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ほじょ犬って、なあに?

橋爪 智子 (はしづめ ともこ)

身体障がい者の生活を支える、「盲導犬」「介助犬」「聴導犬」。そんな補助犬たちにまつわる話を紹介するコーナーです。

プロフィール橋爪 智子 (はしづめ ともこ)

NPO法人日本補助犬情報センター専務理事 兼 事務局長。
OL時代にAAT(Animal Assisted Therapy:動物介在療法)に関心を持ち、ボランティアをしながら国内外で勉強を始める。1998年、米国DELTA協会(現・米国Pet Partners協会)の「Pet Partners® program」修了。2002年より現職。身体障害者補助犬法には、法律の準備段階からかかわっている。

著書

『よくわかる 補助犬同伴受け入れマニュアル』共著(中央法規出版)

『よくわかる 補助犬同伴受け入れマニュアル』共著
(中央法規出版)

第122回 災害時、障がい者の死亡率は2倍以上も高い!

 1万8000人を越える人たちが犠牲になった3.11東日本大震災……あれからまだ5年。あらためて、震災で亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆様にお見舞いを申し上げます。今なお不安な生活を余儀なくされている方々が、一日も早く安心できる暮らしに戻れますよう、心よりお祈り申し上げます。

災害時、障がい者の死亡率が、健常者に比べ2倍以上も高いことを知っていますか?

 東日本大震災の死者の6割を高齢者が占めていたこと、また、障害者の死亡率が全体平均の2倍に達していたことなどが明らかになったのをご存知ですか? 5年経った今、ご自身のこと、そしてご家族のこととして、今一度考えることが大切だと思っています。

 当会では、避難所での補助犬同伴について、よく質問されることがあります。もちろん、受け入れてもらえるわけですが、やはり日頃からの交流がなければ、スムーズな受け入れは難しいと思われます。ぜひとも日頃から、近隣に住む補助犬たちのこと、障害のある方々のこと、高齢者のことを知っておいていただきたいな~と思います。

 1995年の阪神淡路大震災では、盲導犬と一緒に避難所に避難した際に、「こんな大きな犬を連れてきて…」と周囲から苦情が出て、受入れてもらえなかった出来事がありました。その後、補助犬は大切なパートナーであるという認識も広がり、また、ペットの犬やネコとの同行避難も、避難訓練の段階から取り入れる自治体が増えてきました。大切なのは、『地域』としての取り組みだと感じます。

 また、2004年10月の新潟県中越地震で被災した中村良子さんが、盲導犬と一緒に避難所に行った体験を、『震災にあった盲導犬クララ』(双葉社、2005年)という本に書かれています。そこでは、温かく受け入れられた様子と、「行政の理解はもちろん重要だが、使用者も地域の人が受け入れることができるよう、ペアの姿を多くの人に見せ、交流する努力が必要」と書いておられる言葉が印象的でした。

 私の友人の視覚障害者のN氏が普段からよく口にする話があります。「私たち障害のある人間は、地域に受け入れてもらわなければ生きていけない。常日頃から、近隣の方とのコミュニケーションは欠かせないの。それをもっと広く伝えたい!」と……。

 日本障害者フォーラムが作成した映画の予告編でも、同じことが話されていました。
「普段から周りの人と交流を持つ。いろんなところに社会参加していくことによって知ってもらえる。普段のコミュニケーションが取れていないと、いざという時に心配すらされない。。。」(抜粋)


 もちろん、普段のコミュニケーション自体が難しい方もおられると思います。そこは、社会システムとして、様々な組織や機会を利用して、防災策を講じるしかないのかもしれないですね。

 クラウドファンディングで、『生存者を増やすため!障がい特性に応じた防災対策マニュアルを!』の活動をされている福島有二氏のお言葉です。
「災害時、多くの方が自らの命を優先して逃げるのだ。それは福祉施設の職員であっても仕方がないことです。ただ私自身、1人では逃げられない者を家族に持つ立場としては、施設関係者にはせめて「彼らが1人で逃げられる工夫や努力をした上で」逃げてほしいと思っています。そうした努力の上で、それでもダメなら仕方がありませんが、大切な家族を預けている者としては、納得できる程の十分な対策を多くの施設で取り組んでもらいたいと思います」  この言葉を読み、改めて『防災』への意識向上の重要性を感じました。

 昨年2015年3月、仙台市で開かれた国連防災世界会議で、新たな防災の考え方に注目が集まりました。その名も「インクルーシブ防災」。障害者や高齢者などを含む、あらゆる人の命を支える防災を目指していこうという考え方です。
 災害の時、どうすれば障害者や高齢者などの命を守れるか? 2016年度の補助犬議連主催シンポジウムは、『防災と補助犬』というタイトルに決定いたしました。ぜひ、多くの皆さんに会場に来ていただき、皆さんと一緒に考えてみたいと思います。

お知らせ

身体障害者補助犬を推進する議員の会
第4回『ほじょ犬の日啓発シンポジウム2016』
防災と補助犬~障害者インクルーシブな防災~

  • ◆ 日時:2016年5月20日(金)
  • ◆ 会場:衆議院議員会館

 1万8000人を越える人たちが犠牲になった3.11東日本大震災から5年。国際的な新たな防災の考え方である『障害者インクルーシブな防災』について、日本障害フォーラムの藤井克徳幹事会議長より学びます。

ご寄付のお願い「日本補助犬情報センター」より

 当会のビジョンは、全国民が正しく補助犬法を理解することで、すべての人が安心して活躍できる社会を実現することです。補助犬ユーザーの社会参加推進活動、普及活動、最新情報収集、資料等作成配布、講演会・イベント等、当会の活動はすべて無償で行われております。
 皆様のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

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