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ほじょ犬って、なあに?

橋爪 智子 (はしづめ ともこ)

身体障がい者の生活を支える、「盲導犬」「介助犬」「聴導犬」。そんな補助犬たちにまつわる話を紹介するコーナーです。

プロフィール橋爪 智子 (はしづめ ともこ)

NPO法人日本補助犬情報センター専務理事 兼 事務局長。
OL時代にAAT(Animal Assisted Therapy:動物介在療法)に関心を持ち、ボランティアをしながら国内外で勉強を始める。1998年、米国DELTA協会(現・米国Pet Partners協会)の「Pet Partners® program」修了。2002年より現職。身体障害者補助犬法には、法律の準備段階からかかわっている。

著書

『よくわかる 補助犬同伴受け入れマニュアル』共著(中央法規出版)

『よくわかる 補助犬同伴受け入れマニュアル』共著
(中央法規出版)

第140回 よくわかる!補助犬同伴受け入れ方特集!~他のお客様への応対(3)~

 『他のお客様への応対』のパート3です。ステッカーやポスターによる事前周知の方法や、来店時の声かけ等をご紹介させていただきました。
 とはいえ、「犬が苦手な方」「犬アレルギーの方」がいらっしゃるのも事実です。では、そんなお客様に対しては、どのように応対すればいいのでしょうか・・・

こんなアップ写真も、「かわいい」と思う人と
「怖い」と思う人がいます。

 私達、補助犬関係者は、ついつい普段から「犬」が身近にいる生活が当たり前になっています。でも、社会にはそんな方ばかりではないことを忘れてはなりません。
 社会には、多くの「犬が苦手な方」や「犬アレルギーの方」がおられます。そんな中、補助犬たちは社会参加をしていくのですから、お互いの理解があった上での共存を目指す必要があります。まさに、障害者差別解消法の目的に書かれている『相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会』です。

 まず、「犬が苦手な方」に対しては、吠えたり飛び掛ったりするのでは? という恐怖心が一番大きいと思われますので、「補助犬は特別な訓練を受けており、国の認定を受けて社会参加しているので、吠えたり飛び掛ったりするようなことはありませんので、ご安心ください。」とお伝えしたいと思います。

 時々「噛みませんか?」と聞かれることがあります。普段、補助犬たちと接している私達からすると、「噛みませんか?」という質問をされること自体に驚くのですが、そこで改めて、過去に犬に噛まれた経験があって、恐怖心が拭いきれない人も実際にいらっしゃるのだな~と思い、その気持ちは無視できるものではないと感じます。やはり、トラウマになっている方もおられるのも事実です。

 そんな時は、「特別な訓練を受けていますので、噛み付いたりしませんのでご安心ください」と伝え、その方には近づけない配慮が必要になります。これは、補助犬ユーザー側の社会に対するマナーだと考えます。

 残念ながら、日本の一般の方々の「犬」に対するイメージは、欧米に比べてとても低いです。これは、わが国の「犬」の歴史にも繋がるのですが、農耕民族だった日本人は、村社会を作り、庭先で番犬として犬を飼っていました。そのため、いわゆる日本犬は、独立心が強く、凛々しいイメージがあります。しかし、逆を言えば、家族以外の人を見たら吠えかかったり、いわゆる欧米で飼われてきた家族の一員としての室内犬のイメージとは大きく違うと思います。
 そんなイメージが強かった日本でも、ようやく室内飼育が一般的になりましたが、それでも『しつけ』に対する意識はまだまだ低いので、問題行動が起こったり、飼い主さんのマナー意識は、残念ながら良いとは言えません。
 そんな一般のペットの「犬」たちのマナー向上により、皆さんの「犬」に対する意識が向上すれば、きっと『補助犬』を見る目も変わってくるのではないかな~と感じています。是非、障害のある方々が実施されている補助犬達の管理を、一般の飼い主さん達にも学んでいただきたいな~♪ と感じています。

 そして、もう1つ、『犬アレルギー』の問題です。
 アレルギーが発生する原因物質となるアレルゲンは、「フケ」と「唾液」であることはわかっていますが、症状や発症するまでの過程はさまざまです。基本的には、触る、抱くなどの接触が原因となって、目がかゆい、鼻水が出る、などのアレルギー症状が出ます。アレルギー症状の中で最も重症なのは喘息発作です。しかし、これまで飛行機等の密閉された空間に同乗して、問題になったという事例はありません。つまり、同じ空間に居ることでアレルギー症状が出る、という実績はこれまでのところ証明されていない、ということがいえます。

 アレルギーについて、アレルゲンの量と距離との発症の関係については明確になっていません。アレルギーの症状や原因も個々で異なり、犬からどれだけ離れていれば、症状が出ないかはわかっていないのが現状です。心因的な部分も多分にあると考えられます。だからこそ、適切な配慮が必要だと考えています。
 つまり、「接近させない配慮」が、アレルギーのある方と補助犬ユーザーへの最低限の配慮であり、最大のアレルギー予防になると考えられるということです。

 ぜひ、正しい理解の上で、正しい受入れを、お願いいたします。

ご寄付のお願い「日本補助犬情報センター」より

 当会のビジョンは、全国民が正しく補助犬法を理解することで、すべての人が安心して活躍できる社会を実現することです。補助犬ユーザーの社会参加推進活動、普及活動、最新情報収集、資料等作成配布、講演会・イベント等、当会の活動はすべて無償で行われております。
 皆様のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

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