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障害のある人への差別と虐待を克服するための一書


 高齢者虐待防止法、児童虐待防止法につづき、長年その成立が待たれていた障害者虐待防止法が、平成24年10月から施行され、自治体・養護者・企業などに対する虐待対応スキームが法的に位置付けられました。

 本書は、障害者虐待防止法の概略と活用の視点、虐待防止・対応のための支援体制づくりの注意点と具体的な方向性などを解説しています。また、豊富な事例と解説で、複雑な虐待事例と対応の在り方について具体的にイメージしながら、虐待発生の背景・防止支援のための注意点を学ぶことができます。さらに、実務に役立つ虐待防止支援の際の事実確認のためのチェックリスト類も収載するなど、実務に携わる方々に配慮しています。

 さらに、障害者虐待問題の理解を深めていただくため、虐待が発生する社会的背景、過去の実態調査の分析による障害者虐待の傾向性なども示しています。

 本書発行後、障害者権利条約の批准、障害者差別解消法の成立等、障害のある方々への人権への理解が進む一方で、痛ましい虐待事例は後を絶ちません。

 こうした取り組みを以前から存じ上げていた私としては、深夜・早朝に、メールで次々届く原稿を確認しながら「現場の方々にいち早く届けたい」といった宗澤先生の熱い思いを感じたことを思い出します。

 著者の宗澤忠雄先生は、政令市で初めての障害者虐待防止条例である「さいたま市ノーマライゼーション条例」の策定の中心者として、また、障害者の権利擁護・虐待防止研修の講師として、日本全国を飛び回り、支援者の質の向上のために尽力されています。

 けあサポで公開中のブログ『宗澤忠雄の福祉の世界に夢うつつ』では、こうした活動や、虐待事案に対する見解など、現在進行形で「障害者虐待のいま」を紹介しています。本書と併せてご覧いただき、さまざまな角度から障害者虐待防止のための理解を深めていただければと思います。

(中央法規出版 第1編集部 相原文夫)

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