィール高室 成幸 (たかむろ しげゆき)

ケアタウン総合研究所所長。
日本の地域福祉を支える「地域ケアシステム」づくりと新しい介護・福祉の人材の育成を掲げて活躍をしている。「わかりやすく、元気がわいてくる講師」として全国のケアマネジャー、社協・行政関係、地域包括支援センター、施設職員等の研修会などで注目されている。主な著書に『介護予防ケアマネジメント』『ケア会議の技術』『ケアマネジャーの質問力』『新・ケアマネジメントの仕事術』(以上、中央法規)、『地域包括支援センター必携ハンドブック』(法研)など著書・監修書多数。

終活~生ききる時間~

 就活ならぬ「終活」がすっかり定着した感があります。4年前のこと、「終活」をテーマにしたドキュメンタリー映画「エンディングノート」が公開されました。作ったのは20代の女性監督でした。なんと、撮影・監督・編集を次女がすべてをこなしているのです。
 ご覧になられた方も多いことでしょう。

 主人公は砂田知昭さん(67歳)。高度経済成長の申し子のような「モーレツサラリーマン」。一貫して営業畑を歩み、専務までのぼりつめて2007年に円満退職します。
 第二の青春を謳歌するぞと周囲に話していたある日・・・
 定期健診で胃がんが発覚します。すでにステージIVで手術もできないほどに進行していました。やがて、半年後の2009年12月29日に砂田さんは亡くなります。享年は69歳でした。あまりに早過ぎる死です。

 告知から6か月間、麻美さんは父にカメラで密着します。映画はそのフィルムとこれまで撮りためた家族の記録を織り交ぜ、砂田さんの60数年の人生を描きます。

 この映画のすごいところは砂田さんの「逝くとき」までを赤裸々に描き切っているところです。人生の価値観が「段取り命」な砂田さん。終末期がわかると迷うことなく用意周到に「その日」を迎える準備を始めます。
 岐阜に暮らす94歳の母との伊勢志摩家族旅行、アメリカ在住の孫たちとの気合いの思い出づくり・・・それまで無宗教だったのですが、葬儀予算をいろいろ検討してキリスト教がもっとも安価?だとわかるや、入信の手続きを済ませます。
 そして式場の下見、知人・友人の名簿づくり、さらには子どもたちが会社や旧友たちに自分の訃報を知らせる話し方見本までつくるのです。

 検診があると数値を鵜呑みにすることなくしっかりと分析し、その結果を家族にメールで一斉配信するほどです。スクリーンに映し出される医師とのやりとりは、さながら「仕事の打ち合わせ」風です。
 自らの死を「最後のプロジェクト」のように取り組む元サラリーマンの姿は、まさに「終末期向け活動(終活)」。
 なにが砂田さんを駆り立てたのでしょう。

 フリーの助監督の麻美さんにとっては第1作目が父の終活です。映画パンフレットに次のような一節があります。
「作り始めた当初の、みんないつか必ず死んでしまうのになぜ生きていなければいけないのか?という疑問は、だからこそ死ぬまでちゃんと生きたほうがいいんだろうな、という気持ちに変わりました。いつか死が訪れるまでは存分に生を味わいつくせばいいのだと考えるようになりました」

「存分に生を味わいつくす」・・・なんと深い言葉でしょう。

 余命6ヶ月を前に砂田さんは、ヤケになることなく、やっておきたい「生」(残された時間)を一つひとつ丁寧に味わいつくされたように思います。
 その姿に麻美さんは「死とは尊いものだと実感した」と語ります。

「看取りの映画」なのではなく「終末期を生ききる映画」として見ると、さまざまなことに気がつけるように思います。

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  • シリーズ(8)「ケアマネ事業所のマネジメントと苦情対応~採用・育成・メンタルマネジメントと苦情対応~」(定員20名)
    |日 時|1月24日(日)10:30~17:00
    |詳 細|WEBにて→http://caretown.com/tokyo/caremanage2801.shtml
 全国研修の様子は、ケアタウン総合研究所の公式FBをご覧ください。

研修会場・写メ日記

山形県介護支援専門員協会最上支部及び薬剤師会最上支部研修会
「地域包括ケアシステムにおける医療と介護の連携」

新潟県関川村研修会
「チームケアに活かす伝える力」

新潟県老人福祉施設協議会 第4ブロック部会研修会
「人が育つ・人を育てる」~自分は何を学び、何を行なえばよいのか~