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宗澤忠雄の福祉の世界に夢うつつ

宗澤 忠雄 (むねさわ ただお)

疲労が溜まりやすい福祉の現場。
皆さんは過度な疲労やストレスを溜めていませんか?
そんな日常のストレスを和らげる、チョットほっとする話を毎週お届けします。

プロフィール宗澤 忠雄 (むねさわ ただお)

大阪府生まれ。現在、埼玉大学教育学部にて教鞭をとる。
さいたま市障害者施策推進協議会会長等を務め、埼玉県内の市町村障害者計画・障害福祉計画の策定・管理等に取り組む。著書に、『医療福祉相談ガイド』(中央法規)、『成人期障害者の虐待または不適切な行為に関する実態調査報告』(やどかり出版)等。青年時代にキリスト教会のオルガン演奏者をつとめたこともある音楽通。特技は、料理。趣味は、ピアノ、写真、登山、バードウォッチング。

奨学金の保証人の提訴

 奨学金未返還分の支払いを終えた保証人4人が、日本学生支援機構に返金を求める訴えを東京地裁に起こしました(5月11日朝日新聞朝刊による)。保証人の支払い義務は未返還額の半額であるにも拘らず、そのことを保証人に知らせないまま全額を支払わせていた問題です。

 このブログでは、以前に、わが国の奨学金制度の深刻な問題について言及したことがあります(奨学金1万人滞納)。そのときのブログ文面で、実は、書くことを差し控えた事実がありました。

 日本育英会(現、日本学生支援機構)が、奨学金の構造改革の一環として「有利子化」をはじめようとしたことに抗議して、全国の学生・院生・大学関係者が東京の市ヶ谷にある日本育英会本部に集まりました。確か、1983年か84年の出来事だったと思います。

 私たちの代表が日本育英会の担当者に有利子化反対の主旨を伝えていたとき、ある院生が「日本育英会は、消費者金融(サラ金)を始めるのか!?」と発言したことを皮切りに、周囲にいる大勢の学生たちから「サラ金育英会を許すな!」とシュプレヒコールの起きる事態となりました。

 今回の保証人による提訴を前にすると、当時いささか過激にも思えたシュプレヒコールは、あながち的外れではなかったように思えてきます。

 奨学金を借りた本人が返還できない場合、連帯保証人は全額を、保証人は半額の支払い義務を負うことになっています。これが、民法上の「分別の利益」です。

 ところが、日本学生支援機構は、(1)分別の利益は「保証人が申し出るべきもの」であるから、保証人には半額の支払い義務しかないことを伝える必要はない、(2)返還中に分別の利益を申し出る場合は減額に応じるが、返還をすでに終了している場合は応じない、としてきました。

 そこで、すでに全額返還を終えた保証人の方たちが、支払い義務のなかった分の返還を求めて裁判を起こしたというのです。機構の対応は、木で鼻をくくったようで、公正さと公平さがあるとはとても思えません。

 むしろ、法の抜け穴を巧みに利用して、小賢しくもあくどい商いをしていた「サラ金業者」に通じる「臭い」を感じてしまうのは、はたして私だけなのでしょうか。

 というのも、機構の主張する(1)は、法の定めを共有する手続きを踏むことなく、「あなたが勝手に全額払っているのであり、それはあなたの責任です、知らないあなたが悪いのです」ということです。「保証人契約」を形式的に振りかざして、下劣極まる「自己決定と自己責任」を保証人に押しつける手口には、機構が本来担保すべき公共性の欠片さえありません。

 さらに、(2)では返還の途中に申し出があれば減額に応じるけれども、すでに返還終了の場合は応じないというのです。これでは、裁判を起こした保証人が「真面目に返した方が報われない」事態を不公正として問題にするのはまことにもっともです。

 返還を終了している場合の権利救済の手立てが、裁判しかないというのも制度的な欠陥です。不服申し立てや裁判外調停(ADR)に準じる仕組みを、速やかに整備すべきだと思います。

 構造改革によって、契約にもとづくトラブルについては、事後的問題解決システムで対応するようになりました。ところが、契約当事者間には情報量や交渉力に格差があるため、実質的に対等な関係性はありません。

 すると、何かのトラブルが生じた場合、事後的問題解決システムにしか持ち込めないような仕組み-その典型は、被害にあった方が裁判を起こすほかに手立てがないようにしておくことです-にしておけば、優越的立場にある方のやりたい放題と被害者の泣き寝入りが常態化するのではありませんか。

 日本学生支援機構は、大きな独立行政法人としての組織的対応を貫くのに対して、過払いを強いられた保証人は、個人として身銭を切って弁護士に相談して裁判を起こさなければなりません。経済的損失を被った保証人の側が、さらに身銭を切らなければならない。

 まさに、「ゾウと蟻」のような関係です。「蟻」が自己貫徹的権利を主張するのはとてつもない負担です。

 福祉・介護サービスの利用に係る契約でも、家族や利用者本人の状況によっては、同じような問題が続いているのではありませんか。

 サービス利用契約は、サービスを提供する組織(社会福祉法人、NPO、株式会社、行政機関)と個人の間で結びます。組織と個人の非対称性を前にして「対等な関係による契約」が実質的に成立するための仕組みが、本当に体制整備されているといえるのでしょうか?

金魚の稚魚

 さて、わが家では、金魚の稚魚のための「臨時保育所」を開設しました。「保育所落ちた、宗澤死ね!」と親金魚に言わせるほど、私は無責任な飼い主ではありません(笑)。画像の稚魚は生後1週間から10日程度、体長6~7mmで100匹ほどはいます。

 水中の稚魚の撮影は、いささか手間取りました。マイクロレンズによる撮影は、ある程度の経験値があるのですが、今回の撮影は苦労しました(「マクロレンズ」による撮影じゃありません! https://www.nikon-image.com/enjoy/life/historynikkor/0025/index.html

 秋の川越祭で「金魚すくい」の屋台でも出しましょうか(笑)