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ほじょ犬って、なあに?

橋爪 智子 (はしづめ ともこ)

身体障がい者の生活を支える、「盲導犬」「介助犬」「聴導犬」。そんな補助犬たちにまつわる話を紹介するコーナーです。

プロフィール橋爪 智子 (はしづめ ともこ)

NPO法人日本補助犬情報センター専務理事 兼 事務局長。
OL時代にAAT(Animal Assisted Therapy:動物介在療法)に関心を持ち、ボランティアをしながら国内外で勉強を始める。1998年、米国DELTA協会(現・米国Pet Partners協会)の「Pet Partners® program」修了。2002年より現職。身体障害者補助犬法には、法律の準備段階からかかわっている。

著書

『よくわかる 補助犬同伴受け入れマニュアル』共著(中央法規出版)

『よくわかる 補助犬同伴受け入れマニュアル』共著
(中央法規出版)

第156回 障害者の就労支援の現場から

 今週末は、補助犬ユーザーさんも交えてのBBQ大会! 障害がある・ないに関係なく、当たり前に接することができる楽しい機会♪を、もっともっと、増やして行きたいな~と思っております。それにしても、当日の天気! とにかく暖かくなりますように・・・!

当たり前に「働く」ってどういうことでしょう・・・

 さて、今回は当会理事の釜井利典(社会福祉法人 北摂杉の子会 ジョブジョイントおおさか たかつきブランチ 就労支援員)から、障害者の就労支援についてご紹介します。

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 誰もが住み良い社会を目指しています。障害のある方もそうでない方も共生できるノーマライゼーションの社会、すなわち障害のあるなしに関わらず誰でもが過ごしやすい社会を目指して、皆が考え取り組まなければなりません。障害者のあるお子さんを持つ親御さんは、自分がいなくなったらこの子はどうなるのだろうと、言いようのない不安にさいなまれている方がたくさんいらっしゃいます。障害者にとって就労は自立に向けてとても重要なものです。

 就労を望む障害者の基本的なニーズとして多いのが、「企業側に障害を理解してもらい、安心して長期間安定的に働きたい」というものです。そしてこれは私のような就労支援員の願いでもあるのです。ハローワークに行けば障害者向けの求人票は一般求人よりは少ないものの多くあります。条件を高くしなければ就職することは可能です。大事なことは、就職することがゴールではないということです。継続就労すなわちそこで働き続けることが大事なのです。
 では長く働き続けるために何が必要になってくるかと言えば、それはご本人の「努力」だけではありません。無論努力も必要ですが、雇用する企業や地域、社会が取り組まなければならないことがあります。

 平成25年改正障害者雇用促進法では、事業主に対し障害者に対する「合理的配慮」の提供義務が規定され、平成27年3月には、合理的配慮指針が策定されました。
 特定の個性や心身の症状を持っている人が、適切な配慮を受けることができれば、それぞれが持てる力をより活かし、日常生活はもとより社会生活を営むことができます。ただしそれは画一的なものではなく、一人ひとり障害の状態や職場の状況に応じて提供されるものであり、個々に調整が必要になります。ですので、合理的配慮を否定したり拒否することは、「差別」ともいえます。
 合理的配慮を受けることができる対象者は、障害者手帳の有無には関係ありません。
「障害者差別解消法」には、「身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む)その他の心身の機能の障害(以下「障害」を総称する。)がある者であって、障害および社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。(同法第一章第二条)」と規定されています。すなわち個人と社会の相互作用によって「障害」は発生するので、社会制度や環境までもが工夫の対象となります。

 合理的配慮のポイントは、その人その人ひとり一人に適した配慮です。但し過剰な配慮は、その方の持てる力を発揮する場や機会を失わせることになるため合理的とは言えません。必要かつ適切な配慮が必要となります。そのためには、ご本人がどのような場面で何に困っているのか、どのような配慮を必要としているのか把握することが必要です。
 障害もいろいろあり、視覚や聴覚の障害、肢体不自由、知的や精神障害、発達障害、内部障害や難病による障害なども、障害特性や各個人のニーズもそれぞれ違います。こうすれば良いと画一的な物ではないのですが、少し具体例をご紹介します。
 就労においては、障害特性によって通勤時間を考慮する必要があります。通勤ラッシュを避けるために出退勤の時間調整をしたり、休暇も通院に配慮することも必要です。また職場では座席の配置を考慮することや通路には物を置かない、ケーブルはすべて天井から下すなどの物理的環境の整備も必要でしょう。またご本人の習熟度に応じた仕事量や難易度の調整、図や写真などを活用した業務マニュアルや手順書の整備、その日の業務内容や目標、スケジュールなどを明確にすることも合理的配慮になります。

 ただし合理的配慮は、障害者を既に雇用している企業やこれから新たに障害者を雇用しようと考えている企業に取っては、ハードルの高いものに感じるでしょう。何だか難しそうだなぁと採用を躊躇される可能性があります。

 そこで重要な役割を担うのが、職場適応援助者(ジョブコーチ)です。障害者が職場に適応できるよう、障害者自身に対する支援に加え、事業主や職場の従業員に対しても、障害者の職場適応に必要な助言を行い、必要に応じて職務の再設計や職場環境の改善を提案し定着に向けて支援してゆきます。
 ちなみにジョブコーチは、地域障害者職業センターや障害者の就労支援を行う社会福祉法人、あるいは障害者を雇用する企業にもおられます。

  • 平成27年の障害者雇用状況(厚生労働省)
    民間企業に雇用されている障害者の数:453,133.5人
    • 身体障害者:320,752.5人
    • 知的障害者:97,744.0人
    • 精神障害者:34,637.0人

  • 民間企業の雇用状況
    • 法定雇用率:2.0%
    • 実雇用率:1.88%
    • 法定雇用率達成企業割合:47.2%

 それぞれ雇用障害者数は年々増加していますが、まだまだ少ないのが現状です。社会に対し障害に関する知識の普及や継続的な支援を行うことが、ノーマライゼーション実現のために重要なことと思います。障害のあるなしに関わらず誰もが過ごしやすい社会を目指して、私も就労支援員としてジョブコーチとして障害者に寄り添い歩んでゆこうと思っています。

日本補助犬情報センター理事 釜井利典
社会福祉法人 北摂杉の子会 ジョブジョイントおおさか たかつきブランチ 就労支援員

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ご寄付のお願い「日本補助犬情報センター」より

 当会のビジョンは、全国民が正しく補助犬法を理解することで、すべての人が安心して活躍できる社会を実現することです。補助犬ユーザーの社会参加推進活動、普及活動、最新情報収集、資料等作成配布、講演会・イベント等、当会の活動はすべて無償で行われております。
 皆様のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

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