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計画表の作成が進む1冊

 

 本書の第一印象は「長いタイトル」でしょうか。ただ、「相談支援専門員」も「サービス等利用計画」も、「事例集」ではなく「作成事例集」としたことも、本書へ思いを込めた大切な用語なのです。

 現在、障害者福祉の分野は大きな転換期を迎えています。障害者自立支援法の制定もそのひとつでしたが、障害者虐待防止法や障害者差別解消法の制定、障害者権利条約の批准と、近年の動向も注目されています。

 中でも、相談支援専門員にとって急務とされるのが、「平成27年3月31日までに障害福祉サービスを利用する全障害者に対してサービス等利用計画(以下、プラン)を作成する」ことです。ただ、60万人以上の全利用者のプランを作成することは至難の業ともいえます。

 そんななか、兵庫県西宮市で開催された平成24年度相談支援ネットワーク研修大会(日本相談支援専門員協会主催)に参加し、ある自治体で独自に事例集を作成、配布し、プラン作成が進んでいることを知りました。さらに、相談支援専門員の研修講師もされていた菊本圭一さん(当時、埼玉県相談支援専門員協会会長)も同じ考えをお持ちで、本書企画の機運が一気に持ち上がりました。

 菊本さんをはじめ、埼玉県相談支援専門員協会の方々の執筆、事例提供は迅速で、本書がいかに現場で待ち望まれているかを痛感しました。事例内容は専門員のあたたかい思いで溢れ、編集作業においても、いかに事例内容をわかりやすく読者にお伝えしていくかを念頭におきました。特にプラン表は、思い切って見開き2頁分を割き、アセスメントとつながっている部分を可能な限り明記しました。

利用者個人の生活や性格、環境をしっかり捉えて、個々に応じたサービス、プランが用意されます。その意味で、単なる「事例集」ではなく、アセスメントから紡ぎ出された「作成事例集」であることを本書では強調しています。

 かなりタイトな編集日程、また日々の業務のなか、監修の大塚晃先生、執筆者の多大なるご協力のおかげで本書は生みだされました。「長いタイトル」に込めた思いが読者の方々に伝わり、実務書としてご参考いただき、プラン作成における一助となれば幸いです。

(中央法規出版 第1編集部 三井民雄)

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