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高室成幸のケアマネさん、あっちこっちどっち?

高室 成幸 (たかむろ しげゆき)

全国津々浦々、研修・執筆・アドバイザー活動を神出鬼没(?)・縦横無尽に展開する高室成幸さん(ケアタウン総合研究所)。
研修での専門職との出会いや、そのなかでの懇親的な現場を届けます。

プロフィール高室 成幸 (たかむろ しげゆき)

ケアタウン総合研究所所長。
日本の地域福祉を支える「地域ケアシステム」づくりと新しい介護・福祉の人材の育成を掲げて活躍をしている。「わかりやすく、元気がわいてくる講師」として全国のケアマネジャー、社協・行政関係、地域包括支援センター、施設職員等の研修会などで注目されている。主な著書に『介護予防ケアマネジメント』『ケア会議の技術』『ケアマネジャーの質問力』『新・ケアマネジメントの仕事術』(以上、中央法規)、『地域包括支援センター必携ハンドブック』(法研)など著書・監修書多数。

「ケアマネジメントの責任者は誰?」

 先週は、ケアプランを取り上げましたが、今回はケアマネジメントです。ケアプランはケアマネジャーが作成をしますが、利用者が活用するものであり、利用者本位のケアサービスを提供するケアチームが活用するものです。私はケアプランは、チームケアの「連携シート」であり、サービス提供の「根拠書」という表現を使ってお話をします。

 というのも、ケアプランにもとづいて個別サービス計画書が作成され、具体的なケアとしてカタチになっていくからです。


 では、ケアマネジメントはどうでしょう?ケアマネジメントはケアマネジャーが行うケア提供の一連のマネジメントプロセスですから、だれが活用するのか?という問いかけは正しくはありません。

 そこで、ケアマネジメントのプロセスの「責任主体」は誰なのか?・・・これを考えてみたいと思います。

「またまた高室先生は当たり前のことを質問するなぁ」

と思った方がいらっしゃると思います。

 この手の質問をすると「そりゃ担当のケアマネジャーでしょう!」と即回答がされます。しかし、しかし・・・よく考えてみましょう。みなさんは利用者の方と「あなた自身」で契約していますか?あなたの実印(個人印)で契約をされていますか?

 違いますよね・・・あなたが所属する「居宅介護支援事業者」が利用者の方と契約をしていますよね。その契約行為を、事業所を代表して(代理アリ)行っているわけですよね。

 つまり契約主体は居宅介護支援事業者であり、その契約全般(ケアマネジメントプロセス等)に責任を負うのは、あなたではなく、事業者なのです、ということを近頃ふたたびお話しするようにしています。


 なぜ、当たり前の問いかけをするのか・・・私が伝えたいこと、それは、ケアマネジメントの責任者が担当ケアマネジャー個人になっていませんか?それで本当にいいのですか?という根本的な問いかけなのです。

 話題はちょっと変わって・・・2年ほど前から、ケアマネジャー連絡会の研修で感じるのは、3極化している、ということです。つまり介護保険制度初期からの超ベテラン(12年~15年歴)層、4~8年歴の中堅層、そして数ヶ月~3年以内の新人層です。

 この新人層が5割近く、中堅層が3割、超ベテラン層が2割といったところでしょうか。もちろん市町村によってバラツキがありますから、まずはおおまかな実感と思ってください。

 ケアプランの研修でこのような質問をします。

「このなかで、4~6人程度の居宅の方はいますか?(数人手が上がる)。〇〇さんに、1つうかがいたいのですが、先月、更新の人はいましたか?」

「はい、いらっしゃいました」

「何人?」

「2人です」

「更新の方のケアプランですが、サービス担当者会議にかける前に事業所の定例会議でチェックをされていますよね?」

「えっ?」

「特定IIを取られています?(はい、と返事)利用者やケアチームのみなさんに出す前に、定例の事業所会議でケアプランの内部チェックをしないのはなぜですか?」

 会場は、「何を言っているのか、意味わかんない」という雰囲気になることも・・・前述しましたが、居宅介護支援(ケアマネジメント)は利用者と事業者(所)が契約するものであり、ケアマネジャーの個人責任で行うものではありません。

 たぶん、この点を否定される方はいないと思います。

 では、実際にそのようになっているのか・・・ケアプラン1つとっても、事業所内チェックが行われていない(例:更新時)となれば、それは個人プレーになるのではないでしょうか?

 さらに、この間、依頼されることが多い「支援困難ケース」のテーマでは、次のような提案をします。

  • (1)事業所内カンファレンスを行う
  • (2)複数で訪問する、あるいは担当する
  • (3)地域包括支援センターの主任介護支援専門員と一緒に動く(事業所内カンファレンスへの参加を依頼する)
  • (4)地域ケア会議にかけてもらう

 このように、事業所責任で動くことをお話します。

 「ケアマネジメントの責任」は誰が担うのか・・・

 それは「居宅介護支援事業所(者)」だということ。だから、ケースによっては担当ケアマネジャーを変更してもいいし、新人ならば数ヶ月間はベテラン&先輩ケアマネジャーがOJT&育成をかねて一緒に訪問するということがされるべきだと、私は考えます。

 そうでないと・・・

 新人ケアマネジャーがいきなりケースを20数件持たされ、右も左もわからないまま現場に出て、困惑と不安のなかで仕事を進める羽目になりかねないからです。

 そのツケが、すべて利用者(家族)とケアチームに影響しているのではないか・・・そして新人が潰れていくのでは?そのような危惧を覚えながら研修でお話をしています。

 今週のメールマガジン「元気いっぱい」第417号(無料)は「ムロさんの懸念:制度外ホームの闇~シニアマンションで130人に拘束介護~」(第1・3木曜日に配信)です。メルマガは随時登録受付中です。⇒ ケアタウンの公式HP
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ムロさんの写メ日記

宮崎県小林市主催 「支援困難ケースへのアプローチ」

鹿児島県介護支援専門員協会姶良・伊佐支部主催
「私らしさに着目した自立(自律)のケアマネジメント」

熊本県介護支援専門員協会八代支部
「質問力をいかした相談面接技術」

大阪府枚方市介護支援専門員連絡協議会
「多職種連携のケアマネジメント実践~地域ケア会議で行う支援困難ケース支援~」