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再録・誌上ケース検討会

このコーナーは、月刊誌「ケアマネジャー」(中央法規出版)の創刊号(1999年7月発刊)から第132号(2011年3月号)まで連載された「誌上ケース検討会」の記事を再録するものです。
同記事は、3人のスーパーバイザー(奥川幸子氏、野中猛氏、高橋学氏)が全国各地で行った公開事例検討会の内容を掲載したもので、対人援助職としてのさまざまな学びを得られる連載として好評を博しました。
記事の掲載から年月は経っていますが、今日の視点で読んでも現場実践者の参考になるところは多いと考え、公開することと致しました。


第16回 94歳の利用者の退院後の生活をどう支えていくか
(2005年11月号(2005年10月刊行)掲載)

スーパーバイザー

野中 猛
(プロフィールは下記)

事例提出者

Yさん(居宅介護支援事業所・看護師)

提出理由

 クライアントは高齢者世帯(94歳の母と73歳の息子)で、ともに要介護状態(母:要介護4、息子:要介護1)にある。母親は現在、褥瘡の悪化により入院中。妻の死亡により1年前から主介護者となった息子には、てんかんの発作がある。
 母親は退院後は自宅に戻りたいと考えているが、息子の病状や今後の生活について不安を抱いている。一方、息子は母親の病状悪化に対する受けとめ方が薄く、必要な介護を受け入れない。
 今後の生活の支援方法について検討していただきたいと思い、提出した。

事例の概要

・クライアント
Nさん(94歳・女性・要介護4)
Z氏(Nさんの長男・73歳・男性・要介護1)
・病歴等
Nさん:狭心症、気管支喘息などの既往がある。平成9年頃より腰痛の悪化により徐々に歩行困難となる。外出時は車いすにて移動。平成16年4月、6月、8月には、転倒や病状の悪化により、それぞれ2週間程度入院。同年10月、転倒により皮膚を損傷、通院治療をしていたが、年末に腰椎圧迫骨折にて2週間入院。その後、退院し自宅療養していたが、褥瘡の悪化により1カ月前から再び入院している。退院の目途は立っていない。

プロフィール

野中 猛(のなか たけし)

1951年生まれ。弘前大学医学部卒業。藤代健生病院、代々木病院、みさと協立病院、埼玉県立精神保健総合センターを経て、日本福祉大学社会福祉学部教授。専攻は臨床精神医学、精神障害リハビリテーション、地域精神保健、精神分析学など。主な著書に『心の病 回復への道』(岩波新書)、『図説ケアマネジメント』『ケア会議の技術』『多職種連携の技術(アート)』(以上、中央法規出版)、『ソーシャルワーカーのための医学』(有斐閣)などがある。 2013年7月逝去。