メニュー(閉じる)
閉じる

ここから本文です

新人・精神保健福祉士におすすめの本と映画

精神保健福祉士国家試験の受験を終えた皆さんに、これからの仕事に役立つ本をご紹介します。


仕事に役立ち、視野を広げてくれる「おすすめ」の本、映画

現場に出ると必要になるのが「知識」です。受験対策で養った知識の延長線上にある、あるいは別角度からの知識が実践者としての仕事を大いに手助けしてくれます。そして、そのジャンルはさまざまです。理論書、一般実用書、専門実務書などなど。さっそく見ていきましょう。

ソーシャルワーカー必読!?『ケースワークの原則』

社会福祉を勉強する人が必ずといっていいほど学ぶ「バイステックの7原則」。受験勉強で習ったけど、本そのものは読んでいないという方が多いのではないでしょうか。

堅苦しい理論書と考える必要はありません。

この本には「原則」を導き出していった事例が複数書かれていて、「この原則は実例に照らすとこういうことを言っていたのか!」と発見があるにちがいありません。これから担当されるケースにあてはまる状況もたくさん出てくるはずです。ぜひ入職する前にご一読ください。

すぐに実践したい!『参加したくなる会議のつくり方』

〈参加したくなる会議〉をつくるためのノウハウが、見開きでわかりやすく解説されています。

この本では、会議での「対話術」「進行術」といった技術と、その技術を使った自治体での活用事例が紹介されています。特に、第8章で取り上げられる「支援術」は、会議やミーティングだけでなく、さまざまな場面で活用できる内容です。

公務員向けではありますが、この本に収められている内容は行政以外で働く人にとっても参考になる1冊です。

プロになるために『失敗ポイントから学ぶ PSWのソーシャルワークアセスメントスキル』

アセスメント力は、「現場で実践を積むなかでそのうち身についてくる」ということがありません。アセスメントの基本的な視点に基づいた意識的な実践とその積み重ねが必要となります。

この本では、うまくいかなかった失敗事例をまず紹介し、その上でどのようなところがよくなかったのかをわかりやすく解説しています。失敗をそのままにせずに、検証して次へ活かすという発想でアセスメント力の習熟を目指していくため、とりわけ精神保健福祉士の初任者にはぴったりの内容です。アセスメントをあえて「27のスキル」に分解し、体得しやすいように配慮されているのもこの本の特質です。

巻末にはアセスメントスキルのチェックリストもあり、実践の振り返りのために何度でも読み返せる本です。

『その後の不自由』

女性の依存症について、薬物依存やアルコール依存の当事者だったダルク女性ハウス代表の上岡陽江さんと、精神科ソーシャルワーカーを経て、被害体験をもつ女性の福祉的支援を行う施設を立ち上げた大嶋栄子さんが書いた本です。単に依存症についてまとめられたものではなく、当事者の視点と援助者の視点の両方が実感も伴って綴られています。依存症にまつわる女性特有の問題についてもふれられています。

この本を読むと、当事者は(援助者に)何を求めているのかが静かに伝わってきます。精神保健福祉士の仕事に就いた後、自分のあり方を問い直す機会にもなってくれるでしょう。

『ワンダー 君は太陽』

生まれつき人とは違う顔の少年・オギーの物語です。幼いころからずっと家で勉強をしてきたオギーは、10歳になって初めて学校に行くことになります。最初は周囲になじめずにいるのですが、一緒に過ごしていく中でオギー自身も同級生たちも少しずつ変化していきます。

この物語はオギーの周りにいる人の視点からも描かれていて、主人公のオギーだけでなく、姉や友人にもそれぞれ悩みや葛藤、喜びがあることが感じられます。登場人物一人ひとりの気持ちに寄り添うと、それぞれが「当事者」としてみえてくる作品です。

ワンダー 君は太陽

監督:スティーブン・チョボスキー/原作:R.J.パラシオ

『わたしと統合失調症』

原因不明とされる統合失調症の発症に至るまでの「経過」に光を当てた珍しい切り口の本です。全編を26人の当事者の語りで紹介しています。各人の後半部は、発症後にそのことをどう受けとめ、どのように再び歩み出していったかを綴ったリカバリーストーリーです。この本を読むと、「当事者」といっても一人ひとりはまったく違っていて、疾患名や症状でレッテル貼りすることの見当違いに気づかせてくれます。

いろんな方が登場するので、ぜひご一読ください。文字どおり、皆さんの世界を広げてくれる本です。