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宗澤忠雄の福祉の世界に夢うつつ

宗澤 忠雄 (むねさわ ただお)

疲労が溜まりやすい福祉の現場。
皆さんは過度な疲労やストレスを溜めていませんか?
そんな日常のストレスを和らげる、チョットほっとする話を毎週お届けします。

プロフィール宗澤 忠雄 (むねさわ ただお)

大阪府生まれ。現在、日本障害者虐待防止研究研修センター代表。
長年、埼玉大学教育学部で教鞭を勤めた。さいたま市社会福祉審議会会長や障害者施策推進協議会会長等を務めた経験を持つ。埼玉県内の市町村障害者計画・障害福祉計画の策定・管理等に取り組む。著書に、『医療福祉相談ガイド』(中央法規)、『成人期障害者の虐待または不適切な行為に関する実態調査報告』(やどかり出版)、『障害者虐待-その理解と防止のために』『地域共生ホーム』(いずれも中央法規)等。青年時代にキリスト教会のオルガン演奏者をつとめたこともある音楽通。特技は、料理。趣味は、ピアノ、写真、登山、バードウォッチング。

連携による支援は進んできたのか(1)

 障害のある子どもたちに係る保育や特別支援教育の先生方に「保護者との連携」についてお訊ねしたところ、ほとんどすべての支援者から「信頼関係を結ぶことはできない」とのご意見が返ってきました。

 先日他界した私の父がさまざまな介護保険サービスを利用していましたから、サービス利用の起点であるケアマネさんと父の関係が決定的に重要なことは、身に染みて分かります。ここの信頼関係がなければ、連携による支援はつくれないからです。

 障害のある子どもたちに、医療・保健・福祉・教育の連携による支援が大切なことはすでに言い尽くされてきました。子どもたちが日常的に利用する保育所や学校が、子ども・保護者との信頼関係を結ぶことは、子どもの成長・発達・健康の必要に応えることのできる連携支援の出発点といっていい。

 とくに、2007年の改正学校教育法によってはじまった特別支援教育においては、従来にも増して保護者と学校の連携が重要視されるようになりました。発達障害のある子どもたちの保護者に関連しては、ペアレントメンター養成事業等も全国各地で実施されています。

 支援者と子ども・保護者との信頼関係を基軸にして地域連携による支援をつくることは、障害のある子ども支援にかかわる政策の重点事項であったし、さまざまな現場も支援者が重視してきた点です。政策も現場も重視してきたのです。

 ところが、今、さまざまな支援現場の人にお訊ねしてみると、「親との関係を作ることは本当に難しい」とか、「信頼関係はできないことを前提にして支援を考えていくようにしている」というまでのネガティヴな意見が出できます。

 保護者との信頼関係を起点にして子どもの地域連携による支援を展開しているケースは「残念ながらごくまれだ」と返ってくるのです。

 保育士さんや学校の先生方は、子どもの送り迎えや行事・保護者面談などの機会をとらえてはできる限りのコンタクトをとり、子どもの成長と発達をともに考え支援の協働につながるような信頼関係の構築に努力しています。

 それでも、「信頼関係はそもそも作れないと考えておいた方がいいくらい」と言うのはどうしてなのでしょうか。「信頼関係なんて言い出すと保護者とはほぼ完ぺきにすれ違う」代りに、「功利的関係だけを求めているように感じる」という指摘がありました。

 多くの保護者の保育所に対する気持ちは、保育所を利用する時間帯だけのまずまずの支援ではないか。学校に対してもこれと同様に、小学校(または特別支援学校小学部)にいる時間帯だけのまずまずの支援さえしてくれればいい。そして、学童保育や放課後デイの指導員に対してもまずまずの支援をしてくれればいいと「小間切れにつながっていく」。

 学校と放課後デイに支援の一貫性を求めるというよりも、小間切れになった時間帯の支援が「それぞれにまずまず」であるような状態です。

 「まずまずの支援」とは「自分にとって望ましい」「自分の気にさわらない」と感じる支援であり、「支援がおかしい」とか「気に入らない」と思った場合には、一言文句を言う。じっくり支援者と話し合う機会を持つことまではしないが、だからと言って、モンスター・ペアレントになることもなく、子どものことを考えていないわけでもない。

 つまり、どこまで行っても、「信頼関係」にふさわしい距離に接近することはなく、保育所を卒園し、学校を卒業していく。学校教育段階の「個別の教育支援計画」と「個別の指導計画」はあっても、ここから地域の連携支援をつくるまでには広がらない。

 このようにして、乳幼児から学校、就労と地域生活へと進むライフステージに切れ目のない支援を充実するための手帳(埼玉県は「サポート手帳」、さいたま市は「潤いファイル」とそれぞれ呼称する手帳が、ほぼ全国の自治体で配布されている)の利用は、遅々として進まない現実が出来します。

 連携による支援が大切な時代に、連携の起点が作れない、連携による支援を構築する土台がどこにあるのか分からない、そこで、連携は役割分担に終わってしまう。 次週、この問題の背後にあるものを深堀してみましょう。

大学入試センター試験で支給された弁当です・・・

 さて、「最後の大学入試センター試験」が実施されました。毎年、このときばかりは緊張します。「ミス一つない」ことが「当たり前」の業務だからです。で、上のような弁当。NHKの「サラめし」で一度「入試めし」特集でも組んでくれないかな~。