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ほじょ犬って、なあに?

橋爪 智子 (はしづめ ともこ)

身体障がい者の生活を支える、「盲導犬」「介助犬」「聴導犬」。そんな補助犬たちにまつわる話を紹介するコーナーです。

プロフィール橋爪 智子 (はしづめ ともこ)

NPO法人日本補助犬情報センター専務理事 兼 事務局長。
OL時代にAAT(Animal Assisted Therapy:動物介在療法)に関心を持ち、ボランティアをしながら国内外で勉強を始める。1998年、米国DELTA協会(現・米国Pet Partners協会)の「Pet Partners® program」修了。2002年より現職。身体障害者補助犬法には、法律の準備段階からかかわっている。

著書

『よくわかる 補助犬同伴受け入れマニュアル』共著(中央法規出版)

『よくわかる 補助犬同伴受け入れマニュアル』共著
(中央法規出版)

第63回 【補助犬との別れ】「ありがとう。盲導犬Y君・・・」(2)

 今日12/19は、補助犬法成立のきっかけとなった介助犬シンシアのお誕生日でした♪ きっと今も、天から見守ってくれていると思います。

 さて、明後日は12月21日(日)横浜赤レンガ倉庫の「補助犬ショー」!聴覚障害者団体主催のファッションショーの中で、補助犬ユーザーさん達も衣装に着替えて補助犬ショーしちゃいます!赤レンガ倉庫は、クリスマスマーケットやアイススケート場も現れ、素敵に盛り上がっています♪
 ぜひ皆さん、補助犬達会いに遊びにいらして下さい♪ お待ちしております(^o^)/

【&_Canvasイベント in YOKOHAMA赤レンガ倉庫~みんなでともに輝こう~】
2014年12月21日(日) 赤レンガ倉庫1号館内 イベントスペースB/C
http://andcanvas-yokohama.jimdo.com/
13時~17時(補助犬ショー I部 13:45~14:15 / II部 15:30~16:00)

いつも上手にシッポをしまってくれるY君。啓発DVD撮影の際は、シッポが邪魔になっている様子を撮影したく、少しシッポを出していただいたこともありました。そんな時にも文句一つ言わないY君でした♪

 さて前回は、補助犬との別れ、をご紹介しました。今回は少し時間を巻き戻し、『引退』という別れについて書きたいと思います。
 下記の手記は、ユーザーS氏が、今年3月に9年間パートナーを務めてくれたY君の引退に際して書かれたものです。

(ご本人の許可をいただき、ご紹介させていただきます)
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 昨日3月8日、パートナーのYが盲導犬としての役目を終えてハーネスをはずした。
 2005年9月2日から9年間私と共に歩んでくれた。
 訓練センターで引退のための手続きを終え、ハーネスをはずしてから頭をなでてやった。
 これまでの全てのことに対して感謝の気持ちでいっぱいになる。
 首を抱いてやり、心から「ありがとう!ご苦労さん!」と声をかけ、リード(引き綱)を職員に手渡した。
 その後Yは退役犬ボランティアに引き渡された。
 Yが1歳までお世話になったパピーウォーカーのお宅である。
 Yにとっても私にとっても最高の幸せである。
 Yの引退はとても寂しい。
 9年間の想い出が胸をよぎる。
 しかし、それ以上に元気なままYを引退させてやれたことが、そしてパピーウォーカーさんにお返しできたことが嬉しい。
 夜はパピーウォーカーさんのお招きで一泊させていただいた。
 Yとのあれやこれやの話で楽しい夕食をごちそうになった。
 そして私の布団の横にはYのゲージがあった。
 今朝こうして目覚めたら隣でYがすやすやと眠っていた。
 いつまでも元気でいてほしいと願う。
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 S氏のユーザーとしての強い想いが伝わってきます。そして、掛ける言葉は、ただただ「ありがとう」の感謝の言葉なのです。私は、補助犬とユーザーさんとの関係の中で、「ごめんね」という言葉はないと思っています。というか、あってはならないと思っています。
 一般の方が持っておられるイメージの中で、「障がい者に飼われる犬はかわいそう」という気持ちがあるのかもしれない、と感じることがしばしばあります。でも、私が知っているユーザーさんたちは皆、自分のこと以上に補助犬のことを気遣い、つねに考え、大切にされています。24時間行動をともにするパートナーとして助けてもらうだけではなく、排泄の管理や衛生管理、食事の管理も全て、保護者として責任を持って暮らしておられます。だから、補助犬にとっても、その人が『一番大好きな人』ですし、そうならなくてはなりません。ユーザーさんたちには、ぜひ「この子は、自分と一緒にいられて幸せ!」と言い切っていただきたいし、そうできていることを堂々ともっとアピールして良いと思います♪

 また、よく「補助犬って、コロコロ飼い主さんが変わってかわいそうよね~」という声も聞きます。
 補助犬の多くは、母犬から別れてから、1歳くらいまではパピーボランティアさんの家で、人間が大好きになるように大切に育てていただきます。そして訓練センターに入所し、適性チェックを受けます。
 「適性あり」と判断されれば、訓練を続け、2歳くらいで希望者である障がい者の方々と合同訓練をし、厚生労働大臣指定法人にて認定試験に合格すれば、晴れて補助犬としてともに社会参加することができます。その後、10~12歳くらいで元気なうちに引退。その後は多くの場合はリタイア犬ボランティアさんのお宅で、大切にのんびりと余生を過ごします。私が知る限り、どの家庭でも精一杯の愛情いっぱいに迎えられ、みんなHappyそうです♪

 時に、このY君のように、自分のパピー時代のボランティアさんの家庭に帰れることもあります。ただ、訓練事業者にとっては複雑な要素があり、パピーボランティアさんが、リタイアボランティアさんになってしまうと、また新たなパピーボランティアさんを探さなければならないので、基本的に、パピーで育てた子が帰って来る確率は非常に少ないです。が、それが叶った時には、とても素晴らしいことでもあると思います。
 このY君は、パピーボランティアさんにとって最初の担当犬だったらしく、その後も何頭かパピーボランティアを経験された後のリタイア犬ボランティアとして、初代担当犬が戻ってきたという感動的な状況でした。引退の日に私も同席させていただき、たくさんたくさん、Y君の武勇伝をお伝えさせていただきました。
 また、様々な家庭環境の条件(ペット禁止ではない住居、他に老犬の世話ができる家族がいる等……)が許せば、引退後、そのままユーザーさんの家で余生を過ごし、後継の補助犬がやってきて、一緒に過ごすということもあります。介助犬シンシアの場合、実際にそうだったのですが、後継犬のエルモ君は、しっかりとシンシア姉さんの指導を受けていたそうです。なるほど~のエピソードがたくさんあるんですよ♪ また、それに関しては、別の回でご紹介しますね。
 このように、たくさんの皆さんの愛情を受けて育ってきた補助犬たち、愛情をいっぱい注がれたからこそ、愛情をいっぱい返してくれるのだと思います。
 これからも、たくさんの人を笑顔にしてくれるほじょ犬たちの応援をよろしくお願いいたします!

 次回は、年内最終回! 【パラパラ漫画紹介】「きこえないことって?」What’s Deafness? です♪ お楽しみに!

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