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ほじょ犬って、なあに?

橋爪 智子 (はしづめ ともこ)

身体障がい者の生活を支える、「盲導犬」「介助犬」「聴導犬」。そんな補助犬たちにまつわる話を紹介するコーナーです。

プロフィール橋爪 智子 (はしづめ ともこ)

NPO法人日本補助犬情報センター専務理事 兼 事務局長。
OL時代にAAT(Animal Assisted Therapy:動物介在療法)に関心を持ち、ボランティアをしながら国内外で勉強を始める。1998年、米国DELTA協会(現・米国Pet Partners協会)の「Pet Partners® program」修了。2002年より現職。身体障害者補助犬法には、法律の準備段階からかかわっている。

著書

『よくわかる 補助犬同伴受け入れマニュアル』共著(中央法規出版)

『よくわかる 補助犬同伴受け入れマニュアル』共著
(中央法規出版)

第105回 その音は「騒音」?「命を救う音」?

 気づけば11月。カレンダーをめくると、すっかり冬景色に変わっていてビックリです! 補助犬関係者にとっては、イベント目白押しの1年で最も忙しい季節。ここから、12月の障害者週間まで、全国で様々なイベントが行われますので、是非お近くのイベントに足を運んでみてください♪
 当会監修の補助犬啓発デモンストレーションを、下記イベントにて実施いたします。お近くの方、補助犬たちに会いに来てください♪

第17回宝塚市身体障害者補助犬シンポジウム
  • 日 時:2015年11月29日(日) 10:00~16:00(予定)
    補助犬デモンストレーション 11時~、14時~
  • 場 所:アピアホールなど
  • 主 催:宝塚市障害者週間記念事業実行委員会、宝塚市、毎日新聞社

視覚障害者にとっては、「音」だけがたよりです・・・

 先月、盲導犬ユーザーさんと盲導犬が、バックしてきたトラックにひかれ、死亡するという痛ましい事故がありました。続けて同月、視覚障害のある姉妹が事故に遭い、妹さんだけが亡くなるという事故も起こりました。
 立て続けに起こった視覚障害者が犠牲となった事故をきっかけに、全国の視覚障害者団体が、改めて社会に向け、「音だけが頼りの人たちがいる事を知ってほしい」という発信をしておられます。今一度、私たち全員が、あらためて認識する必要があると感じています。

 徳島県のトラックには、バックをする際に注意を促すブザーが搭載されていました。が、近所からの苦情が寄せられていたため、朝と夜はスイッチを切っていたとのことです。しかし、事故発生は8時過ぎ。私の娘に話したところ、「8時だったら私たち小学校へ登校してる時間だよ。もう色んな音がある時間だから、スイッチは切らなくていいよね」と。確かに、視覚障害者だけでなく、子ども達の登校時にも、必要な音だったのではないか?と思われます。防ぐことができた事故なのではないか?との声も挙がっています。
 トラックが切っていたバックする際のブザーの使用は、今の法律では義務づけられていません。このため、視覚障害者の団体などは国に義務化を求めていますが、検討はまだ始まったばかりです。


 また、報道の後、心無い声も届きました。「盲導犬が仕事してなかったんじゃないか?」と…。過去のブログでもたびたび紹介していますが、盲導犬は基本的に“指示”に従って歩いています。(参照:第3回 盲導犬のお仕事紹介(2))そこに、視覚障害者が判断できる音がなければ、危険を回避することもできないのです。

 今回の事故に関し、何人かの視覚障害者の方々とお話をしました。皆さん、過去に危険な思いを何度もしておられました。たまたま、事故にならなかっただけ、という印象です。
 そして、皆さんが一様におっしゃったのは、「日に日に、日常の必要な生活音が少なくなってきている」ということでした。「便利さやスマートさを追求する生活」は、時に、一部の方に対して「不便」や「命の危険」にも繋がってしまうことがあることを、忘れてはいけません。
 今回の事故をこのままにするのではなく、今後に活かすことが重要です。今回明らかになったのは、一般の人には「騒音」と思われても、視覚障害者にとっては「命を救う音」であるということです。そのことを改めて認識する必要があります。

 皆さんの周りには、どんな音がありますか?
 その音は「騒音」ですか? 「命を救う音」ですか?

ご寄付のお願い「日本補助犬情報センター」より

 当会のビジョンは、全国民が正しく補助犬法を理解することで、すべての人が安心して活躍できる社会を実現することです。補助犬ユーザーの社会参加推進活動、普及活動、最新情報収集、資料等作成配布、講演会・イベント等、当会の活動はすべて無償で行われております。
 皆様のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

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