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山口晃弘の超幸齢社会の最幸介護術

山口 晃弘(やまぐち あきひろ)

超高齢社会を実り多き「幸齢社会」にするために、
介護職がすべきこととは?
元気がとりえの介護職・山口晃弘が紡ぐ最幸介護術。

プロフィール山口 晃弘 (やまぐち あきひろ)

介護福祉士、介護支援専門員。1971年、東京都生まれ。高校卒業後、設計士、身体障害者施設職員を経て、特別養護老人ホームに入職し、介護職・生活相談員を務め、その後グループホームの管理者となる。
現在、社会福祉法人敬心福祉会 千歳敬心苑の施設長。著書に『最強の介護職、最幸の介護術』(ワニブックス、2014年)、『介護リーダー必読! 元気な職場をつくる、みんなを笑顔にする リーダシップの極意』(中央法規出版、2021年)がある。

原点回帰

 昨日が今日でも、今日が明日でも変わらない。そんな毎日で、生きているって言えるのだろうか。
 私が介護の仕事に情熱を持ちはじめたきっかけは、この考え方に至ったからだと思います。「施設」というカゴの中に閉じ込められたような生活。24年前、私には、特養で生活するご利用者が、そのように見えました。昨日と違う今日、今日と違う明日を生きよう。そう思って、ご利用者のやりたいこと、行きたいところ、逢いたい人など、そのニーズを聞ける関係性を築き、活き活きと生きる支援がしたい。「生活」とは、生命の“生きる”と活力の“活きる”という二つの文字でできている。生活支援のプロフェッショナルである私たち介護職の仕事は、“活き活きと生きることを支援する”ことだ。そう思い、その思いを職員に語り、気がつけば、たくさんの仲間ができていました。

 生活相談員になったとき、仲間たちと、“実践報告会をやろう!”ということになりました。それも、大きな会場を借りてやる、ということで、400名収容できる区民会館をお借りしました。“実践報告会”という地味な名前にこだわったのは、実践したことしか報告してはいけない。自分たちの思いや、やりたいことを発表するのではなく、実際に実践したことだけを発表する会とするためです。そして、大きな会場を借りたのは、400名の方が感動するような発表をする! そう決めていたからです。400名の方を感動させるには、年度当初から考え、一年かけて、実践をし続けなければできません。その実践を誰にするのか? といえば、ご利用者です。毎年400名の方が感動するような実践をご利用者が受けることで、ご利用者の生活や人生が豊かになっていく。これを毎年繰り返すことで、チームとしても成長していく。これが、ご利用者の幸せな生活を実現していくサイクルになる。このような狙いがありました。だから、東京ドームでできたら、もっとよかったのですが、その思いは、いまのところ実現しておりません。

 「山口さんの考える福祉って、どういうものですか?」と、介護職のTさんは私に聞きました。私は、「職業としての福祉は…」と前置きし、「たとえ自分が天国(恵まれた環境)にいたとしても、地獄で苦しんでいる人がいると知ってしまったら、わざわざ地獄まで降りていって、助け出すのが福祉だよ」と答えました。それから何年もの時が経ち、私が「実は、ある施設でご利用者がつらい思いをしているらしい。俺がそこに行くと言ったらTさんはどうする?」と尋ねたら、彼は「愚問です。山口さんに地獄の果てまでついていきます!」と力強く言ってくれました。数年前に私が話したことを覚えていたから「地獄」という言葉が出たのだと思います。

 私がこの仕事に就いて24年が経とうとしています。前述したようなことを振り返ったとき、私に、もし何か才能があるとしたら、それは目的、目標がブレない才能。そして、生意気をいえば、努力する才能があったように思います。

 いま現場でがんばっている職員のみなさん。うまくいかなくて、悩んでいるみなさん。たぶん、世の中には“こうすれば必ずうまくいくよ”という魔法はありません。
 学ぶこと、努力すること、あきらめないこと。
 これが大事。みんなでがんばりましょう!

著書のご案内

山口晃弘氏の著書が弊社より発行されています。
テーマは、介護現場の「リーダーシップ」と「人材育成」です。

現場の職員から「一緒に働きたい!」と思われる人気者リーダーになるために、役立つ知識、使えるツール、心揺さぶられるエピソードが満載の一冊です。現場のリーダーからも「この本に出会えてよかった」「求められているリーダーについて深く理解できた」「実践にもすぐに役立つ」など、嬉しい感想を頂いています。ぜひ、ご一読ください!

介護リーダー必読!
元気な職場をつくる、みんなを笑顔にする リーダーシップの極意
定価 本体2,000円(税別)
A5判、218ページ
ISBN978-4-8058-8278-8