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高齢者のせん妄ケアQ&A
――急性期から施設・在宅ケアまで――

現場の疑問と困ったことに答えました!


  •  ● 点滴針を自分で抜こうとします。
  •  ● 安静が保てません。
  •  ● 夜中に起きて「家へ帰る」「銀行へ行く」と出かけようとします。
  •  ● 「食事や薬に毒が入れられている」と拒否しました。
  •  ● 「殺される」と興奮して傾聴もできません。
  •  ● 「泥棒がいる」と大声を出します。
  •  ● 「傘が盗まれた」と責めます。
  •  ● じっと壁を見て独り言を話します。
  •  ● 毎日ぼーっとしています。

 これらは、せん妄を起こした高齢者に見られる行動の例です。そのため高齢者の場合、症状が認知症と似ているので、認知症と間違った診断をされてしまうことがあります。

 せん妄は身体疾患をもっている患者にみられる「一般的な」精神的疾患ですので、認知症と間違えてしまうと、治療や対処がうまくいきません。

 また、せん妄と分かっていても「点滴を抜く」「夜間眠らず大きな声を出す」といった患者の突然の変化に驚かせられ、原因がわからずどのようにケアしたらよいのか戸惑い、さらに治療・看護が進まず状態の改善が認められない、患者家族への対応も難しいと感じているとききます。

 意識・注意・認知・知覚の障害が起こりますが、睡眠・精神運動活動・情動が障害される場合もあり、合併症併発率の増大、死亡率の増大を予見する兆候ともなりうるという報告もされています。

 入院患者のせん妄の発症率は10 ~30%で、高齢者のせん妄発症率は内科病棟で約10~20%、外科病棟で10~15%であり、特に高齢者、がん患者、術後患者、末期患者の場合、せん妄発症率は高くなるといわれています。せん妄になることで、もともとの病気の回復が遅れ、入院期間が延長することもあります。

 患者自身の苦痛を少しでも早く緩和するためには、せん妄ケアに対する理解を深め、適切なケア方法を修得することが不可欠です。

 そのようななか、せん妄ケアは、近年研究が進められてきており、一定の知見がまとまっています。

 本書は、まず主に介護の現場の方々に、せん妄の何に困っているか、どのような困った事例があったかを、以下のように書きだしていただきました。

「入院後治療が始まりましたが、点滴針を抜こうとするため、安全確保のために拘束をしました。看護師の目が十分届かないため、個室で家族が付き添って対応してもらったり、施設に戻されることがあります」

「意思疎通ができ、車いすを利用すれば日常生活がほぼ自立している入所利用者ですが、いったん帰宅欲求が発生すると過度の興奮状態となり、落ち着くまでに時間を要し、本人もつらい思いを繰り返しています」

「昼夜を間違えて、夜間、急に起き出して「銀行に行く」と言い出します。スタッフが傾聴したり、深夜であることなどを説明しても納得せず、逆に立腹されてしまいます」

「集団生活の場合は、混乱をしている利用者がいると、他の利用者も不安になり、フロア全体が落ち着かなくなることが多く、特に夜間帯の場合は、対応するスタッフの数も少なく大変になります」

 これらの困ったことに対して、答えるとともに、せん妄ケアの現状を明らかにし、さまざまなケアの場におけるせん妄への対応を解説しました。またそれぞれのQ&Aに、看護のポイント、介護のポイントを記し、介護職の方々にも役立つ情報を満載しています。ぜひ一度手にとってみてください。

(中央法規出版 第1編集部 星野哲郎)

→本書のご注文はe-booksから