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「わかったこと」を大事にする

「わかったこと」を大事にする

前川舞由(まえかわ まゆ)さん

帝京平成大学臨床心理学部2021年3月卒業
児童発達支援・放課後等デイサービス事業所勤務

受験の動機

 もともと心理学に興味があり、人の心について学びたいと思い、大学は臨床心理学科に入りました。精神保健福祉士については、学んでいくなかでそういう資格があるのだと知りました。受験を本気で考えたのは、4年生になってからだと思います。この資格を取得することで、大学で学んだことを活かした仕事ができるように思ったのと、将来は子どもにかかわる仕事がしたいと考えていたので、児童分野でこの資格は活かせると思ったのが理由です。実習は、精神科病院と就労継続支援事業所でした。対象となる方の年齢は高めでしたが、一人ひとりに寄り添うことの大切さを学び、こうしたかかわりを児童分野で活かしたいと思い、受験の意思を固めました。

受験勉強の内容

開始時期とスケジュール

 本格的に始めたのは、10月に入ってからです。私の大学では学内模試に力を入れていて、4年生になってすぐの4月からそれが始まりましたし、国試対策講座も動き出しは早かったのですが、コロナ禍で対面式の授業が通常どおり行えなかったこともあって、周囲の刺激を受けながら気持ちが前のめりになるという感じには、なかなかなりませんでした。
 11月くらいから本腰を入れるようになり、12月以降は平日・休日の関係なく1日4~5時間勉強するようになりました。後半の時期に行くほど時間的にも内容的にも熱が入っていくかたちになり、今振り返ると試験勉強期間を通じてうまく取り組めたように思います。

私の勉強方法

 先ほどふれた「学内模試」の復習から始めました。4月、5月、6月、8月、9月、11月とほぼ毎月実施される模試を解き直し、間違った箇所は参考書を見て正しい内容として覚え、その周辺の知識も押さえるようにしました。
 これをベースとした上で、勉強を本格化させた10月以降は苦手分野を減らしていくことを考えました。まず、4~5年分の過去問を解いてみて、自分が得点しづらい科目や分野をきちんと知るということをしました。そして、なぜ間違ってしまうのか、自分にとってどこが覚えづらいのかを参考書を見ながら確認し、ここだと思った特に覚えづらいところをノートに書き出して、書き出した自分の言葉で理解するようにしました。
 「見る」や「読む」ではなく「書く」という作業が記憶の定着に役立つと実感するようになったのは、これに取り組み始めてからわりとすぐでした。苦手意識が少なくなると覚えやすくもなるという良い循環もうまれて、それまで難しいと感じていたところの勉強も苦にならなくなりました。


特に覚えづらいところをノートに書き出す。書き出した言葉で理解する。
私の苦手克服術!?でした。

コロナ禍での勉強

 不安だったのは、コロナ禍でほとんどの授業がオンラインとなり、友達と一緒に勉強できなかったことです。自分の勉強法はあっているのか、周りはもっと勉強しているんじゃないかとよくない想像も出てきて、モチベーションが下がった時期もありました。
 そんなとき、あるオンライン授業の近況報告で、友達の一人が毎日5時間以上勉強していると聞きました。このままでは自分は合格できないと思いました。それで思い立ったのが環境を変えることでした。家で勉強すると集中できないので、朝早くのまだ人の少ないファミレスに行き、静かな中で気持ちよく勉強をしてモチベーションを高めたらその状態で家に戻り、そのまま勉強を続けるという方法です。自宅にこもっていたときより集中力がぐんと上がり、頭に入ってくる量も格段に上がりました。勉強の方法だけでなく、取り組み方も重要な要素でした。

受験勉強に使った教材

  • ・精神保健福祉士国家試験受験ワークブック(中央法規)
  • ・社会福祉士・精神保健福祉士国家試験過去問一問一答+α共通科目編(中央法規)
  • ・精神保健福祉士国家試験過去問解説集(中央法規)
  • ・福祉教科書精神保健福祉士完全合格テキスト専門科目(翔泳社)
  • ・受験対策Point Book(日本ソーシャルワーク教育学校連盟)
  • ・模擬試験:学内模試6回、他校模試2回、全国模試1回

試験の手応え

 試験日があと数日に迫った時期に気をつけたのは、「新しい問題は解かない」ことでした。もし、実力試しにと解いたことのない問題集にチャレンジして答えに間違いが多かったりしたら、自信を失ってしまうと思ったからです。そのため、自作のノートや使い込んできた参考書に繰り返し目を通し、大丈夫、自分はわかっていると自信につなげるようにしました。
 試験本番の手応えは、まずまずでした。ただ、過去問とはかなり出題傾向が違うように感じられ、それは友達も同じように感じたようでした。自信までは持てない心持ちで約1か月を過ごし、そして合格発表の日。ネットで自分の受験番号を見つけたときは、本当にうれしかったです。コロナ禍で周りの状況がわからないなか、自分がやってきた勉強は間違っていなかったんだと、達成感と解放感に温かく包まれる思いでした。

資格を取ってみて今思うこと

 今、私は児童発達支援事務所で働いています。発達障害のお子さん、知的障害のお子さん、そしてそのご家族たち。ソーシャルワーカーとして接するお一人おひとりは、障害とされている内容もその背景もみんな違っていて、必要とされる支援もそれぞれです。自分が資格を取る過程で学んだいろんなことが、いざ仕事に就いてみて、ああこういうことだったんだとわかること、学び直すこともたびたびです。就職して半年が経ち、つらかったり厳しかったりすることはあっても、精神保健福祉士になってよかったと思います。
 受験勉強をしていくなかではやる気が起きないこともあります。そんなときは無理をしないで、やりたいことを時間を決めてやるという切り替えも必要です。調子が出なかった時期は10分だけ机に向かい、そこから少しずつ立て直していくこともありました。合格への気持ちを持ち続けて、あきらめずにがんばってください。応援しています。

合格3か条
  • 過去問を解き、復習をていねいに行う
  • 直接会うことはできなくても、zoomなどで友達と教え合う
  • 知識をたくさん詰め込もうと考えず、わかったことを大事にする